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第1部〜未知なる地底世界編〜
第4話〜夢ニャのか?〜
しおりを挟む「どうしたんだい? ゴマくん」
ソールが問いかけてきやがったが、ボクはすっかり浮かれ切った気分だった。
「ニャハハハハハハ!! やっぱりボクは最強なんだ!! 怖いモンなんか無えから安心しろ!」
ボクは、平原の向こうまで響くぐらいの大声で笑って、刃物をピンク色の空に向かって突き上げた。が、持ち慣れねえドデカ刃物のせいで、バランスが崩れて……うわわっ……!?
「あ、あわわわ!? ……ニ゙ャー!?」
そのまま後ろ側にズッコケた。
ゴチン!
頭の後ろで、鈍い音がした――。
「――ちゃん、兄ちゃん! 朝だよ! いつまで寝てんの!」
「……ん?」
嗅ぎ慣れたホコリ臭え段ボールの中に、ボクはいた。顔を上げ、周りを見渡す。
見慣れた景色だ。
「あり? ここは……」
ここは――飼い主のアイミ姉ちゃんが住む家のガレージだ。つまり、ボクらが住む棲家だ。
ガレージの外には、うっすらと、雪が積もっている。
やっぱり、夢だった。
「チッ、夢かよ……。ま、ネコが服着て2本足で歩くなんて、そんな事あるわけ無えよニャあ」
「何言ってんの兄ちゃん。まだ寝ぼけてるの?」
ボクよりひと回りちっちゃくて、ボクと同じ柄の白黒ネコの、ボクの弟――【ルナ】が、ボクの首元をペロッと舐める。当然、服なんか着てねえし、ちゃんと4足歩行だ。
ボクは段ボールから出て、歩いてみた。うん、やっぱり4足歩行だ。後ろ足だけで立つなんか、できるわけねえ。
「んとんと……せいなるほしのひかりよ、……あれ、何だっけ?」
「兄ちゃん、訳の分かんない事言ってないで早く起きないと、また【メル】さん怒るよ」
ルナが、ため息をつく。何も変わらねえいつものルナで、ホッとした。
庭にはうっすら雪が積もり、刺すように冷てえ北風がビュウウと吹き込んでくる。
「みんな起きたわね? もうすぐアイミ姉さんがゴハン用意してくれるから、あちこち行かずにみんなここで待ってるのよ?」
そう言うのは、ボクらの姉貴、【メル】さん。三毛ネコだ。スラッとした体型の美女ネコ、といった感じだ。姉貴というより、ほとんど親代わりみてえなもんだな。
ボクの家族は、ボクを入れて、みんなで7匹なんだ。
ボクがチビの頃は母ちゃんも一緒に暮らしてたみたいなんだが、物心ついてから母ちゃんはずっと留守にしてる。だから、母ちゃんの名前も姿も知らねえんだ。いや、メルさんが、母ちゃんの名前を時々言ってたような気がするが……。やっぱ忘れちまった。
ともかく、今一緒に暮らしてるのは、母ちゃん以外の6匹。
姉貴の、メルさん、【じゅじゅ】さん。
弟の、ルナ、【ポコ】。
妹の、【ユキ】。
そして、ボクだ。
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