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本編
国王である親友の死 (ヘルゲside)
しおりを挟むヘルゲ・マルクスside
「こいつの弱点は目だっ!!!目を狙え!!」
そう叫んだ俺は正直、体力が全くと言っていいほど残っていなかった。
B級の魔物の数は異常で騎士団や兵士隊もいたがそれ以上に数が多すぎた。
現状、この王都にはSランクの冒険者は俺しかいないため、俺が折れるわけにはいかない。
そしてもちろん、国王であり親友でもあるあいつが前線に来るのはわかってた。
テオはそういう奴だからだ。
自分の大切なもののためには絶対に動く。
S級の魔物は硬い甲羅で覆われているからかあまりダメージを与えることができずに時間だけが過ぎていった。
テオもヴィルも体力が削られてることは見ただけでもわかった。
なんとかしなくてはと焦りだけが募っていく。
俺とヴィルが囮になり、魔物をひきつけた。
テオは上に飛んで不意で目を刺す、その予定だったんだ。この時は。
小さい声だったがしっかり、なぜかその時だけ聴こえてしまった。
「ヘル、ヴィーすまんな。ありがとう。」
愛称で俺らのことを呼ぶその男は国王であり、俺の親友でもある。
見た目からは想像がつかないが、結構大雑把で気楽な考え方をする。うまいものが好きで、酒も好き。
国王のくせに城をこっそり抜け出して俺と飲みに行きたがる。そんで執事のセバスにすっげー怒られて落ち込んでる姿は何回見ても笑えた。
大きな風で飛ばされた時、何故かこんな昔の振り返りみたいなことをしてしまったのが嫌で、同時にすごく嫌な予感しかしなかった。
いつも以上に声を大きくしてそいつの名前を叫ぶ。
だがそんな声も届かないくらいに大きな光と共に音が鳴り響いた。
ビリリリリリリリビビビッ
無理矢理にも目を開いていた俺に最悪にもその光がキラキラして見えてテオの魔力が嫌というほど伝わってきた。
「テオっテオっおい!!目を開けろ!!」
急いで近づいたがそこにいるテオは痛々しいほどに黒くなっていて、もうダメなのだとわかってしまった。
でも認めたくなかった、
お前がいなくなったら誰がこの王都を守るんだ。
「俺はな、この国がこの王都が大好きなんだ」
昔、幸せそうにそう言っていたテオの顔が脳内にチラつき視界がぼやける。
守れてよかったと、最後にテオは言った。
こんな時まで俺たちや国民の心配をする。
そういう奴なのは知ってる。だが同時にそこが唯一、嫌いなところだ。
「っくそ」
掠れた声で地面に拳を叩きつける。
俺がこいつを守らなきゃいけなかったのに、守られてしまった。
何がSランクの冒険者だよ、1人の親友すら守れないじゃないか
俺は放心状態でその場から全く動けなかった。
それはヴィルも同じで騎士団に声をかけられやっと動けたようだった。
そのあと、国王はテオドルの弟であるクリスティアン・ヘルクヴィストが引き継いだ。
クリスティアンも兄であるテオドルをとても慕っており、暫くは死を受け入れられなかったと聞いた。
だがそれは国民皆がそうだった。
この国を愛していた男を国民は皆、愛していた。
王都の中心にはテオドルの像が建てられ沢山の花束に囲まれていた。
それは何年経っても変わらずにだ
ヘルゲもその像の場所へと頻繁に足を運び、テオドルの好きな酒や食べ物を置いていった。
「ほんと、お前は変わらないな」
ついこんな言葉がでてくる。
像なのだから変わらないのは当たり前だ。
5歳も年下だった俺が同い年になって、そしてこれからはどんどん年上になっていく。
それがテオドル・ヘルクヴィストという男が死んでしまったという事実を強くさせた。
俺は獣人と人間のハーフなので長生きする。
あいつが俺より早く死ぬのは寿命というどうしようもないことではあったが…
あまりにも早すぎた。
「お前と親友になれてよかったよ。」
あの赤い目をキラキラさせてテオにそう言われたその日を思い出す。
「……俺はお前が好きだった」
誰にも聞こえないくらいの小さな声でテオドルの像に向かってそうこぼした
あの時はそういえばよかったと今になって思った。
好きだと自覚した瞬間に失恋とか笑えねぇよなあ。
ヘルゲside end
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