君と暮らす事になる365日

家具付

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それで、冷蔵庫に張り付けられたキッチンタイマーで時間をはかる。
電子音で時間を告げたタイマーを止めて、ティーバッグを小皿に乗せて、依里は湯気の立つ紅茶をそっと口に含んだ。

「……あったまる」

三時の休憩にはちょうどいいだろう。お菓子があれば最高だが、この家に現在、備蓄食料はないので、しかたがない。

「月餅食べたい」

あのコクのあるさらりとしたあんこの入った、中華菓子が食べたい。きっと寒いから、がっつりと甘いものが食べたいのだろう。
引っ越しが終わったらのお楽しみだ、と思いながら、依里は段ボール箱だらけの家を眺め、今日使わない物を皆片付けたか確認した。
調理器具も最低限のもの以外は詰め終わった。
だから今日の仕事は終わりだ、と依里は立ち上がり、今日でたごみをまとめて捨てるために、つっかけに足を突っ込み、玄関のドアを開けた。



「ただいま、ヨリちゃん! 書類すぐ用意できそうだよ!」

「おう、お帰り」

「寒いねえ、ヨリちゃん暖房付けないの?」

「着こめばいいだろ、必要性を感じない」

夜の九時半、帰ってきて朗らかな声を出した男は、暖房器具がまったくついていない家を見回してそんな事を言った。
暖房が使用されるのは厳冬の時だけである依里が、何を言いだすのだという顔をすると、晴美はうんうん、と頷いた。

「ヨリちゃんの家そんな感じだったもんね。ご飯食べた?」

「まあ」
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