君と暮らす事になる365日

家具付

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花が開くように温かく、ふんわりとしたご飯に、ほっとする出汁の味、それから柔らかなのど越し、ただの雑炊の範囲を超えた体にしみ込む味だった。
ちなみに今日は、完全に冷蔵庫を空にするため、ごはんも炊かない事になっている。
そのため依里は、昼ご飯をこれからどうしようか、と考えた。
だが意外なほどお腹が空いていないので、昼を抜いても差し支えないだろう。
昼食をとらないまま、依里は引っ越し作業を再開する。
そのまま三時くらいまで荷物を片付けて、大方の荷物は段ボール箱に詰め終わった。
梱包されていないのは布団くらいだ。よし。
あと食器が数点。
そこまで確認した依里は、ごみの回収日の確認をする。
大丈夫、明日の引っ越しが終わったらごみ捨て場に出せばいい。ごみがいつでも捨てられるごみ捨て場があるのはありがたいな、と田舎の実家はそうでない事まで思い出し、依里はかすかに笑った。

「お茶にしよう」

そんな事を呟きつつ、依里は出しっぱなしの鉄瓶にお湯を測って注ぎ、コンロに火をつけた。
以前鉄分補給だとどこかで聞いて、お湯がおいしくなるという噂に引かれて、購入した南部鉄瓶だ。
毎日毎日お湯を沸かす、今では友人のような道具である。
それでお湯を沸かし、大きめのマグカップに注いでから、ティーバッグをそっと入れる。
そしてその上に小皿を乗せて蒸すと、紅茶がおいしく出ると、これまたどこかで聞いた通りのやり方だ。
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