12 / 52
12
しおりを挟む
花が開くように温かく、ふんわりとしたご飯に、ほっとする出汁の味、それから柔らかなのど越し、ただの雑炊の範囲を超えた体にしみ込む味だった。
ちなみに今日は、完全に冷蔵庫を空にするため、ごはんも炊かない事になっている。
そのため依里は、昼ご飯をこれからどうしようか、と考えた。
だが意外なほどお腹が空いていないので、昼を抜いても差し支えないだろう。
昼食をとらないまま、依里は引っ越し作業を再開する。
そのまま三時くらいまで荷物を片付けて、大方の荷物は段ボール箱に詰め終わった。
梱包されていないのは布団くらいだ。よし。
あと食器が数点。
そこまで確認した依里は、ごみの回収日の確認をする。
大丈夫、明日の引っ越しが終わったらごみ捨て場に出せばいい。ごみがいつでも捨てられるごみ捨て場があるのはありがたいな、と田舎の実家はそうでない事まで思い出し、依里はかすかに笑った。
「お茶にしよう」
そんな事を呟きつつ、依里は出しっぱなしの鉄瓶にお湯を測って注ぎ、コンロに火をつけた。
以前鉄分補給だとどこかで聞いて、お湯がおいしくなるという噂に引かれて、購入した南部鉄瓶だ。
毎日毎日お湯を沸かす、今では友人のような道具である。
それでお湯を沸かし、大きめのマグカップに注いでから、ティーバッグをそっと入れる。
そしてその上に小皿を乗せて蒸すと、紅茶がおいしく出ると、これまたどこかで聞いた通りのやり方だ。
ちなみに今日は、完全に冷蔵庫を空にするため、ごはんも炊かない事になっている。
そのため依里は、昼ご飯をこれからどうしようか、と考えた。
だが意外なほどお腹が空いていないので、昼を抜いても差し支えないだろう。
昼食をとらないまま、依里は引っ越し作業を再開する。
そのまま三時くらいまで荷物を片付けて、大方の荷物は段ボール箱に詰め終わった。
梱包されていないのは布団くらいだ。よし。
あと食器が数点。
そこまで確認した依里は、ごみの回収日の確認をする。
大丈夫、明日の引っ越しが終わったらごみ捨て場に出せばいい。ごみがいつでも捨てられるごみ捨て場があるのはありがたいな、と田舎の実家はそうでない事まで思い出し、依里はかすかに笑った。
「お茶にしよう」
そんな事を呟きつつ、依里は出しっぱなしの鉄瓶にお湯を測って注ぎ、コンロに火をつけた。
以前鉄分補給だとどこかで聞いて、お湯がおいしくなるという噂に引かれて、購入した南部鉄瓶だ。
毎日毎日お湯を沸かす、今では友人のような道具である。
それでお湯を沸かし、大きめのマグカップに注いでから、ティーバッグをそっと入れる。
そしてその上に小皿を乗せて蒸すと、紅茶がおいしく出ると、これまたどこかで聞いた通りのやり方だ。
0
あなたにおすすめの小説
数合わせから始まる俺様の独占欲
日矩 凛太郎
恋愛
アラサーで仕事一筋、恋愛経験ほぼゼロの浅見結(あさみゆい)。
見た目は地味で控えめ、社内では「婚期遅れのお局」と陰口を叩かれながらも、仕事だけは誰にも負けないと自負していた。
そんな彼女が、ある日突然「合コンに来てよ!」と同僚の女性たちに誘われる。
正直乗り気ではなかったが、数合わせのためと割り切って参加することに。
しかし、その場で出会ったのは、俺様気質で圧倒的な存在感を放つイケメン男性。
彼は浅見をただの数合わせとしてではなく、特別な存在として猛烈にアプローチしてくる。
仕事と恋愛、どちらも慣れていない彼女が、戸惑いながらも少しずつ心を開いていく様子を描いた、アラサー女子のリアルな恋愛模様と成長の物語。
ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~
紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。
毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
クラスで3番目に可愛い無口なあの子が実は手話で話しているのを俺だけが知っている
夏見ナイ
恋愛
俺のクラスにいる月宮雫は、誰も寄せ付けないクールな美少女。そのミステリアスな雰囲気から『クラスで3番目に可愛い子』と呼ばれているが、いつも一人で、誰とも話さない。
ある放課後、俺は彼女が指先で言葉を紡ぐ――手話で話している姿を目撃してしまう。好奇心から手話を覚えた俺が、勇気を出して話しかけた瞬間、二人だけの秘密の世界が始まった。
無口でクール? とんでもない。本当の彼女は、よく笑い、よく拗ねる、最高に可愛いおしゃべりな女の子だったのだ。
クールな君の本当の姿と甘える仕草は、俺だけが知っている。これは、世界一甘くて尊い、静かな恋の物語。
叱られた冷淡御曹司は甘々御曹司へと成長する
花里 美佐
恋愛
冷淡財閥御曹司VS失業中の華道家
結婚に興味のない財閥御曹司は見合いを断り続けてきた。ある日、祖母の師匠である華道家の孫娘を紹介された。面と向かって彼の失礼な態度を指摘した彼女に興味を抱いた彼は、自分の財閥で花を活ける仕事を紹介する。
愛を知った財閥御曹司は彼女のために冷淡さをかなぐり捨て、甘く変貌していく。
先輩に退部を命じられた僕を励ましてくれたアイドル級美少女の後輩マネージャーを成り行きで家に上げたら、なぜかその後も入り浸るようになった件
桜 偉村
恋愛
みんなと同じようにプレーできなくてもいいんじゃないですか? 先輩には、先輩だけの武器があるんですから——。
後輩マネージャーのその言葉が、彼の人生を変えた。
全国常連の高校サッカー部の三軍に所属していた如月 巧(きさらぎ たくみ)は、自分の能力に限界を感じていた。
練習試合でも敗因となってしまった巧は、三軍キャプテンの武岡(たけおか)に退部を命じられて絶望する。
武岡にとって、巧はチームのお荷物であると同時に、アイドル級美少女マネージャーの白雪 香奈(しらゆき かな)と親しくしている目障りな存在だった。
そのため、自信をなくしている巧を追い込んで退部させ、香奈と距離を置かせようとしたのだ。
そうすれば、香奈は自分のモノになると錯覚していたから。
武岡の思惑通り、巧はサッカー部を辞めようとしていた。そこに現れたのが、香奈だった。
香奈に励まされてサッカーを続ける決意をした巧は、彼女のアドバイスのおかげもあり、だんだんとその才能を開花させていく。
一方、巧が成り行きで香奈を家に招いたのをきっかけに、二人の距離も縮み始める。
しかし、退部するどころか活躍し出した巧にフラストレーションを溜めていた武岡が、それを静観するはずもなく——。
「これは警告だよ」
「勘違いしないんでしょ?」
「僕がサッカーを続けられたのは、君のおかげだから」
「仲が良いだけの先輩に、あんなことまですると思ってたんですか?」
先輩×後輩のじれったくも甘い関係が好きな方、スカッとする展開が好きな方は、ぜひこの物語をお楽しみください!
※基本は一途ですが、メインヒロイン以外との絡みも多少あります。
※本作品は小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
それは、ホントに不可抗力で。
樹沙都
恋愛
これ以上他人に振り回されるのはまっぴらごめんと一大決意。人生における全ての無駄を排除し、おひとりさまを謳歌する歩夢の前に、ひとりの男が立ちはだかった。
「まさか、夫の顔……を、忘れたとは言わないだろうな? 奥さん」
その婚姻は、天の啓示か、はたまた……ついうっかり、か。
恋に仕事に人間関係にと翻弄されるお人好しオンナ関口歩夢と腹黒大魔王小林尊の攻防戦。
まさにいま、開始のゴングが鳴った。
まあね、所詮、人生は不可抗力でできている。わけよ。とほほっ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる