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36話:動く戦線
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お母様の部屋へ行けば、スコープが付いていない状態のライフルがローテーブルに置かれていた。
「早かったわねミリア、座ってちょうだい」
「はい、お母様」
お母様の対面に座ると、メイドのユーリがお茶をいれてくれた。
久しぶりに暖かい美味しいお茶を飲んだ気がする。
「戦場はどうでしたか?」
「膠着状態でした。たまに散発的な戦闘はありましたが大規模なぶつかり合いはなく、私が撤退した後に攻勢をかけると聞いております」
「そう、やはり攻勢をかけるのね…勝てるといいのだけれど」
「私が日夜潜伏し敵の補給線へ攻撃をしましたので、帝国軍は補給が難しくなっているはずです…」
その答えにお母様は難しい顔をされる。
お父様も大規模攻勢について心配されていたけれど何かあるのだろうか?
「もしかすると戦線が悪い方向に動くかもしれないとガリム伯爵家は考えています」
「それは何故です?」
「帝国が対人用の新兵器を導入していると情報をつかんだのです。すでに王国軍には知らせてありますが…」
お母様も私も押し黙ってしまう。
知らせてあるのに不用意に攻勢をかけるというのだろうか?
「何もないことを祈るだけですが…」
お母様のつぶやきがドアをノックする音で止まる。
「奥様!火急の知らせが!!」
「すぐに入りなさい!」
執事のウィルが慌てて部屋に入ってくる。
「王国軍第三騎士団が敗走したとのことです!」
「なんですって!?」
「現在はコーラシル川から戦線までの道中にある町、ニホニで体勢を立て直しているとのことですが、かなりの死者が出たとの事…ベアロン伯爵はご無事ですが、ロベルト子爵が敵の大砲で戦死とのことです」
攻勢が失敗したんだ…
しかし大砲で戦死?
攻城兵器である大砲で戦死するなんて運がわるすぎるだろうロベルト子爵…
私に突っかかってきた人だけれど別に恨みがあるわけではないので冥福を祈ろう。
「帝国は、ブドウ弾を使ったということですね?」
「はい、奥様。銃とは別に大砲からのブドウ弾によって王国軍右翼は壊滅、敵騎兵によって空いた穴を突かれ敗走せざるを得ない状況だったとのことです」
「コーラシル砦までは戦線は後退していないということですね?」
「はい、しかし時間の問題かもしれません」
お母様とウィルの会話を黙って聞き続ける。
ブドウ弾とは何だろうか?
お母様を見ると答えてくれた。
「ガリム家がつかんでいた対人用の砲弾、ブドウ弾が使われたようです。
大砲から小型の弾をいくつも発射して飛び散らせ、広い範囲を破壊します…使われることを恐れていた兵器です」
私は唖然とした。
補給部隊を倒している間も大砲なんて見た記憶がない。
「ウィル、すでにレイ君たちは臨戦態勢だと思いますので、砦後方に簡易の治療場所を作ってください。ミリア、貴方には直したばかりですがライフルをもって砦に行ってレイ君たちを助けてあげて!砦からの射撃で練度を上げられることを祈ります」
「はい、お母様」
ここは素直に従うしかない。
物理的にタリムの町が危なくなってきたんだから悠長なことはしていられない。
「ミリア、砦からの迎撃で直した銃になれて。
アイアンサイトだけでの射撃になるから注意して…ルーナには引き続きサポートしてもらいなさい」
「わかりました」
「ウィル、ついでにタリムの町に避難勧告をして、緊急時はガリムで受け入れてもらえるようになっていますから」
「わかりました。メイドたちにも声をかけ住民に知らせます」
直ぐにウィルは部屋を出て行った。
私も銃を手に部屋に戻る。
真新しい迷彩服を着こみ、ルーナに声をかける。
「直ちにコーラシル砦に向かいます」
「はい、ミリア様」
直ぐに準備を整え二人で馬に乗る。
弾は砦にある。
私達はこの体とライフルだけで向かえばいい。
帝国軍に砦の突破だけは絶対にさせない!
「早かったわねミリア、座ってちょうだい」
「はい、お母様」
お母様の対面に座ると、メイドのユーリがお茶をいれてくれた。
久しぶりに暖かい美味しいお茶を飲んだ気がする。
「戦場はどうでしたか?」
「膠着状態でした。たまに散発的な戦闘はありましたが大規模なぶつかり合いはなく、私が撤退した後に攻勢をかけると聞いております」
「そう、やはり攻勢をかけるのね…勝てるといいのだけれど」
「私が日夜潜伏し敵の補給線へ攻撃をしましたので、帝国軍は補給が難しくなっているはずです…」
その答えにお母様は難しい顔をされる。
お父様も大規模攻勢について心配されていたけれど何かあるのだろうか?
「もしかすると戦線が悪い方向に動くかもしれないとガリム伯爵家は考えています」
「それは何故です?」
「帝国が対人用の新兵器を導入していると情報をつかんだのです。すでに王国軍には知らせてありますが…」
お母様も私も押し黙ってしまう。
知らせてあるのに不用意に攻勢をかけるというのだろうか?
「何もないことを祈るだけですが…」
お母様のつぶやきがドアをノックする音で止まる。
「奥様!火急の知らせが!!」
「すぐに入りなさい!」
執事のウィルが慌てて部屋に入ってくる。
「王国軍第三騎士団が敗走したとのことです!」
「なんですって!?」
「現在はコーラシル川から戦線までの道中にある町、ニホニで体勢を立て直しているとのことですが、かなりの死者が出たとの事…ベアロン伯爵はご無事ですが、ロベルト子爵が敵の大砲で戦死とのことです」
攻勢が失敗したんだ…
しかし大砲で戦死?
攻城兵器である大砲で戦死するなんて運がわるすぎるだろうロベルト子爵…
私に突っかかってきた人だけれど別に恨みがあるわけではないので冥福を祈ろう。
「帝国は、ブドウ弾を使ったということですね?」
「はい、奥様。銃とは別に大砲からのブドウ弾によって王国軍右翼は壊滅、敵騎兵によって空いた穴を突かれ敗走せざるを得ない状況だったとのことです」
「コーラシル砦までは戦線は後退していないということですね?」
「はい、しかし時間の問題かもしれません」
お母様とウィルの会話を黙って聞き続ける。
ブドウ弾とは何だろうか?
お母様を見ると答えてくれた。
「ガリム家がつかんでいた対人用の砲弾、ブドウ弾が使われたようです。
大砲から小型の弾をいくつも発射して飛び散らせ、広い範囲を破壊します…使われることを恐れていた兵器です」
私は唖然とした。
補給部隊を倒している間も大砲なんて見た記憶がない。
「ウィル、すでにレイ君たちは臨戦態勢だと思いますので、砦後方に簡易の治療場所を作ってください。ミリア、貴方には直したばかりですがライフルをもって砦に行ってレイ君たちを助けてあげて!砦からの射撃で練度を上げられることを祈ります」
「はい、お母様」
ここは素直に従うしかない。
物理的にタリムの町が危なくなってきたんだから悠長なことはしていられない。
「ミリア、砦からの迎撃で直した銃になれて。
アイアンサイトだけでの射撃になるから注意して…ルーナには引き続きサポートしてもらいなさい」
「わかりました」
「ウィル、ついでにタリムの町に避難勧告をして、緊急時はガリムで受け入れてもらえるようになっていますから」
「わかりました。メイドたちにも声をかけ住民に知らせます」
直ぐにウィルは部屋を出て行った。
私も銃を手に部屋に戻る。
真新しい迷彩服を着こみ、ルーナに声をかける。
「直ちにコーラシル砦に向かいます」
「はい、ミリア様」
直ぐに準備を整え二人で馬に乗る。
弾は砦にある。
私達はこの体とライフルだけで向かえばいい。
帝国軍に砦の突破だけは絶対にさせない!
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