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開戦
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オーストリア併合から数ヶ月、世界の動きは加速していた。
それも悪い方向へ
「テューラ、ついにドイツはチェコスロバキアを解体するらしい」
「ニールス、マッチポンプという言葉があるそうよ、まさに今のドイツがこれね…」
「マッチポンプ?」
「マリーナいわく、自分で火をつけて自分で水をかけて消すことを言うそうよ。お兄様にはまた批難声明を出してもらう必要があるわね」
「本当に、ここ最近のドイツの行動は目に余るよ」
ニールスとの朝の会話。
今やこの家も私達二人だけだ。
子どもたちは皆独立し、家を出ている。
長女のクリスは、現役の旅客機パイロット兼教官として、長男のリックスは自らの夢を叶え製薬会社に勤め結婚もした。次女のマリーは今は医者の卵としてコペンハーゲン中央病院に勤めている。
彼女たちが直接戦争にかかわらないことを望むけれど、そうはいかないでしょうね。
1939年8月23日、突如として驚くべきニュースが舞い込んできました。
そう、独ソ不可侵条約。
世間の読みではドイツは思想の違う東方領域であるソ連に向け領土拡大を図るだろうと思われていたところで、この不可侵条約が結ばれることになったわけですが、私はそれを知っています。
ポーランドの分割という密約を盛り込んでいるこの条約は、戦争の始まりを意味します。
これに先立ちポーランドはイギリス、フランスと緩やかな軍事同盟を結んでおり、これが抑止力になるとポーランドでは考えられていたのですが、前世でそれは意味をなさなかったわけです。
「我が国ダンマークは、この時代にあり領土的野心に取り憑かれた国に対する防衛を強化することを目的とし、イギリス、フランスに対して相互援助条約を結ぶこととなった!これにはネーデルラントも含まれ、ベルギー、オランダ、ルクセンブルクとも連合することをここに宣言する」
1939年8月25日、マリーナの肝いりで進められていた連合国入りを独ソ不可侵条約におっかぶせて発表した。
前世では低地諸国とともにダンマークは中立を宣言していましたが、今回はそうではありません。
もはや領土的野心だけで戦争を起こそうという時代錯誤の国に対する圧力をかけるため、兄にも手伝ってもらいドイツ包囲網を作り上げたのです。
前世ではこれらの行動は後手にまわります。
第一次大戦と同じく中立のままでなんとかなるような状態ではないと説得して回った結果です。
マリーナとともに兄を説得し関係各国回ってもらった甲斐がありました。
これで多少なり圧力になればと持った4日後、ドイツはポーランドに対して最後通告を出したのです。
「この2日間が正念場ですね」
マリーナが珍しく私の家に来ています。
1939年8月30日、ポーランドに対してドイツが出した通告は連合各国へ即座に伝達され、各国は揃って批難声明をだしました。
フランスはすでに動員をかけており、ダンマークも国境防衛を固めています。
なにせコペンハーゲンからもドイツは目と鼻の先ですから。
「マリーナ、状況はどうなの?」
「いまポーランドに向けての特別便を山と出しているわ。逃げたい人たちは乗りなさいってやつね。これには家の護衛戦闘機もつけてる。もし9月1日ドイツが軍事侵攻した場合は護衛はTF-6に切り替える予定よ」
「うちの国ですべてを受け入れることは不可能よ?」
「基本的にはポーランドからイギリスへ亡命して貰う形ですよ。それと密約によって9月1日にイギリスとフランス、それに低地諸国が一斉に宣戦布告する手はずになっているわ」
「前世ではタイムラグがあったけれど、即座に実行されるのね」
「そうです、このタイムラグがドイツ側の増長を加速させるのですから、たんなる侵略行為は許さないという状況です」
「これが脅しになってくれればいいけれど」
「無理でしょう、すでに歯車は動き始めていますから…」
*****
1939年9月1日、ナチス・ドイツは自国のラジオ放送局がポーランド正規軍に攻撃されたとしてポーランドに対して宣戦を布告した。
ヒトラーは元気に演説をしたらしい。
何度かダンマーク情報局は彼に対して暗殺をかけたがことごとく失敗しているという。
これまで歴史の流れを大きく変えてきた私達でしたが、やはり阻止はできませんでした。
ですが、このドイツの宣戦布告に対して、正当性がないとしてイギリス、フランスに加え我がダンマークとベルギー、オランダ、ルクセンブルクがその日のうちに宣戦布告を行いました。
特に、オランダ国境には戦車塹壕に通常の塹壕、更には新型戦車まで配置しての徹底的な防衛体制、ダンマークドイツ国境も似たような状態です。
低地諸国が共同開発したユーディ戦車がユラン半島にも配置されポーランドにも少量配置されている状態です。
さらに、ポーランドに対してTH-6による疎開輸送とイギリスからの武器弾薬の供与をTC-6によって実施しています。
コペンハーゲン経由便とロンドン直行便による輸送は、ドイツ側の妨害を受けることは必至ですので、護衛機は全てTF-6に切り替えています。
1939年9月3日、ポーランドはドイツからの航空攻撃をなんとかしのいでいた。
更にTF-6による輸送機護衛とともに、ドイツの爆撃機に対する迎撃を開始。
我が国最後のレシプロ迎撃機はポーランド軍で存分に力を発揮した。
更には数は少ないもののユーディー戦車はドイツの三号戦車を全く寄せ付けない強さを誇り、ポーランド歩兵の盾となったのだ。
とはいえ、連合国は一切ドイツ側に侵略していない。
あくまで国境付近でにらみ合いが続いており、ダンマークはポーランドの支援に全ふりしている状態です。
「テューラ様お久しぶりです」
「中将、このようなところに来ている暇があるのですか?」
「空軍は大忙しですが陸軍はまだそれほど忙しくありませんからな。情報をお持ちしましたよ」
ドイツのラジオ放送からは悪のポーランドを倒すというような話はされているが、ポーランド側は持ちこたえている、イギリス、ダンマークのおかげだと報道されている。
はっきり言って正確な情報がわからないのが現状だ。
「ポーランドからは一般市民がすでに1万人飛行機輸送で脱出しています。手荷物の制限がありますが今現在ポーランド空路は安全が確保されている状態ですよ。それとユーディー戦車は素晴らしい戦果をあげています」
「ドイツ側を押し留めていると?」
「えぇ、ドイツ軍戦車は手も足も出ていない状態のようです。対戦車兵器が問題ですが、陸空共同作戦を上手いこと実施できているポーランドはきっちり防衛できています」
なるほど、やはり空を抑えるというのは重要であることがわかるわね。
「それと、フランスはあと1ヶ月以内に動員を完了し、低地諸国とともにドイツ側に進行する手はずです」
「ソ連に動きはある?」
「姫殿下の懸念されているソ連の侵攻はあると結論が軍でも出ております。ポーランドは二正面戦争を強いられる可能性があると…ですがなんとかドイツの攻撃をしのぎきってくれれば、勝機はあります」
「可能な限りポーランド西部軍の航空支援を行いましょう」
「空軍にも伝えておきます。すでに現状でもかなり支援しておりますがね」
事実、TF-6の威力は絶大だったようだ。
ポーランド軍からの無線にて強襲する時速800km超えの戦闘機はドイツ爆撃機をことごとく叩き落としているらしい。
上空の安全が確保できれば、いかにドイツ陸軍が強いと言っても近接支援機によって車両を吹き飛ばし、行軍を止められる。
きっとヒトラーは当初の思惑を潰されて苛立っていることでしょう。
さて、ここからが正念場ですよ…
それも悪い方向へ
「テューラ、ついにドイツはチェコスロバキアを解体するらしい」
「ニールス、マッチポンプという言葉があるそうよ、まさに今のドイツがこれね…」
「マッチポンプ?」
「マリーナいわく、自分で火をつけて自分で水をかけて消すことを言うそうよ。お兄様にはまた批難声明を出してもらう必要があるわね」
「本当に、ここ最近のドイツの行動は目に余るよ」
ニールスとの朝の会話。
今やこの家も私達二人だけだ。
子どもたちは皆独立し、家を出ている。
長女のクリスは、現役の旅客機パイロット兼教官として、長男のリックスは自らの夢を叶え製薬会社に勤め結婚もした。次女のマリーは今は医者の卵としてコペンハーゲン中央病院に勤めている。
彼女たちが直接戦争にかかわらないことを望むけれど、そうはいかないでしょうね。
1939年8月23日、突如として驚くべきニュースが舞い込んできました。
そう、独ソ不可侵条約。
世間の読みではドイツは思想の違う東方領域であるソ連に向け領土拡大を図るだろうと思われていたところで、この不可侵条約が結ばれることになったわけですが、私はそれを知っています。
ポーランドの分割という密約を盛り込んでいるこの条約は、戦争の始まりを意味します。
これに先立ちポーランドはイギリス、フランスと緩やかな軍事同盟を結んでおり、これが抑止力になるとポーランドでは考えられていたのですが、前世でそれは意味をなさなかったわけです。
「我が国ダンマークは、この時代にあり領土的野心に取り憑かれた国に対する防衛を強化することを目的とし、イギリス、フランスに対して相互援助条約を結ぶこととなった!これにはネーデルラントも含まれ、ベルギー、オランダ、ルクセンブルクとも連合することをここに宣言する」
1939年8月25日、マリーナの肝いりで進められていた連合国入りを独ソ不可侵条約におっかぶせて発表した。
前世では低地諸国とともにダンマークは中立を宣言していましたが、今回はそうではありません。
もはや領土的野心だけで戦争を起こそうという時代錯誤の国に対する圧力をかけるため、兄にも手伝ってもらいドイツ包囲網を作り上げたのです。
前世ではこれらの行動は後手にまわります。
第一次大戦と同じく中立のままでなんとかなるような状態ではないと説得して回った結果です。
マリーナとともに兄を説得し関係各国回ってもらった甲斐がありました。
これで多少なり圧力になればと持った4日後、ドイツはポーランドに対して最後通告を出したのです。
「この2日間が正念場ですね」
マリーナが珍しく私の家に来ています。
1939年8月30日、ポーランドに対してドイツが出した通告は連合各国へ即座に伝達され、各国は揃って批難声明をだしました。
フランスはすでに動員をかけており、ダンマークも国境防衛を固めています。
なにせコペンハーゲンからもドイツは目と鼻の先ですから。
「マリーナ、状況はどうなの?」
「いまポーランドに向けての特別便を山と出しているわ。逃げたい人たちは乗りなさいってやつね。これには家の護衛戦闘機もつけてる。もし9月1日ドイツが軍事侵攻した場合は護衛はTF-6に切り替える予定よ」
「うちの国ですべてを受け入れることは不可能よ?」
「基本的にはポーランドからイギリスへ亡命して貰う形ですよ。それと密約によって9月1日にイギリスとフランス、それに低地諸国が一斉に宣戦布告する手はずになっているわ」
「前世ではタイムラグがあったけれど、即座に実行されるのね」
「そうです、このタイムラグがドイツ側の増長を加速させるのですから、たんなる侵略行為は許さないという状況です」
「これが脅しになってくれればいいけれど」
「無理でしょう、すでに歯車は動き始めていますから…」
*****
1939年9月1日、ナチス・ドイツは自国のラジオ放送局がポーランド正規軍に攻撃されたとしてポーランドに対して宣戦を布告した。
ヒトラーは元気に演説をしたらしい。
何度かダンマーク情報局は彼に対して暗殺をかけたがことごとく失敗しているという。
これまで歴史の流れを大きく変えてきた私達でしたが、やはり阻止はできませんでした。
ですが、このドイツの宣戦布告に対して、正当性がないとしてイギリス、フランスに加え我がダンマークとベルギー、オランダ、ルクセンブルクがその日のうちに宣戦布告を行いました。
特に、オランダ国境には戦車塹壕に通常の塹壕、更には新型戦車まで配置しての徹底的な防衛体制、ダンマークドイツ国境も似たような状態です。
低地諸国が共同開発したユーディ戦車がユラン半島にも配置されポーランドにも少量配置されている状態です。
さらに、ポーランドに対してTH-6による疎開輸送とイギリスからの武器弾薬の供与をTC-6によって実施しています。
コペンハーゲン経由便とロンドン直行便による輸送は、ドイツ側の妨害を受けることは必至ですので、護衛機は全てTF-6に切り替えています。
1939年9月3日、ポーランドはドイツからの航空攻撃をなんとかしのいでいた。
更にTF-6による輸送機護衛とともに、ドイツの爆撃機に対する迎撃を開始。
我が国最後のレシプロ迎撃機はポーランド軍で存分に力を発揮した。
更には数は少ないもののユーディー戦車はドイツの三号戦車を全く寄せ付けない強さを誇り、ポーランド歩兵の盾となったのだ。
とはいえ、連合国は一切ドイツ側に侵略していない。
あくまで国境付近でにらみ合いが続いており、ダンマークはポーランドの支援に全ふりしている状態です。
「テューラ様お久しぶりです」
「中将、このようなところに来ている暇があるのですか?」
「空軍は大忙しですが陸軍はまだそれほど忙しくありませんからな。情報をお持ちしましたよ」
ドイツのラジオ放送からは悪のポーランドを倒すというような話はされているが、ポーランド側は持ちこたえている、イギリス、ダンマークのおかげだと報道されている。
はっきり言って正確な情報がわからないのが現状だ。
「ポーランドからは一般市民がすでに1万人飛行機輸送で脱出しています。手荷物の制限がありますが今現在ポーランド空路は安全が確保されている状態ですよ。それとユーディー戦車は素晴らしい戦果をあげています」
「ドイツ側を押し留めていると?」
「えぇ、ドイツ軍戦車は手も足も出ていない状態のようです。対戦車兵器が問題ですが、陸空共同作戦を上手いこと実施できているポーランドはきっちり防衛できています」
なるほど、やはり空を抑えるというのは重要であることがわかるわね。
「それと、フランスはあと1ヶ月以内に動員を完了し、低地諸国とともにドイツ側に進行する手はずです」
「ソ連に動きはある?」
「姫殿下の懸念されているソ連の侵攻はあると結論が軍でも出ております。ポーランドは二正面戦争を強いられる可能性があると…ですがなんとかドイツの攻撃をしのぎきってくれれば、勝機はあります」
「可能な限りポーランド西部軍の航空支援を行いましょう」
「空軍にも伝えておきます。すでに現状でもかなり支援しておりますがね」
事実、TF-6の威力は絶大だったようだ。
ポーランド軍からの無線にて強襲する時速800km超えの戦闘機はドイツ爆撃機をことごとく叩き落としているらしい。
上空の安全が確保できれば、いかにドイツ陸軍が強いと言っても近接支援機によって車両を吹き飛ばし、行軍を止められる。
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