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一章 経験値として生きてます
6話 狂人とのお留守番
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「さてと……。ハンディ戦は危険だから近づくなと言われたけど、そう言われると余計見に行きたくなるのが、人の性ってもんだ。分かってないなー大将は」
本日、ハンディ戦が行われると言うことで、選ばれたカラマリ領の兵士たちは、昨日の内からハクハ領との境付近へと向かっていった。
ハクハ領とカラマリ領は隣接こそしているが、その面積の大きさは明らかに違うし、生活環境もハクハの方が数段高い。そして生活環境の違いはモロにレベルや戦闘能力に差が生まれるらしく、戦に出る兵士たちの空気は重かった。
ハクハ領の人間はそんなに強いのだろうか。
重い空気の一つに、〈戦柱(モノリス)〉の出した戦条件の一つが追い打ちをかけているのだろうな。
〈戦柱(モノリス)〉が出した条件。
それは、戦に参加する人数の指定だった。
各軍30人。
戦の規模としては小さいものだが、だが、それは個人の戦力の差が大いにモノをいうことになる。俺を使ってのレベル上げをしているのだから、有利だと思っていたがどうやら違うようだった。
「おいおい。それじゃあ、俺が死に損じゃないか」という、ブラックジョークで皆の指揮を高めようとしたが、そんなことを言いだせる状況ではなかった。
……。
そう言うこと考えるから、現実世界では友達が少なかったんだろうな。
といわけで、俺は何も言い出せないまま、留守番を命じられていた。
戦の際にお留守番はいつものことだけれど、領境(りょうさかい)は、この城から近いし、それにそこまでビビられてしまうと、どんな戦いか気になってしまう。
俺、戦うのは嫌だけどボクシングとか総合格闘技の試合見るのは結構好きなんだよね。
戦はボクシングではないだろうけれど、あれだけ、人間離れした身体能力を持った人々の戦だ。興味がないとなれば嘘になる。
この世界に慣れてきたことで生まれた余裕なのか、慢心なのかは、自分ではどう考えればいいのか分からないが――
「と、言う訳で向かいます」
俺は戦いの舞台である『ワリュウの渓谷』に向かうことを決意した。
俺が命令に背いて、戦に向かうことを考慮してか、ナツカさんやサキヒデさんは俺に情報を隠していたが、残念ながらケインからこっそりと聞き出していた。
ふふふふ。
日ごろから奢っていたことが、こんな所で役に立つとはな。
少年を利用したことに、心苦しくなるが、ケインも俺にたかってたから、お相子と言うことにしておこう。
俺の中でな。
「しかも、報酬の金貨で馬も借りれるしな!」
この世界での移動手段は車ではなく馬であった。
俺には必要ないと、中々乗せてくれないが、密かに練習をして、乗りこなすことに成功していた。
自分の馬は持てなくとも、金貨を見せれば貸してくれることも把握済み。
いつかは戦いを見たいと言う思いから練っていた計画を、ようやく使う時が来たのだ。
「なーに、ちょろっと遠くから戦いをみるだけだ」
俺がこの世界に慣れてきたように、ナツカさんたちも俺を信用してくれているのか、今回は見張りを残していかなかった。
いつもならば、一人は残っているのに、今日は誰も見張っていない。
もしかしたら、ハクハ領との戦いだから、そんな余裕がなかったのかも知れないが、これじゃあ、脱出し放題だぜ。
俺は両手を頭で組んで階段を下りていると――絶対に残っていないと思っていた主戦力の一人に出会ってしまった。
白髪と右目の下にある漆黒の茨のような入れ墨がチャームポイントの狂人。狂人のチャームポイントなんて、チャームでもなんでもないだろうけれども。
脱出しようと天守閣から降りてきた俺を見て声を上げた。
「なにしてるのかな?」
感情の読めない声。
いや、なにをしているのかと聞きたいのは俺の方だ。なんで、この人が城に残ってるんだよ。
切り込み隊長じゃないのか?
切り捨てられたのか?
俺はこれまでにクロタカさんから、幾度となく苦痛を頂戴しているので、視線を合わせられない。恐怖心が俺の意思気に埋め込まれていた。
「ちょっと、買い物に……。それよりも、クロタカさんこそいいんですか? ハクハ領とのハンディ戦は? 我らがカラマリ領を代表する偉大でイケメンな戦力、クロタカさんがいなきゃ、もう、戦わずして負けたようなもんじゃないですか。戦の素人が、戦場を見ずに分かっちゃいますよ」
クロタカさんの機嫌を損ねないように、俺は精一杯の矜持を述べる。
だが、そんな俺の苦労は虚しく、
「『お前は無茶するから残ってろ』だってさ。だから、残って君の見張りをするように言われたんだ」
無表情にスルーされた。
それどころか、俺の見張りがクロタカさんと言う信じがたい事実が返ってきた。
「……そ、そうなんですね」
あ、俺、信用されていたわけじゃないのね。
そっかー。
見張りはクロタカさんかー。
……。
よし!
諦めよう。
今はまだ、狂人ランクが低いので、会話は通じているけれど、いつ、暴れ出すのか分かった物ではない。
だからこそ、置いてかれたのだろうけど。
ハンディ戦は正面からの本気のぶつかり合い。
もし、クロタカさんが狂ってしまえば、命を惜しまず、ひたすら前に進み続けるだろう。味方にとっては頼もしいことではあろうが――相手は一位のハクハ領。
諸刃の剣は振るえないと大将(ナツカ)さんが判断したようだ。
でも、だからといって俺の見張りに付けないでよ。
下手したら、俺、無駄に殺されまくるじゃん。
触らぬ神に祟りなしと俺は天守閣に戻った。
クロタカさんがいないことは、戦力的には痛手だろうが、俺の見張りに関しては絶大な効果を発揮していた。
何故なら、もはや、俺は、ここから出る気がなくなっているのだから。
さてと。
脱出を諦めた俺はどうやって時間を潰そうかと考えていると、のそのそとクロタカさんが階段を登ってきた。
え、まさか、顔を見たことで俺を殺したくなったのかと、階段から距離を取り、伏せるような形で頭を抱えた。
こんな行動で命が守れるほど甘くないだろうが、まあ、防災訓練で培った咄嗟の避難方法だ。
クロタカさんは俺にとっては天災と等しく恐怖である。
伏せてる俺に対してクロタカさんが言う。
「僕、これからハンディ戦に行くから、君は大人しくここで待っててね」
「は、はい! 分かりました!」
良かった。
ハンディ戦に行くのか。
これで俺も自由になってハンディ戦の観戦に行ける……。
うん?
「え、えっと……。あれ? クロタカさんは、ここに残ってるように言われたんですよね?」
「そうだけど?」
階段に足をかけた状態でクロタカさんは止まった。
俺が話しかけてきたことに、狂人レベルが溜まったようで、左手が腰についてる小刀に添えられていた。
こえー。
俺、話しかけることも許されないのか。
しかし、だからといって、ここで、「なんでもないです。頑張ってください」なんて言ったところで、更に狂人レベルが上がることになるだろう。
どころか、俺を殺して本当にレベルが上がることになるかも知れない。
……クロタカさんに殺されるのは痛いからなー。
他の人が注射レベルの痛みなのに、一人だけ、ガチで死に対する痛みだ。
大体、俺が逃走しようとしたきっかけもこの男である。
「なにかな? 僕、急いでるんだけど」
呼び止めたのに言葉を詰まらせる俺にイラついたご様子である。
こうなってしまえば、何を言っても同じだと、俺は自信の考えを告げる。
「あ、その、俺から一つ提案があるんですけど、聞いて貰えないですかね……? クロタカさんにとっても悪い条件じゃないと思うんですけど」
「……?」
「いや、簡単に言えば、俺もハンディ戦に連れてってもらえないですか? 勿論、行くのは俺の意思です。つまり、クロタカさんはハンディ戦に向かった俺を、止めに来たことにすれば、多少はマシになるんじゃないですかね?」
自ら見張りを置いてハンディ戦に合流するよりも、イメージは良くなるはずだ。まあ、クロタカさんに正面切って文句を言えるのは、ケインを除く主戦力4人だけだろうが。
「……なるほど。君、頭いいねぇ」
「あ、ありがとうございます」
これがアイリさんやサキヒデさんならば、俺の穴だらけの提案なんて、掃いて捨てるのだろうけど、クロタカさんは受け入れてくれた。
……良かった!
切実に!
「じゃあ、行こうか」
こうして俺は初めての戦観戦を、切り込み隊長である狂人(クロタカさん)と共に向かうのだった。
本日、ハンディ戦が行われると言うことで、選ばれたカラマリ領の兵士たちは、昨日の内からハクハ領との境付近へと向かっていった。
ハクハ領とカラマリ領は隣接こそしているが、その面積の大きさは明らかに違うし、生活環境もハクハの方が数段高い。そして生活環境の違いはモロにレベルや戦闘能力に差が生まれるらしく、戦に出る兵士たちの空気は重かった。
ハクハ領の人間はそんなに強いのだろうか。
重い空気の一つに、〈戦柱(モノリス)〉の出した戦条件の一つが追い打ちをかけているのだろうな。
〈戦柱(モノリス)〉が出した条件。
それは、戦に参加する人数の指定だった。
各軍30人。
戦の規模としては小さいものだが、だが、それは個人の戦力の差が大いにモノをいうことになる。俺を使ってのレベル上げをしているのだから、有利だと思っていたがどうやら違うようだった。
「おいおい。それじゃあ、俺が死に損じゃないか」という、ブラックジョークで皆の指揮を高めようとしたが、そんなことを言いだせる状況ではなかった。
……。
そう言うこと考えるから、現実世界では友達が少なかったんだろうな。
といわけで、俺は何も言い出せないまま、留守番を命じられていた。
戦の際にお留守番はいつものことだけれど、領境(りょうさかい)は、この城から近いし、それにそこまでビビられてしまうと、どんな戦いか気になってしまう。
俺、戦うのは嫌だけどボクシングとか総合格闘技の試合見るのは結構好きなんだよね。
戦はボクシングではないだろうけれど、あれだけ、人間離れした身体能力を持った人々の戦だ。興味がないとなれば嘘になる。
この世界に慣れてきたことで生まれた余裕なのか、慢心なのかは、自分ではどう考えればいいのか分からないが――
「と、言う訳で向かいます」
俺は戦いの舞台である『ワリュウの渓谷』に向かうことを決意した。
俺が命令に背いて、戦に向かうことを考慮してか、ナツカさんやサキヒデさんは俺に情報を隠していたが、残念ながらケインからこっそりと聞き出していた。
ふふふふ。
日ごろから奢っていたことが、こんな所で役に立つとはな。
少年を利用したことに、心苦しくなるが、ケインも俺にたかってたから、お相子と言うことにしておこう。
俺の中でな。
「しかも、報酬の金貨で馬も借りれるしな!」
この世界での移動手段は車ではなく馬であった。
俺には必要ないと、中々乗せてくれないが、密かに練習をして、乗りこなすことに成功していた。
自分の馬は持てなくとも、金貨を見せれば貸してくれることも把握済み。
いつかは戦いを見たいと言う思いから練っていた計画を、ようやく使う時が来たのだ。
「なーに、ちょろっと遠くから戦いをみるだけだ」
俺がこの世界に慣れてきたように、ナツカさんたちも俺を信用してくれているのか、今回は見張りを残していかなかった。
いつもならば、一人は残っているのに、今日は誰も見張っていない。
もしかしたら、ハクハ領との戦いだから、そんな余裕がなかったのかも知れないが、これじゃあ、脱出し放題だぜ。
俺は両手を頭で組んで階段を下りていると――絶対に残っていないと思っていた主戦力の一人に出会ってしまった。
白髪と右目の下にある漆黒の茨のような入れ墨がチャームポイントの狂人。狂人のチャームポイントなんて、チャームでもなんでもないだろうけれども。
脱出しようと天守閣から降りてきた俺を見て声を上げた。
「なにしてるのかな?」
感情の読めない声。
いや、なにをしているのかと聞きたいのは俺の方だ。なんで、この人が城に残ってるんだよ。
切り込み隊長じゃないのか?
切り捨てられたのか?
俺はこれまでにクロタカさんから、幾度となく苦痛を頂戴しているので、視線を合わせられない。恐怖心が俺の意思気に埋め込まれていた。
「ちょっと、買い物に……。それよりも、クロタカさんこそいいんですか? ハクハ領とのハンディ戦は? 我らがカラマリ領を代表する偉大でイケメンな戦力、クロタカさんがいなきゃ、もう、戦わずして負けたようなもんじゃないですか。戦の素人が、戦場を見ずに分かっちゃいますよ」
クロタカさんの機嫌を損ねないように、俺は精一杯の矜持を述べる。
だが、そんな俺の苦労は虚しく、
「『お前は無茶するから残ってろ』だってさ。だから、残って君の見張りをするように言われたんだ」
無表情にスルーされた。
それどころか、俺の見張りがクロタカさんと言う信じがたい事実が返ってきた。
「……そ、そうなんですね」
あ、俺、信用されていたわけじゃないのね。
そっかー。
見張りはクロタカさんかー。
……。
よし!
諦めよう。
今はまだ、狂人ランクが低いので、会話は通じているけれど、いつ、暴れ出すのか分かった物ではない。
だからこそ、置いてかれたのだろうけど。
ハンディ戦は正面からの本気のぶつかり合い。
もし、クロタカさんが狂ってしまえば、命を惜しまず、ひたすら前に進み続けるだろう。味方にとっては頼もしいことではあろうが――相手は一位のハクハ領。
諸刃の剣は振るえないと大将(ナツカ)さんが判断したようだ。
でも、だからといって俺の見張りに付けないでよ。
下手したら、俺、無駄に殺されまくるじゃん。
触らぬ神に祟りなしと俺は天守閣に戻った。
クロタカさんがいないことは、戦力的には痛手だろうが、俺の見張りに関しては絶大な効果を発揮していた。
何故なら、もはや、俺は、ここから出る気がなくなっているのだから。
さてと。
脱出を諦めた俺はどうやって時間を潰そうかと考えていると、のそのそとクロタカさんが階段を登ってきた。
え、まさか、顔を見たことで俺を殺したくなったのかと、階段から距離を取り、伏せるような形で頭を抱えた。
こんな行動で命が守れるほど甘くないだろうが、まあ、防災訓練で培った咄嗟の避難方法だ。
クロタカさんは俺にとっては天災と等しく恐怖である。
伏せてる俺に対してクロタカさんが言う。
「僕、これからハンディ戦に行くから、君は大人しくここで待っててね」
「は、はい! 分かりました!」
良かった。
ハンディ戦に行くのか。
これで俺も自由になってハンディ戦の観戦に行ける……。
うん?
「え、えっと……。あれ? クロタカさんは、ここに残ってるように言われたんですよね?」
「そうだけど?」
階段に足をかけた状態でクロタカさんは止まった。
俺が話しかけてきたことに、狂人レベルが溜まったようで、左手が腰についてる小刀に添えられていた。
こえー。
俺、話しかけることも許されないのか。
しかし、だからといって、ここで、「なんでもないです。頑張ってください」なんて言ったところで、更に狂人レベルが上がることになるだろう。
どころか、俺を殺して本当にレベルが上がることになるかも知れない。
……クロタカさんに殺されるのは痛いからなー。
他の人が注射レベルの痛みなのに、一人だけ、ガチで死に対する痛みだ。
大体、俺が逃走しようとしたきっかけもこの男である。
「なにかな? 僕、急いでるんだけど」
呼び止めたのに言葉を詰まらせる俺にイラついたご様子である。
こうなってしまえば、何を言っても同じだと、俺は自信の考えを告げる。
「あ、その、俺から一つ提案があるんですけど、聞いて貰えないですかね……? クロタカさんにとっても悪い条件じゃないと思うんですけど」
「……?」
「いや、簡単に言えば、俺もハンディ戦に連れてってもらえないですか? 勿論、行くのは俺の意思です。つまり、クロタカさんはハンディ戦に向かった俺を、止めに来たことにすれば、多少はマシになるんじゃないですかね?」
自ら見張りを置いてハンディ戦に合流するよりも、イメージは良くなるはずだ。まあ、クロタカさんに正面切って文句を言えるのは、ケインを除く主戦力4人だけだろうが。
「……なるほど。君、頭いいねぇ」
「あ、ありがとうございます」
これがアイリさんやサキヒデさんならば、俺の穴だらけの提案なんて、掃いて捨てるのだろうけど、クロタカさんは受け入れてくれた。
……良かった!
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