経験値として生きていく~やられるだけの異世界バトル~

誇高悠登

文字の大きさ
33 / 59
三章 〈統一杯〉の亡霊

32話 弱き復讐者

しおりを挟む
「〈戦柱(モノリス)〉だー。やっぱり、あるよねー。なんか触ったら情報見えないかなー?」

 滅んだ領の〈戦柱(モノリス)〉がどうなっているのか、俺も興味がある。カラマリ領の〈戦柱(モノリス)〉に俺が触れると、自分の力の説明が浮き出る。
 経験値になるなんてふざけた能力を信じたくなくて、何度も触れては見たが表示する文字は変わらなかった。

 触れる〈戦柱(モノリス)〉によって、表示が変わるかも知れないと言う期待はあった。
 だが、それを実行できなかった。
 他の領の〈戦柱(モノリス)〉に触る事なんてないからね。

 ようやく、仕えない俺の力ともおさらばか。
 先輩のように格好いい力が使えるのか。早く石碑に触らせてくれと焦るが(力が変わると言うのは俺の勝手な妄想だ)――島の中心部にあるだけあって、そう簡単には近づかせてくれないようだ。

「……これまでの霧より濃い。ようやくお出ましって訳か」

 ケインが今度こそ倒すと息巻く。確かに、これまで俺が見た霧よりも濃く、紫というより黒に近かった。

 紫の霧が三つに分かれて濃縮されていく。
 そこに現れるのは、三人の〈紫骨の亡霊〉。

 バンダナ。
 眼帯。
 
 そして、初めて見る一人は――ケインの両親を殺したと言う姿と同じだった。
つまり、アレがアサイド領、最後の大将って訳だ。一際デカい大剣が、群を抜いて存在感を放っていた。
 大将っぽいぜ。

「えーと、敵は三人ってことだから、他の奴らは私が戦ってもいいんだよね?」

 この状況で実力を確認する必要はないだろうとカナツさん。
 まあ、確認も何も一人相手に苦戦していたのだから、三人の〈紫骨の亡霊〉は相手にできないだろう。
 ケインもそれは分かっているのだろう。

「大将……。頼みます」

 小さく頭を下げた。

「いや、良いってことよ。私も自分の力を試したかったしねー」

 カラマリ領の二人が一歩前に出る。
 これで勝てばケインの仇討ちも終わるのか。俺は黙って固唾を呑む。その横で、俺の頬に、ふわりと風が当たるのを感じた。
 先輩が今までと同じように右手に竜巻を纏っていた。

「ちょっと、先輩、ストップ!」

「なんだい? 沙我くん? 早く吹き飛ばさないと危険だろう?」

「まあ、そうなんですけど……約束したでしょう」

 ケインの仇には手を出さないと。
 いや、まあ、俺も少しだけ、このまま先輩を止めなければ、〈紫骨の亡霊〉は吹き飛ばせるのだろうなんて考えちゃったんだけども。

この世界において存在しない『魔法(ぞくせい)』を操る先輩は、恐らく、唯一、(紫骨の亡霊)を無傷で吹き飛ばせる男だ。
 先輩に頼れば、ケインもカナツさんも怪我をしない。

 でも――やっぱ、

「その拳、引いてもらえませんかね?」

 例え、危険でもケインが望んでいるのであれば、叶えて上げたい。それがカラマリ領の望みだった。
なら、俺はその望みを叶えて上げたい。

「あ、えっと、沙我くん? どういうことかな? ああ、僕の攻撃で彼女たちを巻き込むかもしれないと言うのなら心配ないよ。僕の力はそこまで不完全じゃないからね」

「そういうことじゃなくてですね……」

 この状況。
 先輩は、力を持った人間が弱い人を救うのが当たり前だと思っている。先輩に例えケインの事情を放したところで、復讐に取り付かれるのは止めるべきだと言うだろう。
 子供が復讐なんてすべきではないと。
 それが正義。
 正しいことだ。

「早くしないと殺されるかも知れないんだ。彼らは僕(ヒーロー)の助けを求めているんだ!」

「求めてないんですけどね……」

「いや、僕には分かる。戦っている心の内では、救いを求めて叫んでいるんだ。そして、それに答えられるのは僕しかいない!」

「そんな訳ないだろうって。本当、人の危険が絡まると面倒くさいな、この人は!」

 正義だヒーローだと五月蠅いが、普段は気さくで優しい先輩である。会社に馴染めていない俺を気遣って色々な行事に連れ出してくれたのも先輩だ。
 しかし、日常を離れた異世界では、その正義が暴走しているようだった。
 力を求めていた人間に力が与えられた。
 ある意味、凶器を与えるのと同じである。

「まあ、悪いことはしてないんだけどさ」

 馬鹿なのは俺達だ。
 しかし、馬鹿だろうが譲れない。正しさだけで測れない思いがカラマリ領にはあるのだから。

「この戦いに手を出さないで貰えませんかね?」

「だから、さっきから、何を言っているんだ、沙我くん!? 彼女たちは僕のように『力』を持っていないんだろ? なら、僕が守らないと」

「大丈夫です。ケインとカナツさんは強いですから」

「強いって、でも、あの骸骨一人にすら苦戦していたじゃないか!?」

「ですけど、やるときはやるんですよ!」

 カナツさんが二人の〈紫骨の亡霊〉を。ケインが大将の亡霊と戦っていた。二人共辛うじて攻撃を防いでいる。
 だが、大剣を扱う亡霊の攻撃力は、小柄なケインの体格で受け止められるものではないようだ。軽々と吹き飛ぶと、島に生える枯れ木たちにぶつかった。
 二本、三本と枯れ木をへし折りようやく止まる。
 地面に転がったケインは意識を失ったのか、動かない。
 
 対面して一手で復讐すべき相手に負けた……。
 ケインが弱いんじゃない。
〈戦柱(モノリス)〉に強化されたかつての大将が強すぎるんだ。

「ほら、みろ! 沙我くんが止めなきゃ、あの少年はあんな怪我をしなくて済んだんだぞ!?」

 我慢できないとケインを吹き飛ばした亡霊に向かって、拳を振るおうとする。

「駄目だ! まだ終わってない!」

「なっ!?」

 霧の亡霊を吹き飛ばせまいと俺は、射線上に入った。誰よりも人を救うことを大事にする先輩ならば、俺ごと吹き飛ばすことはしない。

「何をしているんだ?」

「だから、まだ、終わってないんですよ、ケインの復讐は!」

「もう、見ただろう? それに彼女だって!」

〈紫骨の亡霊〉二人と戦うのは、流石のカナツさんでも厳しいのか、明らかに苦戦していた。彼女ならば、倒せるのではないかという期待があった。
 だが、何度ダメージを与えても霧になるだけ。
 積み重ねれば倒せるというが、そんなの無理に決まっている。

「はっはっは! 私のことは心配するな! ケインが回復するまで、三体の〈紫骨の亡霊〉だろうが耐えて見せるさ」

 ケインが動かなくなったことで、大将の亡霊は狙いをカナツさんに定めた。

「なんで邪魔をするんだ! 僕が正しいのは分かってるだろ?」

 押し問答を繰り返す。
 実に正義を愛する先輩らしかった。
 正義とは不動でなければならない。ころころと変わる正義など、誰が必要とするのだろう。それを見て育った先輩は、この状況で、カナツさんと共に時間稼ぎをするという選択はない。
 自分が正しい。
 だから道を譲れと俺に言うだけだった。

 ならば、俺も譲れない。
 ケインは復活すると信じているからな。

「分かったよ」

 このまま繰り返しても埒が明かないと思ったのだろうか。先輩は参ったと両手を上げると、ゆっくりと宙へと浮かんで行った。

「なっ、そ、空を飛んでる!?」

「『風』を操れるんだ。自分を浮かせるくらいわけないさ。二つのことを同時にコントロールがまだできないから、使いたくなかったんだけど、仕方ないさ」

 くそっ。
 空から攻撃されたら俺は止める術がない。

 正義のヒーローは不利な状況でも成功させる。
 先輩はそう言って二つのことを同時に行おうとする。
 空中浮遊と竜巻の拳。確かに先輩は、まだ、コントロールはできないないのか、拳に纏う竜巻はブレ、浮かぶ体も安定しない。
 それでも――攻撃するつもりだった。

「異世界人はそんなことまでできるんだねー。はっはっはー。リョータとは大違いだよ!」

 三体の〈紫骨の亡霊〉と戦いながらも俺達を見る余裕があるのか。
〈紫骨の亡霊〉の攻撃をいなして距離を取る。
そして、脇差を抜くと先輩に向かって投擲した。一直線に走る刃。風は操れなくてもステータスの高いカナツさんなら、多少の風は切り裂ける。
 風を纏っていない左手を狙った刀が、先輩の腕に刺さった。

「ぐっ、な、なにを……?」

「悪く思わないでよね。大将だけを残してくれるなら、喜んだんだけどさ、そんな不安定な力を使われたら、マズいのよ」

 傷を負った先輩が宙から落ちる。
 俺は先輩の元に駆け寄った。

「痛い……い、痛い……。あああああ!」

 先輩はこの世界で怪我を負うことは無かったのだろうか。刃の刺さった左手を抑え、悲痛に叫ぶ。ちょっと、やり過ぎだろうとカナツさんを睨む。
 が、むしろ、強敵を三人も相手にしては、手を抜く時間がなかったのだろう。
 それに、力が足りなかったら『風』で防がれていたし。

 話を聞かなかった先輩も、やり過ぎたカナツさんも両方悪いと思う。しかし、一番悪いのは俺だ。
ここに来て何もしていない。
 いつものことだ。
 何もしなくていいと言われていたけど、でも――、

「ああー! くそ! なんで俺は何も出来ないんだよ!」

 目つぶしにでも時間稼ぎにでも何に使ってもいい。
 俺だって役に立ちたいと無謀に突っ込む。
 いつだって、俺はこれしか出来ない。

 生き返るからって、死を選ぶ。
 これが俺の出来ること――。
 違う。
 逃げているだけだ。
 この答えのない選択から。無力な自分を突きつけられている現実から。死ぬことで、挑むことで少しでも美化しようと。
 小賢しい浅知恵だ。
 自分の誇りでもなんでもない。

「馬鹿! 何してるんだよ!」

 向かってくる俺にカナツさんが叫ぶが、俺を庇う程余裕はないようだ。俺は渾身の体当たりを、眼帯の〈紫骨の亡霊〉にぶつけようとする。
一瞬でも、足止めしてみせる。
俺の強い思いは、軽々と吹き飛ばされた。

 吹き飛ばされた俺の背に、硬い衝撃が。
 ケインが枯れ木にぶつかったように、俺も何かに当たったようだ。でも、折れたりはしないところを見ると、枯れ木じゃなさそうだ。
 横たった体を傾けると、何にぶつかったのか確認できた。

〈戦柱(モノリス)〉だ。
 アサイド領の〈戦柱(モノリス)〉は、滅んだ領にあるのに頑丈だった。
 荒れた島でも黒く光沢を放っている。

 まともに動けるのはカナツさん一人。でも、三体の〈紫骨の亡霊〉相手じゃ、捕まるのも時間の問題だ。
 あー、くそ。
 やっぱり、偉そうに先輩を止めないで頼っておけばよかった。

 後悔するけどもう遅いか。
 このまま意識を手放せば、俺は死ぬだろう。そうすればいつものように畑で蘇る。きっと、カラマリ領に残った三人は俺を責めることはしないだろう。
 無理にでも行けば良かったと自分を責める。
 俺はいつも通りだ。

 甘い誘惑に負け、意識を手放さそうとするが、

「リョータ!!」

 諦める俺の耳に名前を呼ぶ声が聞こえた。
 俺を現実に引き寄せる叫び。
 ケインの声だった。
 薙刀を杖のようにして立ち上がる。

「頼む。俺に力を貸してくれ!」

「ケイン……」

「それとも、復讐とか言って、一撃で吹き飛ばされた俺に力を貸すのは嫌なのかよ!」

 その一撃はケインにとっても、命に関わる威力なはず。
 それでも俺に気丈に強がる。
 やれやれ。

「自分でそう言うこと言わないでよね。可哀相だから頑張りたくなるじゃないか」

 俺は〈戦柱(モノリス)〉を支えにして立ち上がる。
 どうやら、違う領の〈戦柱(モノリス)〉に触れることでも文字は浮かび上がるようだ。でも、この状況で、穴が開くほど読んだ説明文を見返そうとは思わない。
〈戦柱(モノリス)〉に背を預けてケインに聞く。

「で、死にそうな俺を呼んでどうするつもり?」

「はっ。やる事は一つしかないだろ?」

「だね……」

 ケインが何をしようとしているのか分からない。
 でも、どうせ諦めたんだ。
 最後にケインに任せることが、俺の正しい選択なんだろう。
 任せると言う行為が最大の逃げだしね。

 ケインが俺の元に歩み寄る。
 俺は何も言わずに自身の首を差し出した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜

具なっしー
恋愛
※この表紙は前世基準。本編では美醜逆転してます。AIです 転生先は──美醜逆転、男女比20:1の世界!? 肌は真っ白、顔のパーツは小さければ小さいほど美しい!? その結果、地球基準の超絶イケメンたちは “醜男(キメオ)” と呼ばれ、迫害されていた。 そんな世界に爆誕したのは、脳みそふわふわアホの子・ミーミ。 前世で「喋らなければ可愛い」と言われ続けた彼女に同情した神様は、 「この子は救済が必要だ…!」と世界一の美少女に転生させてしまった。 「ひきわり納豆顔じゃん!これが美しいの??」 己の欲望のために押せ押せ行動するアホの子が、 結果的にイケメン達を救い、世界を変えていく──! 「すきーー♡結婚してください!私が幸せにしますぅ〜♡♡♡」 でも、気づけば彼らが全方向から迫ってくる逆ハーレム状態に……! アホの子が無自覚に世界を救う、 価値観バグりまくりご都合主義100%ファンタジーラブコメ!

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

処理中です...