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学園のエリゼ その3
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「おや、エリゼ。
私を待ってくれていたの?」
扉が開いて、ちらほらと生徒たちが出てくる中に、会長=兄がいた。
「いいえ、おにいさま、きょうはわたくし」
そこまで言うと、お目当ての生徒が現れた。
「……初めまして。
ぶしつけなお手紙申し訳ございません」
私は、この人に会いに来たのだ。
「……ごきげんよう、あの……」
マーヤ。
リアの親友に。
マーヤ・ショーン。
平民出身の彼女は、
ギリギリ貴族の最下層のリアとは、馬が合った。
彼女も、家族を当てにせず、自分の身を立てていきたいと願っていた。
そのためにも、と、
学園のあらゆることに熱心に取り組んだ。
リアが1番なら、彼女は10番。
リアが3番なら、彼女は15番。
そんな風に、リアを追いかけてきた。
体術は、マーヤが強かった。
生徒会の書記は、リアが務めたが、
マーヤは文化部部長として参画していた。
二人とも、やせっぽっちで、
ふたりとも、おしゃれに興味はあっても資金がなかった。
地味でやぼったい二人の娘。
それでも二人でいるのは、心地よかった。
「改めまして、お時間いただいて申し訳ございません。
その……授業は大丈夫だったでしょうか」
無論、マーヤが2講目、履修済みであることは承知している。
学園のカフェテラスに彼女を誘導した。
従者に離れるよう伝え、彼は私たちの姿が見える位置に下がった。
甘い飲み物を彼女に進める。
「あの……」
こわばった表情のマーヤ。それはそうよね。
急に会ったことのない侯爵令嬢、しかも生徒会長の妹に呼び出されたんだもの。
「まず、はじめに」
私はエリゼになり切って、口火を切った。
「リア・イーストエンドさま、のことは、本当に残念です。
お友達のご不幸、お悔やみ申し上げます。
わたくしも、あの方と痛みをともにしたご縁。
ずっと、ずっと心にあります」
私がそう述べると、マーヤは少し口をゆがめた。
「……えらく客観的におっしゃいますのね。
学生の中には、貴女がリアの死に関わっているかのように、
言うものもおりますのに」
さすがに、ココのように<お前が殺した>なんてことは言わない。
「わたくしは、加害者ではございません。
もちろん、倒れてきたリア様を引き上げられず、いっしょに落ちてしまったことは、悔やまれます。
……わたくしに、もう少し、腕力があれば、と」
「何が、おっしゃりたいの?
確かに、私はイーストエンドの友人です。
そして良きライバルでした。
彼女を失って、苦しい思いが消えません。
そんな私に、関係者の貴女様は」
「お伝えしたいことは、二つです」
脳内エリゼは、とっくにあきらめて、棺に座っている。
「マーヤ・ショーンさん。
貴女、あの階段に、いらっしゃいましたよね」
私を待ってくれていたの?」
扉が開いて、ちらほらと生徒たちが出てくる中に、会長=兄がいた。
「いいえ、おにいさま、きょうはわたくし」
そこまで言うと、お目当ての生徒が現れた。
「……初めまして。
ぶしつけなお手紙申し訳ございません」
私は、この人に会いに来たのだ。
「……ごきげんよう、あの……」
マーヤ。
リアの親友に。
マーヤ・ショーン。
平民出身の彼女は、
ギリギリ貴族の最下層のリアとは、馬が合った。
彼女も、家族を当てにせず、自分の身を立てていきたいと願っていた。
そのためにも、と、
学園のあらゆることに熱心に取り組んだ。
リアが1番なら、彼女は10番。
リアが3番なら、彼女は15番。
そんな風に、リアを追いかけてきた。
体術は、マーヤが強かった。
生徒会の書記は、リアが務めたが、
マーヤは文化部部長として参画していた。
二人とも、やせっぽっちで、
ふたりとも、おしゃれに興味はあっても資金がなかった。
地味でやぼったい二人の娘。
それでも二人でいるのは、心地よかった。
「改めまして、お時間いただいて申し訳ございません。
その……授業は大丈夫だったでしょうか」
無論、マーヤが2講目、履修済みであることは承知している。
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従者に離れるよう伝え、彼は私たちの姿が見える位置に下がった。
甘い飲み物を彼女に進める。
「あの……」
こわばった表情のマーヤ。それはそうよね。
急に会ったことのない侯爵令嬢、しかも生徒会長の妹に呼び出されたんだもの。
「まず、はじめに」
私はエリゼになり切って、口火を切った。
「リア・イーストエンドさま、のことは、本当に残念です。
お友達のご不幸、お悔やみ申し上げます。
わたくしも、あの方と痛みをともにしたご縁。
ずっと、ずっと心にあります」
私がそう述べると、マーヤは少し口をゆがめた。
「……えらく客観的におっしゃいますのね。
学生の中には、貴女がリアの死に関わっているかのように、
言うものもおりますのに」
さすがに、ココのように<お前が殺した>なんてことは言わない。
「わたくしは、加害者ではございません。
もちろん、倒れてきたリア様を引き上げられず、いっしょに落ちてしまったことは、悔やまれます。
……わたくしに、もう少し、腕力があれば、と」
「何が、おっしゃりたいの?
確かに、私はイーストエンドの友人です。
そして良きライバルでした。
彼女を失って、苦しい思いが消えません。
そんな私に、関係者の貴女様は」
「お伝えしたいことは、二つです」
脳内エリゼは、とっくにあきらめて、棺に座っている。
「マーヤ・ショーンさん。
貴女、あの階段に、いらっしゃいましたよね」
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