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しばらくそのまま、手を離さなかったマーヤとエリゼだったが、
マーヤが、はっと手を離し、
「し、失礼しました、サウスウッド様」
と、恐縮しきりのていで、頭を下げた。
「エリゼ、と」
「は」
「エリゼとお呼びくださいまし。
わたくしも、マーヤ様と、およびしても?」
「は……は、はいっ!」
マーヤの方が1つ年上。
けれど、さすがの令嬢の物腰に、気圧される。
と、同時に、
「え、エリゼ様、よ、よろしいのですか」
「もちろん。
リア様と同じようにはまいりませんが」
「いえっ!」
(あれ?)
心内リアは、マーヤの表情に見覚えがあった。
赤い顔、しどろもどろの様子。
涙だけではない、瞳の潤み。
(もしかして)
「わ、わたしみたいな、平民が、お友達呼びを」
エリゼはにっこり微笑んだ。
「わたくし」
「学園では、最下層ですわ。
こんな、みっともない下級生ですが、
よろしいでしょうか、マーヤおねえさま」
「……!&%$#!!!!!!」
(あー)
心内リアは、脱力した。
……たらしこまれてるわ、マーヤ。
その傾向は、生前に察してはいたけれど。
エリゼはにこにこにこしつつ
「ケーキをいただいても?おねえさまも。
では、4つ」
と、注文した。
む、むねやけが……
(そうですか?まだ、追加のプティングが)
やめー!は、吐きそうよ。
生まれてからこのかた、こんなにたっぷりこってりと
砂糖と生クリームを口に入れるのは初めてです!
エリゼ様~
(では、棺でお休みくださいませ♪
館から出てひさかたぶりですの。家族以外のかたとのスイーツ♡)
んんん~、と、プティング山盛りのスプーンを口に入れて恍惚としたエリゼ様を
マーヤはほれぼれと見ている。
どうしたマーヤ!
過食は大罪って、私に言いながら、一緒に固いパンをかじったあんたは、どこに?
なんで、ころっころなエリゼ様の食べっぷりに見とれてんのよ。
あばたもえくぼ、
あんた、かわいい♡って、つぶやいたわね?
つぶやいたよね?今!
「よく食べるよね。それ、4つめかな」
ん?
私は反射的に、身体の主導権をとって、振り向いた。
「おいしそうに召し上がってるよね。
サウスウッド嬢」
私は、硬直。
マーヤはカチャンと、礼儀なくカップをソーサーに落とした。
エリゼ様は
(……!)
と、卑怯にもバトンタッチして心内に逃げた。
「……ま、まくしみりあんだいいちおうじ、さま」
「お久しぶりですね、サウスウッド嬢。
お怪我、お気の毒でしたね」
そこに立っているのは、
さわやかににこやかに微笑んでいる
マクシミリアン第一王子様
で、し、た?
あああああああ?
マーヤが、はっと手を離し、
「し、失礼しました、サウスウッド様」
と、恐縮しきりのていで、頭を下げた。
「エリゼ、と」
「は」
「エリゼとお呼びくださいまし。
わたくしも、マーヤ様と、およびしても?」
「は……は、はいっ!」
マーヤの方が1つ年上。
けれど、さすがの令嬢の物腰に、気圧される。
と、同時に、
「え、エリゼ様、よ、よろしいのですか」
「もちろん。
リア様と同じようにはまいりませんが」
「いえっ!」
(あれ?)
心内リアは、マーヤの表情に見覚えがあった。
赤い顔、しどろもどろの様子。
涙だけではない、瞳の潤み。
(もしかして)
「わ、わたしみたいな、平民が、お友達呼びを」
エリゼはにっこり微笑んだ。
「わたくし」
「学園では、最下層ですわ。
こんな、みっともない下級生ですが、
よろしいでしょうか、マーヤおねえさま」
「……!&%$#!!!!!!」
(あー)
心内リアは、脱力した。
……たらしこまれてるわ、マーヤ。
その傾向は、生前に察してはいたけれど。
エリゼはにこにこにこしつつ
「ケーキをいただいても?おねえさまも。
では、4つ」
と、注文した。
む、むねやけが……
(そうですか?まだ、追加のプティングが)
やめー!は、吐きそうよ。
生まれてからこのかた、こんなにたっぷりこってりと
砂糖と生クリームを口に入れるのは初めてです!
エリゼ様~
(では、棺でお休みくださいませ♪
館から出てひさかたぶりですの。家族以外のかたとのスイーツ♡)
んんん~、と、プティング山盛りのスプーンを口に入れて恍惚としたエリゼ様を
マーヤはほれぼれと見ている。
どうしたマーヤ!
過食は大罪って、私に言いながら、一緒に固いパンをかじったあんたは、どこに?
なんで、ころっころなエリゼ様の食べっぷりに見とれてんのよ。
あばたもえくぼ、
あんた、かわいい♡って、つぶやいたわね?
つぶやいたよね?今!
「よく食べるよね。それ、4つめかな」
ん?
私は反射的に、身体の主導権をとって、振り向いた。
「おいしそうに召し上がってるよね。
サウスウッド嬢」
私は、硬直。
マーヤはカチャンと、礼儀なくカップをソーサーに落とした。
エリゼ様は
(……!)
と、卑怯にもバトンタッチして心内に逃げた。
「……ま、まくしみりあんだいいちおうじ、さま」
「お久しぶりですね、サウスウッド嬢。
お怪我、お気の毒でしたね」
そこに立っているのは、
さわやかににこやかに微笑んでいる
マクシミリアン第一王子様
で、し、た?
あああああああ?
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