夢十夜

母と買い物

　母と買い物に出た。電車に乗り、最寄り駅で降りる。母は初めて行く場所で、私は何十回も行ったことがあるところなので私が案内する。

　用を済ませると大きなカレンダーをくれた。

　「もらってもいい？」

　と聞くと、

　「いいわよ」

　私が持って帰る。

　帰る途中でトイレに行きたくなった。近くに公園があることを知っていたので寄る。

　出ると、母がいない。先に歩いていたので、まだ追いついていないのか、追い越して先に逝ったのか分からない。

　見まわしていると、道の遥か先にそれらしき女性が行くのが見える。

　随分と歩いて追い越したが、人違いで母ではなかった。

　携帯電話を掛けてみようと思った。現実の母は携帯が普及する前に逝ってしまっているが、この世界の母なら持っていてもおかしくはない。

　見てみたが、あいにく電池切れである。

　初めて来たところなので無事に帰ることができたのか心配だが、どうしようもない。

　途中で神社があったので、母が無事に帰れたことを願う。
　
　結局駅まで来てしまったが、母に会うことはできなかった。