息子は恋人 友情編

zebra

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アカネの心

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 ミドリの「告白」を聞いたとき、正直羨ましかった。

 成長していく息子たちのカラダに興味津々だったのは、私も同じ。その気持ちは常日頃絶え間なく襲ってくるものだったが、無理やり押し殺していたのだ。

 ミドリの子の相手をしてあげようと思ったのは、ボランティア精神だけからではない。私の中の「おんな」が沸々と沸き起こされたから。

 結婚してから、夫以外とやったことは無かった。それが当然だと思っていたし、特に不満があったわけではない。

 でも。

 それは他の男性、特に若い男性に興味が無かったということではない。私は性欲も好奇心も持ち合わせている
「おんな」だ。

 もちろん、その気になればいくらでも機会があるのは知っている。でも、どこの誰とも知れない男の相手などしたくはない。ミドリの子なら病気を伝染されることもないだろうからその点も安心だし。

 アヤメもやると言った。アヤメの心は分からないけど、私と同じような考えなのかもしれない。

 あの子の相手をする前に、夫で「練習」してみようか。もちろんこんなことは話したりしない。

 そう思っていたらちょうど仕事から帰ってきた。

 「あなた、今夜、いいかしら」

 「いいかって、あれ?」

 「そうよ」

 「きみの方から誘ってくるなんて珍しいこともあるものだ。いったい何があったの?」

 「何も無いわよ。私だって女なんだから、その気になることだってあるのよ」

 「いいよ。久しぶりに、やろうか」

 「ありがとう」

 夫に体を委ねながら、心の中はミドリの子に重ねる。

 性に対する好奇心が高まって妄想を巡らせている小学校高学年の男の子。父親が持っていたりダウンロードしたエロ動画や週刊誌のグラビアで解消しているのだろうか。

 ミドリは女だと言ってもあの子からすれば母親。他の女性ともしてみたいと思うのは自然だ。私みたいなオバサンのカラダではがっかりするかな。私自身はまだまだ自信があるのだけれど。

 正気に戻って赤面する。何より私の方が妄想に耽っていることに気が付いたから。

 「なんだか楽しそうだね」

 夫に私の心の中なんて分かるはずはないからそれは心配ない。

 「私のカラダ、どうかな」

 「どうって?」

 「若い子と比較して」

 夫が慌てた声になる。

 「そんな相手、いないから知らないよ」

 「でも、エッチな映像は見ているんでしょ」

 「それはそうだけど」

 「私と同じくらいの年齢の女性も出ているのかもしれないけど、ほとんどは若い子でしょ?」

 「多分」

 「だったら比較できるでしょ」

 「個人差が大きいと思うよ。きみくらいの肌の若い子もいるから」

 「そう、自身が持てたわ」

 意味を夫は知る由もないだろう。

 
 
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