三つ子の怨念百まで

zebra

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49日

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 49日法要に参加してきた。

 私はただ顔を出しただけだけどね。金も一切出していない。妹と弟が二人で勝手に進めたのだから私は顔を出すだけで十分だろう。あなたとの関係を考えてもそれ以上のことをやる必要はないのだし。きょうだいの中では末席だが、あなたの法事などそれで構わない。

 あんな不便なところに墓を作ってくれていい迷惑だ。きょうだいの中で自家用車を持っているのは弟だけだ。最寄りの駅から歩いたが、2キロくらいなのに場所が分かりにくくて30分以上も探し回る羽目になった。墓を決める時に初めから私など眼中になかったのだろうね。

 墓に限ったことではなく、あなたのやってきたことは全てにおいて無責任すぎる。母みたいにある日突然逝ったわけではなく、余命がほぼ分かっていたのに自分のやりたいことだけやって本当に必要なことにはほとんど手をつけなかった。あなたが家族を持つような人ではないことは明らかだったけど、攻めて最後は責任をとる行動をするべきだったのである。

 まあ、あの墓自体が何時まで持つか分かったものではない。あなたにとって唯一の孫である姪が引き継ぐ可能性は低いだろうし、将来どこに住むかもわからない。あなたはともかく、母には会ったことすら無い。恐らくきょうだいすべてがいなくなった時点で墓じまいだろう。

 あなたの六人のきょうだいのうち孫がいるのはあなたを含めて三人だけで、そのうちあなたと同じ姓なのはあなたの孫だけだ。女子だし、弟も婿養子を取らせようなどと考えないだろうから、半世紀もしないうちに高い確率であなたの一族で同姓の人は誰もいなくなるだろうね。あなたの実家の墓も含め、全て無縁墓になって消え去っていることだろう。

 そうそう、叔母(あなたの弟の妻)は、私たちが高校進学後母が働き始めたのは生活費を補うためだと思っていたらしい。あなたは知っていたのか分からないけど、母は家に一銭も入れてはいなかった。稼いだ金はオペラ鑑賞など自分の楽しみのために使っていることを私に話してくれていた。

 それで構わなかったと思うよ。あなたが家にいるときは息が詰まるような生活を強いられていたのだから、それくらいの楽しみが無ければやっていられなかったはずだ。

 これはあなたは知らなかっただろうけど、将来あなたと別れることも考えていた。母があなたと一緒に老後を迎えることになっていたら毎日顔を合わせる生活になっていただろうし、それは母にとって耐え難いものだったろう。
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