私がエロ小説を書き始めるようになった理由

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インテリAV女優

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 4/11朝日新聞夕刊に「紗倉まな」というアダルトビデオ女優の「実像に迫る」という記事が載っていた。

 名前くらいは聞いたことがある。週刊誌にヌード写真が載っていたのを思い出し、調べてみたら他のアダルトビデオ女優と絡む写真が掲載されていた。

 高等専門学校の学生の時にデビューしたのだそうで、

 「母から体がきれいだと褒められていた。自分の武器を最大限に生かそうとして「天職」だと思い、この職業を選んだ。後から偏見の多い仕事だということに気付いた」

 のだそうだ。

 それ自体は彼女の「仕事」なわけだし、どうということは無い。だが、

 「後から偏見の多い仕事だということに気付いた」

 というのは、事実だとすればあまりに世間知らずであろう。

 ご存知ない方もいるかもしれないので説明しておくと、「高等専門学校」というのは中卒資格で入学できる5年制の「高等教育機関」である。卒業すると短大卒と同等に扱われるが、実質的には4年制大卒とそんなに変わりはない。今では卒業者の過半数が大学の3年に編入し、さらに大学院に進学する者も多い。

 その多くが国公立で、当然のことながらバカでは入学できない。進級の基準も厳しく、必要な単位を取得できなければ留年となる。そういう者も多いらしい。卒業できそうも無いものは3年修了時に多くは退学する。その時点で一応高卒と同等に扱われるからである。卒業までこぎつけられた者はエリート扱いであり、就職を希望すれば引く手数多である。

 ちなみに、エリートのアダルトビデオ女優というのはそれほど珍しくない。数年前アダルトビデオ女優を「副業」でやっていた高校の物理講師が発覚して退職に追い込まれたこともあったし、鈴木涼美みたいに東大大学院修士課程を修了した人だっている。

 但し、彼女たちは「偏見が多い仕事」であることは自覚していてそれであえてやっていたのである。物理講師の場合は偏見が無いと思っていれば隠れてやったりはしていないだろうし、鈴木涼美はテレビ番組の中で「承知の上でやっていた」と自ら発言している。

 日本国内では表向き、(犯罪に類するものでない限り)

 「職業に貴賤は無い」

 ということになっているが、現実にはそうでは無い。

 性風俗の仕事を始めとして

 「賤しい仕事」

 と見做されているものはたくさんあり、多くの撮影スタッフの前で彼氏でもなければ夫でもない相手と性行為をする「職業」であるアダルトビデオ女優などはその典型であろう。

 どんなに賢くても一般常識というのが全く無い方なのだろうか。有名大学を卒業している人でも、そういう傾向にある場合が少なくないことは多くの読者がご存知であろう。もし、彼女が本当に普通の女優などと同様、

 「偏見で見られることが無い、ごく普通の職業」

 だと思ってこの仕事を選んだのだとすれば、あまりに一般常識に欠けていたとしか思えない。

 彼女は今までにいくつもの本を執筆しているらしい。やはりそれくらいのことができる頭脳の持ち主なのであろう。一度読んでみたい気もするが、緊急事態宣言まで出ているこのご時世、本屋を回って立ち読みするのも憚られる。ネット通販で購入しようとまでは思わない。

 エッセー集の

 「高専生だった私が出会った世界でたった一つの天職」

 「働くおっぱい」

 といった本も出しているらしい。読んだことは無いが、どのような内容かはおおよそ想像がつくし、記事にも

 「普通の女性でも、深い悩みなど特にない女性でも、ふんわりと流れ着く業界であることを書きたくて」

 とある。

 隠しているのならともかく、ここまでやってしまえば一生「背負って生きていく」しかない。タトゥーと同じで、

 「無かったことにはできない」

 のである。

 アダルトビデオ女優ということで

 「簡単にやらせてもらえる」

 と勘違いされて近づいてくる男に憤慨する女性も多いそうだが、そういうイメージで売っている仕事なのだから当然である。

 「ふんわりと流れ着く」

 業界なのかもしれないが、いったん流れ着いたら得体の知れない不気味な物から逃れられない

 「底無し沼」

 のような世界である。ようやく這い上がったとしても、付着物を完全に拭い去ることは不可能なのだ。

 引退し、一般人になり切ってごく普通の生活をしている「つもり」でも、過去の作品が週刊誌などで取り上げられて再び

 「掘り起こされ」

 肩身の狭い思いをしている例も少なくないらしい。著作権は製作会社にあるわけだから、そのようなことをされても契約書に一筆書いてでもない限りどうしようもないのである。





  

 
 

 

 
 


 
 

 
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