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新聞記事から

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 本日(2020/9/24)朝日新聞朝刊に、「性風俗事業者が、持続化給付金対象から除外されたことを不服とし、「法の下の平等」に反するとして訴訟を起こした」という記事が掲載されていた。

 ここでいう「性風俗店」というのは、「デリバリーヘルス」というものらしい。漠然とした知識しかなかったので、ネットで検索したら「性行為以外のあらゆることをさせる」ものとのこと。性行為をさせてしまうと「管理売春」ということで捕まってしまうから表向きはやっていないことにしているだけで「女性が自主的に」やっている可能性は高いと思われるが。

 確かにこんな店を持続化給付金の対象にするということになれば批判が殺到するだろう。一方店からすれば、違法なことをしているわけではないのに対象外ということに不満が起こるというのもわからないではないが、このような店や従業員は「堂々とする仕事」ではないという認識している人がほとんどだから、国や行政はまさか訴えられるとは想像だにしなかったのだろう。

 20年くらい前のことだったと思うが、韓国で性風俗店の取り締まりが強化されたときに従業員の女性たちが「私たちの権利を認めろ」とデモをやったことがある。まさか日本でも権利を主張する時代になるとは思ってもみなかったが、最近はアダルトビデオ女優が堂々とトーク番組で語るような時代だから、日本も変わってきたのかもしれない。

 そもそも、こういうことが起きるのは、世間一般では「違法、犯罪とまでは言えないが、堂々と名乗れる職種、職業ではない」という認識が強いことが一番の理由だろう。そうでなければ新聞記事に載せるのであっても堂々と名乗れるはずである。訴訟人の談話も載っていたが、やはり匿名になっていた。世間一般が応援してくれると思っているのであれば匿名にするはずはないのである。

 お隣韓国では日本軍に「強制連行された」ということになっている従軍慰安婦を問題視発言されるが、この国では売春婦が街中でデモをやったりしている。日本では絶対あり得ないことだ。匿名で発言する経験者はいても、堂々と名乗り出て発言する女性はごく一部の例外を除き、ほぼいない。家族や知人に秘密にして仕事をしていることがほとんどだから不可能なのである。給付金を受け取ることよりも、ばれてしまうことによるマイナスの方が遥かに大きい。日本人の大半は表向きはともかく、本音は「仕事には貴賎がある」と考えている。性風俗産業従事者の女性のことは「金のために体まで売る」という蔑みを持って見ている。従事者の女性もそれを理解していて、「立派な職業だ」と自信を持っている割合は相当に低い。

 2022/7/1、朝のニュースで原告が敗訴したというニュースが流れた。原告はここでも顔も出さず本名も隠している。そこまでしなければならないほど後ろめたい仕事をやっているつもりなら、もう諦めた方がいいと思う。「何も後ろめたいことはやっていない」のであれば顔も本名も出せるはずである。どこの誰だか分からないような人物が裁判を起こしても、世間の大半は賛同したりしない。

 ストリッパーやヌードモデルなどは自らの仕事に自信を持っていることも多いらしいが、これらはごく一握りを別にして稼げる職業ではないことも確かである。

 江戸時代までは必ずしもそうではなかったらしい。遊郭で働く女性はプライドを持っていたし、家族もそれを隠したりはしていなかったようだ。売春や性風俗が陰の存在ではなかったのである。
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