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失楽園

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 渡辺淳一の「失楽園」という小説をご存知の方は多いと思う。黒木瞳、役所広司の映画や、川島なお美、古谷一行のドラマにもなった。

 この小説が元々硬派で知られる日本経済新聞の連載小説だったことをご存知だった方はどれだけいるだろうか。当時の勤め先で取っていたから読んだことがあるのだが、「経済紙にこんな小説を載せていいのかなあ」と思ったものである。何しろ、不倫、心中がメインテーマの小説である。エロを取り上げた新聞小説というのは他にもあるが、その中でも極端な存在と言っても言い過ぎではない。同じ渡辺淳一の「愛の流刑地」では半分は女性が死んだ後の男性のことを描いているのとは対照的である。

 ちなみに、映画版の方は期待して見た人はがっかりするかもしれない。黒木瞳のヌードシーンはあるにはあるが、「サービスカット」のレベルであり、「想像」を膨らませてみせることを中心に構成されているからである。

 逆にドラマ版の方は川島なお美が登場するシーンは服を着ていることの方がはるかに少ない。原作小説以上に裸のシーンばかりになっていて地上波だから股間こそ映っていないもののほぼ全裸のシーンが大半を占めている。番宣番組で川島なお美自身が語ったところによると、「前貼り」も使用していなかったらしい。役に没頭するため演じている間は本気で相手役の古谷一行を好きになっていたからだとのこと。劇中の性交シーンで実際にやっていたかは語られなかったが、そうであっても不思議でない気がする。アダルトビデオなどではなくても、映画やテレビドラマで実際に「挿入」していることもあるらしい。欧米の作品では契約書で交わしているのだそうだ。

 個人的に川島なお美という女優は好きではなかったので、あまり見ることは無かった。今思えば全話録画しておいても良かったと思うが、ビデオテープは経年劣化が早いからいずれにしても今見るのは無理だったかもしれない。

 川島なお美という女優は「お笑いマンが道場」などで知られるようになったが、女優としてはあまりぱっとせず「イグアナの娘」で菅野美穂の母親役で出演したくらいしか記憶がない。酒の飲み過ぎがたたったのか、50代でこの世を去ったが、今作に出演したことで知名度を上げたのはせめてもの救いであったかもしれない。正に、「身一つで演じきった」といえる。
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