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背景について

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 言うまでもなく、熱帯の一部の種族などを別にすれば、人間は着衣が基本である。水着や裸というのは普通に考えれば特殊な状況下でしかありえない。

 水着写真やヌード写真では「そうであってもおかしくない」と想像されるような場所で撮影されたものもあれば、「普通だったら絶対にありえない」ような場所で「あえて」撮影されたものに分かれる。

 水着であれば、砂浜、プールなどであれば前者であろう。建物の屋上や庭先であっても、そういうところで日光浴をする人もいるだろうから「あり得ない」とまでは言わない。普通の室内や、それ以外の屋外ということになれば、そんなところで水着姿になるというのは少なくとも日本ではまずないだろう。撮影のために水着になったというのがはっきりしているわけで、自然な写真とは言えなくなる。

 ヌードであれば、浴室や自宅や旅行での宿泊先を思わせるような室内であれば自然に見えるが、そうでない室内や、ましてや屋外ということになれば、普通は裸になることなどあり得ないので、「作られた写真」そのものにしか見えなくなる。

 撮影場所が『自然に見える場所』であったとしても、股間を手やもので隠していたり(浅田奈美のリンゴヌードなどはその典型)ポーズを取っているようなものは「撮影のためにつくられた」ヌードであり、自然なものとは言えない。逆にカメラを意識していないように見える姿というものもあり、更衣室で脱いでいるものや、浴槽に浸かっているもの、体を洗っているところ、自室で自慰に耽っているようなシーンはそれが写真家の指示によるものであったとしても、カメラ目線や不自然な表情を浮かべていない限り「ごく普通の裸」に見えることになる。言い方は悪いが、「私生活で裸になっているところを盗撮」したような写真である。

 どちらを好むかは人それぞれだろうが、個人的には「自然に見えるヌード」の方が好ましく思う。

 ふつうだったらぜった位にありえないようなヌードもある。服をお互いに脱がし合ったり、上半身は着たままなのにパンツだけを下しているようなシーン。患者会社に診せる場合などを除き、トイレでもない場所でパンツだけ下ろしてお尻を出すなどあり得ない。

 どのような意図なのか理解しがたいのが、物置や藁が敷き詰められた小屋(家畜小屋?)で全裸で寝転んでいる姿である。何らかの事情でこっそりと会っていた二人が突然その気になってそのような場所でやろうとしたということなのか、それにしたってもっとましな場所がありそうなものだと思うのだが。
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