怪力悪役令嬢は冒険者になりたい!

タハノア

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王立魔法学園編2年生

015-魔法実技ー適正属性判定

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適正てきせい属性判定には、僕が独自に開発した水晶を使います。これは水晶の中に各属性に反応する星を入れてあります。属性の火は赤、水は青、土は茶、風は緑、光は白、闇は黒の6種類です。魔力に反応して、変化しやすい属性の星が光るようになっています。光が強いほどに適正てきせいが強いということです。」

 本で見た方法とは違う方法だ。これなら一度にすべての属性を試せるし、微かな反応も見極められそうです。

「皆さんご存じだと思いますが、適正てきせい属性で多いのは火、水、土、風で光、闇は少ないです。適正てきせいが2つあるのはかなり珍しい。適正てきせいが3つなのは王族の血筋だけで他はいません」

 魔術の勉強を始めた頃に、王族はすごいから王族なのだなと、感心かんしんしたのを思い出しました。

「使い方は先程の魔力量計測と変わりません。では初めは自分の属性がわかってる方にお願いします。」

「ふむ、では属性が周知の事実な私が適任だろう」

 王子が名乗り出た。普通は属性が1つだが、王族は得意な属性が3つあります。水、土、光でこれが代々王を名乗ってきた理由です。この3属性は食糧生産に非常に有効で、不作が起きそうになると王族が動くのだ。その性質もあってこの国では王の評判は信仰するレベルにまで達している。

「はぁぁ!」

 水晶の中にある青色、茶色、白色の3色が光り輝いている。

「やはり水、土、光が均等ですね。魔力量が多いとまぶしいですね、さすが王子」
「では先程の同じ順でやりましょうか。ではバルトレイスさんどうぞ」

 ラーバル様が水晶へと向かい手を添えた。

「ハッ!」

 水晶の中には緑の星が光っている。ラーバル様の適正てきせいは風だ。

「風ですね。しかし魔力量に対して光が弱いですね……。ちょっと待ってください」

 そう言うとノチド先生は、また何もない空間からモノクル取り出した。それを装着するとラーバル様をまじまじと見始めた。

「ああ、分かりました。これは身体強化しんたいきょうか特性とくせいで7割使ってますね」

 やはりラーバル様も身体強化しんたいきょうか特性とくせい持ちでしたか……。予想はついていました。そうなると私も魔法が使えるかもしれないと言う希望がありますね!

特性とくせいというのは、魔力を属性変化させる前の段階で、体の中に魔力を戻す分岐のようなものです。バルトレイスさんの場合だと内部へ返すのが7割で、外部出力が3割ということです。だから魔力量が40の3割で、実際に魔法として使えるのが12ぐらいですかね。なので魔法が弱くないですか?」

「恥ずかしながら、平均より劣っています」
「そうでしょう。しかし身体能力しんたいのうりょくはどうですか?」
「騎士団の副団長を任されるぐらいには好調です」
「ふむ、魔法は補助的なもので十分でしょう。風は身体能力しんたいのうりょく補助系の魔法があるので相性もよいでしょう」
「そうですか、ありがとうございます」

 とことん剣士に向いてそうな組み合わせなのですね、うらやましいですわ。

「では次エトワンスさん」

 次はアリッサちゃんですね。一体何属性なのでしょうか?

「え~い!」

 目が痛くなるほどの白い光があたりを包み込む。

「おおお! この強さで光属性ですか! 素晴らしい! 一級の回復魔法師になれる才能がありますよ!」
「アリッサちゃんすごいですわ!」
「えへへ~、実は回復魔法が少し使えるんだよね~」

 すごい光でした。アリッサちゃん回復魔法が使えるのですね、うらやましい。PTを後ろから援護する回復魔法師憧れますわ!

「では次ドレストレイルさん」

 ついに来た。来てしまった。

 これは多分魔法が使えるか使えないかの最終審判になるわ……。

 水晶に手に当てて魔力を放出する!

 放出する!

 放出する!

――――

放出する! 放出する! 放出する! 放出する! 放出する! 放出する! 放出する!放出する! 放出する! 放出する! 放出する! 放出する! 放出する! 放出する!

――――

「何も変化しませんわ……」

 静まる教室……。驚く目、あわれむ目、視線を送るとそらされる目、誰とも目が合わない……。親友まで目をそらす……。予測はついていました……。ですが……突きつけられると非常につらい。

「ちょっと確認するよ……」

 先生はモノクルを装着すると、私をじっくり観察かんさつする。

「まずは……。祝福? さっき言ってたものですかね? 1割ぐらいこれに魔力が行ってますね」

 やはり魔力を常に消費していたのですね……。

「つぎは……。形態固定? なんだこれ? 髪の毛限定? これも1割使ってますね」

 髪の形態固定!? 思い当たるフシがいくつもありますわ……。寝る時に下敷きにしても崩れないし、湯船に浮かべても崩れない……。たしかにおかしいと思ってました……。魔法だったのですね……。

 とつぜん過去が思い出され、お母様の声が頭の中で響く――『あなたが、これからずっとする髪形よ』――そういうことだったのですねお母様……。

「後は……。やはりこれが大きいですね、特性とくせいでしょうか? 8割使ってますね。何でしょうかこれは? 見たことないですね……。何かを強化しているみたいですが」

 あれ? 私の体のことを考えると、身体強化しんたいきょうかだと思っていたのですが、違うのでしょうか?

「どちらにしろ、これじゃ魔法は使えませんね」

 これじゃ魔法は使えませんね。

 知っていたけど一番聞きたくなかった言葉が、頭のなかで反射するように何度も響く。跳ね返るたびに心が削られていく。そして、剥き出しになった心の芯は、夢の重さに絶えきれずポキリと折れ意識と、ともに崩れ去った。

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