怪力悪役令嬢は冒険者になりたい!

タハノア

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王立魔法学園編2年生

014-魔法実技ー魔力量の測定

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 いよいよ今日は魔法の実技の授業だ。実技は専用の教室で行われる。作りは訓練場と似ている。石畳が敷かれたとても広い空間だ。

 端には訓練用の標的になると思われる的や人形がある。授業はクラス単位で行われる。椅子などが、ないので自然にいつもの3人で集まる。私と、アリッサちゃん、王子、の3人です。すると、そこにラーバル様が加わり合計4人で集まった。

「ついに実技ね! 緊張するわ」
「楽しみだね~、どんな事やるんだろ?」
「初めは、魔力量の測定と適正てきせい属性の見極めだろうな」

 すでに、魔法を使えるらしいアリッサちゃんは、余裕そうだ。王子は家庭教師とか居るだろうし……。ラーバル様は確かあまり得意ではないと言っていたような……。

「ラーバル様は、魔法はどうですか?」
「私は下の中と言ったところですね。あまり得意ではありません」
「そうなんですの? 私は使えるかも不安ですわ」

 下の中ということは、少しは使えるということですね。以前に読んだ本には身体強化しんたいきょうか特性とくせいがあると、魔法がほぼ使えないと、あったので不安だ。

 しかし本は本! もしかしたら使えるかも……。少し残った希望と不安が頭の中がグルグル周る。周囲の会話の内容が頭に入ってこなくなった頃に、担当の教師がやってきた。

 枯れたワラのような少しくすんだ金髪は、肩に届かないほどの長さです。そして、あちこち寝癖がついている。眠そうな目つきで、目の下には薄っすらとクマがある。しかし瞳は赤く鋭い。

「ノチド・バーンノルドです。授業します。よろしく。僕のことはノチド先生と呼んでください。変態の仲間だと思われるので、家名では絶対によばないでください」

 先生は、ボサボサ頭を少し下げただけの、礼とも呼べない礼をした。機能重視だと思われるグレーのローブは、彼の怪しさを増長している。一見若そうだが、寝癖やクマのせいで年齢がよくわからない。

 初対面の教師のインパクトに、素直な感想が口からこぼれ落ちていた。

「この御方は大丈夫なんでしょうか?」
「バーンノルド家は、魔法に関してはとびきり優秀だぞ。しかし実力と変人度が比例するおかしな家系だがな」
「世捨て人との境界線のギリギリこちらがわって感じですね~」
「教師なのだ。見た目に関しては少々問題があるが、きっと素晴らしい人物のはずです」

 私の問に王子は情報をアリッサちゃんは、的確てきかくな表現をラーバル様は、信頼とそれぞれが口にする。家名でよばれるのが嫌とは、そういうわけがあったのですね……。

 きっと、風変わりな人がいるのね……。みんなの意見をまとめてみる。先生の印象は悪いけど能力と学園長からの信頼はあるといったところかな?

「はい、じゃ授業を初めます。最初は魔力測定します」

 ノチド先生は突然何もない空間から何かを取り出した。それは、長いコップのような大きい筒状のガラス容器だった。筒には等間隔に横線が入っていて、中には水らしき液体が入っている。どうやら水に魔力を流して、増えた水量で魔力量を判定する道具だとわかりました。

「じゃー適当に並んでください」

 少しざわざわしたあと、私たちの集団が押し出されるように前に出た。

 一番初めはやだ! 私はそっと王子を押し出した。

「仕方ない、私からやらせてもらう」
「えーと、使い方はわかりますね? 水に魔力を流し込んでください」

「はぁぁ!」

 王子が筒に手を当て、魔力を流し込む。かすかに光ると、水はどんどん体積を増やし、登っていく。ぐんぐん増える水は、8割ほどまで到達するとクラスメイトたちは「おおおお!」と歓声かんせいを上げた。

「やはりアーク王子は見事ですね。80ほどですね、平均値の4倍ほどです。すごいです」
「少し増えたがまだ80か、兄上は90をこえているから、私もまだまだ、だな」

 さすが王族だけあって魔力量は多いようだ。頭も良くて魔力も高いさすが王子! というか王太子は90だってすごい!

「さてと水量を戻して……。では次どうぞ」

 先生が水を捨てているのを見て、私はそっとラーバル様の背中を押す。貴族序列ってことでここはお願います! ラーバル様がちらっとこちらを見ると、筒に手を当て測定を始める。

「ハッ!」

 勢いは弱いがじわじわと増えていき4割ほどで止まった。

「ふむ40ですか、なかなか多いですね」

 魔法は不得意だと言ってましたが、魔力量は常人の2倍ほどですね。練習次第ではどうにかなるってことでしょうか?

 次の準備が整いましたが、まだ決心が付きません。ここはアリッサちゃんに先にいってもらいましょう。

「えーい!」

 水が急激に体積を増し一気に9割ほどまで上り詰める。あっという間の出来事で驚いたのか少し間をおいて、クラスメイトたちは「おおおお!」と歓声かんせいを上げた。

「90だと……大魔導師クラスじゃないか! ええと……エトワンスさん、すごいです!」
「えへへ」

 アリッサちゃんすごい! 魔法が使えるって言っていた事もあり、妙に自信があると思ったら、こんなにすごかったのですね!

 ついに私の番だ……。大丈夫! 魔力量はある! そう魔力量だけはある……はず! 筒に手を当て魔力を放出する。

 体積が増えるというより、爆発が起きたといったほうが近い!

 水柱がたち筒から水が飛び出て、アリッサちゃんに水をかけてしまった!

「わああ、アリッサちゃんごめんなさい! えっとタオルなんかない……そうだ!」

 私は急いでアリッサちゃんに抱きついた。

「はわ! マルレちゃん! ななななな、なにを!」
「こうすれば私の祝福で水が乾きます! じっとしてて!」
「はう!」

 水を汚れと認識すると清潔の祝福が発動した。ぬれていたアリッサちゃんの服があっという間に乾いた。

「これで乾きましたわ、ごめんなさいね」
「いえ、らいじょうぶれふ」

 あれ顔が赤いです? もしかして風邪でも引いてしまったのかな? でもそんなに長いことぬれていなかったですわよね?

「すごいよ! ええと……ドレストレイルさん! 測定不能なんて初めて見たよ!」

 静かだったクラスメイトたちは、思い出したかのように「おおおお!」と歓声かんせいを上げた。

「そっそうですか、なんだか恥ずかしいですわ」

 そうよ魔力量はあるのよ! きっと魔法も大丈夫だわ!

「いやすごいな! 二人共! 兄には劣るが同世代なら私が、魔力量が一番多いなどと思っていた自分が恥ずかしいな」
「すごいけどちょっと悔しいな~、でもさすがマルれちゃんだね~」
「すごい魔力量ですね。魔術師団からも誘いが来るかもしれない……」

 このあと粛々と検査は続きクラス全員が測定を終えました。やはり魔法学園に集まるだけあってクラスの平均は40でラーバル様がこのクラスの平均ぐらいだとわかりました。

「さすが学園の生徒です。全体的に高いですね。さて、次は得意属性の検査に移ります」

 私は息をのんだ。ここからが本当の戦いの始まりだ!
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