怪力悪役令嬢は冒険者になりたい!

タハノア

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王立魔法学園編2年生

018-厄介者

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 いつものようにラウンジへ行く。3人がけの長椅子が2脚ある、お気に入りのテーブルに余裕を持って座る。

 私とアークがこちら側に、テーブルを挟んで向こう側に、アリッサとラーバルが座っている。ファーダがキョロキョロしながら、どこに座ればいいか迷っている様子だ。

「あのー、お嬢、俺はどこに座ればいいんですか?」
「床にでも座ってればいいわ」
「そっか床ですねー、わかりました! ……って言うとでも思った!? ヒドイよ! ちゃんとして!」

 うわ……ノリツッコミ……コイツの存在自体が黒歴史だわ……。

「うるさいわね、適当に座りなさいよ」
「えーっとじゃココに……」

 ん? ラーバルとアリッサの間に座ろうとしている!? 私は、ファーダの後ろにすばやく回り込む。そして、首根っこをつかんで、つるし上げる。このバカどうしてくれましょう!

「そこは、一番あり得ないですわよ!!」
「ええ! 女の子の隣がいい!」
「はぁ!? ダメに決まってるでしょ!」

 仕方がない……。何をするかわからないから、殴れる範囲に置いておく必要がありますね……。ファーダの襟首をつかんだまま、子猫を連れて行く母猫のように連行する。自分の席の隣まで連れてきて隣に座らせる。そして、私は、さげすんだ目つきでファーダを見て言い放つ。

「この通り、コイツはふざけたやつなので、皆様お気を付けください」
「お嬢! 止めてくださいよ! いきなり評判を下げようとしないで!」
「下げる? 妥当よ! 妥当! マイナスからでも充分だわ!」

「――長い付き合いなのか?」

 王子が鋭い目つきで私たちを見る。目が怖いんですけど……なんか怒ってる? 不敬罪? 不敬罪来ちゃうの?

「ええ、コイツは5歳から同じ屋敷で育った ただの・・・使用人ですわ」

 幼馴染おさななじみ……。この言葉はコイツには使いたくない。

「そうか……」
「うん……。何だろ……うん……」
「初めて見るタイプの人ですね……」

 あ……れ……違う怒ってない……これドン引きだ……。

(あんたがバカすぎて、ドン引きされてるじゃないの!)
(俺のせい? お嬢もノリノリだったじゃないですか!)

「お騒がせして、申し訳ありませんわ」
「申し訳ないです」

「いや構わん。マルレが人をつるして椅子に放り投げたのに少し驚いただけだ」

 うわあああアークは私にドン引きしてたあああああああ!

「お嬢はいつもこんな感じですよ」

 追撃やめて! お願い止めて! 否定! そうよ否定しないと。

「もちろんうそですわ、あとでお父様と話し合う必要がありますね……」
「わかりましたよ! おとなしくしときます!」

 お父様の名前を出せば、おとなしくなるのは相変わらずね。コイツの制御はこれに限ります。

「はぁ~、だいたいどんな人かわかったよ。ファーダくんは寮に入るのかい?」
「そうです。今日から寮に入ります。」
「そうかでは私が男子寮を案内しよう」

 そっかファーダも寮生活か、アレでも使用人だからきっと平気でしょうね。けれどもアークが行く必要ないと思う。ファーダに妙なことを吹き込まれたりしそうだし……。

「え? アークがコイツために、わざわざ行かなくても……」
「婚約者の知り合いなのだから、私が案内してもよいだろ?」

 うーん婚約者の知り合いか……。たしかに筋は通っていますけど……。

「まぁそうですけど……。ではなにか失礼なことしたら私に言ってください」
「はぁ~ お嬢ならともかく、アーク殿下に失礼なことするはずないでしょ」
「あなた、雇い主の娘に失礼だと自覚しているのね!」

 やはりこのバカは、敬意というものが足りませんわ!

 追撃をしようと考えていると、あきれた顔でバカなやり取りをアークに静止された。

「おいおい! 何時まで続ける気だ日が暮れてしまうぞ」
「そうですわね。さっさとそのバカを連れて行ってください!」
「また始まりそうだ……。行くぞファーダくん」
「はい!」

 アークとファーダがラウンジから出ていく。嵐が過ぎ去ったラウンジはしんと静まり返っていた。その沈黙を破ったのはアリッサでした。

「なんか、すごかったね、ファーダくんもマルレも」
「アリッサ!? 私もですか?」
「そうね、訓練中のように激しかったわ」

 ラーバル様まで……。もしかして令嬢のメッキが剥がれてきてしまったのかしら? 確かに少し感情の抑制が、甘くなっていたかもしれませんね……ん? でもファーダがふざけたことしなければ、あのようには、ならないし……うん私は悪くないわ!
 
「で? ファーダくんとアークどっちを選ぶの?」

 ニヤニヤと悪い笑顔を浮かべるアリッサ。

「そうね、二人は無理だものね」

 話に乗るラーバル。

「へ? 選ぶ? 何が?」

 ん? 意味がわからないわ? 選ぶ……?

「まどろっこしい! どっちと付き合いたいって聞いてるの!」

 付き合う……? 付き合うって、あの付き合う? 恋人ってこと?

「別にどちらとも、お付き合いするつもりはありませんよ?」
「な~んだ、どっちとも付き合う気はないのか~」
「当然ですわ! ファーダはゴミムシだしアークはただ親たちが決めたことだし」
「ゴミムシって……。じゃあマルレはどんな人がタイプなの?」

 どんな人がタイプ……。壮絶な脳内会議が始まる。

 各員報告!

 こちらマルレ0~10歳班! 同年代の子はファーダだけですわ!
 却下です! 今すぐ記録ごと抹消しなさい!

 こちらマルレトモカ融合 10~12歳班! 読書と剣だけですわ!
 却下です! 私の恋人はスポーツと勉強です宣言はアウトですわ!

 こちらマルレトモカ学生 13~14歳班! 押し付け婚約者のアークが居ますわ!
 却下です! あの感じは、なしですわ!

 こちらアシハラトモカ 0~16歳班! 思い浮かびません! お力になれず申し訳ありません!
 なん……だと……。あなた! 共学での9年間何をしてたのですか!

 ゲームであります!
 何をやっているんですの!

 あっ! デモンシーカーのSSRインキュバス様がいました!
 2次元ではないですか! くっ背に腹は代えられません。特徴とくちょうをまとめてすぐに提出してください!

 私は壮絶な脳内会議の末に無理やりひねり出した理想のタイプを語りはじめる。

「そうですわね……。髪は清潔感があって、獲物えものを狙うような鋭い目でそしてシンプルな服装をビシッと決めているような方がいいですわね」

「ねぇラーバル……」
「そうねアリッサきっとそうだわ」

 二人の反応が少しおかしいわね……。

「マルレってザロットきょうみたいな人がタイプなの?」

 アリッサ? なに? え? 私がたった今言った事を思い出す……。確かにお父様に当てはまる……。

「たしかにあの凛々しさと眼光は、すさまじいものがあったわ……」

 ラーバル? なに納得しているの?

「そうだよね~初めはすごい威圧感だったけどきっと二度三度見れば」

 ん? ん? ん?

 このまま私は、誤解を解けず、お父様のような方がタイプということになってしまった……。

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