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勇者物語に首を突っ込む編
050-ゾンビミノタウロス
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3人を視界に捉えたゾンビミノタウロスは切り込みの入った喉からゴポゴポと気味の悪い音を鳴らし大きな斧を引きずりながらこちらへ近づいてくる。
「まずは足止めよ!」[スコーチャーレイ]
先制はリーシャーだ!杖から放たれた光線はマルレが破壊した腐れ牛男の左膝に命中した。しかし効果は薄いゾンビ化前より強くなった筋肉を突破できず焦げ跡を付けただけで大したダメージにはならなかった。
「光属性がたいして効いてない!?」
「次は俺だ!」
アロイーンが剣を構えて距離を詰める。迎え撃つ腐れ牛男は乱暴に斧を振り下ろすがアロイーンは軽く躱し左膝を力いっぱい切り付ける。
「手応えありだ!」
左膝が完全に使い物にならなくなった腐れ牛男は右足と左手を地面につき這いずるような形になった。
「アロイーン!!斧!」
しかし右手に持った斧の勢いは止まらない。リーシャーの叫びも虚しくアロイーンに斧が迫る。油断大敵!斧の攻撃をまともに喰らい弾き飛ばされ木の幹に叩きつけられた。
「ぐはぁ!」
鎧が頑丈だったようで切り傷は負っていないがその衝撃は凄まじく口から血を吐き出した。
「アロイーン!今回復する!」
「リーシャー後ろ!」
「えっ?」
戦士でも避けきれない速さの斧が後ろを向いているリーシャーに迫る。アロイーンの顔は絶望に染まる……
リーシャーがいた場所を斧が通り過ぎ彼女の姿が消えた……鎧を着ていても大ダメージを受ける攻撃をローブ一枚で受けた彼女がどうなるかは考えなくてもわかる。たった一つの油断……均衡が崩れるには十分だった。
「リーシャー!」
絶望の叫びが森に木霊する。
「うるさいですわよ!一撃与えたぐらいで調子に乗るからこうなるのですわ」
マルレの冷たい声が響く……
アロイーンがマルレの声がした方をキッと睨む。そこにはリーシャーを抱えたマルレが見えた!
「無事だったのか!?」
「うん!マルレさんがギリギリで助けてくれた!」
二人が無事を確認し合う……ほわほわした空気をマルレが一喝する。
「はい!まだ戦闘中よ気をそらさない!」
駆け寄ったリーシャーに肩を借りてアロイーンはやっと立ち上がる。
「リーシャーさんはアロイーンさんの回復を……」
マルレは怒りに震えていた……もし私が付いてきていなかったら二人は死んでいた……無責任に牛男の死体を置いたことで誰かが死ぬとは考えてもいなかった自分に腹がたった。
「これは私が撒いた種です……きっちり処理します」
手に持っていたクレイモアを地面に突き刺す。
左足を一歩踏み出し上半身を少しひねる。左手は手刀を作り軽く前に出し右手は握り拳を作り腰に添えて右脇を締め少し腰を落とす。前世の知識にある空手の構えだ。
遊びは終わり…‥本気で戦う合図だ……
「なぜ剣を!?」
「マルレさん!?」
マルレが素手のほうが強いと知らない2人は混乱するばかりだ…‥まさか自殺?との考えもよぎったが、剣を構えているときとは気迫が段違いなのでその考えはすぐに引っ込んだ。
マルレは地面を強く蹴る!目で追えるギリギリのスピードで腐れ牛男の懐に潜り込む。
「せりゃああああああ!」
がら空きの鳩尾に正拳突きを叩き込む。平常時の最大出力で放たれた拳の威力は腐れ牛男の鳩尾を中心に大穴を開けるほどだった。
首と腕は体から離れ肉片と共に後方へと飛び散った。
腐れ牛男の始末を終えたマルレは振り返ると治療の手が止まってる2人に向って謝罪した。
「私のミスで化物を作ってしまい、危険な目に合わせてしまって申し訳ありませんでした」
「あ……はい……」
「大丈夫です……」
「では治療の続きを私は牛男を回収します」
リーシャーはアロイーンの治療をしながらヒソヒソと話し合う。
(強いとは思ってたけど桁違いだ……)
(そうね……私達少し強くなったからって調子に乗ってたみたいね)
(ああ……命拾いしたな)
マルレがリュックの口を開き肉片を除く牛男の死体の回収しているのが見える。
(もしかしてスマッシュエイプ4匹背負ったままだった?)
(そうだな楽勝なんだな……聖剣を抜いてたときは赤い霧をまとってたからあれでも本気じゃないかもしれない)
(はぁ……考えるのも馬鹿らしくなってきたわ)
「お二人とも治療は終わりました?あそこに聖剣がありますわ」
開けた森の中心部を指差し2人を誘導する。岩に刺さったグレーの聖剣をアロイーンがじっくりとみる。
「確かにこの鎧と似ている。聖剣に間違いないと思う」
「抜いてみてよ」
リーシャーが聖剣を抜けと勧める。アロイーンはコクリと頷くと聖剣に手をかけた。
手を触れたその瞬間に聖剣は光り輝きグレーだった剣身は鎧と同じ白に変わり光を失った青い宝石は光を取り戻し青白い光をゆらゆらと放っている。今の聖剣の状態を見るとマルレが持っていたときは死んでいると表現するのがぴったりだった。
「軽い……」
正当な持ち主が持つことで真の実力を発揮した聖剣は羽根のように軽くなり光属性の魔力を帯びていた。この様子を見れば誰にだってアロイーンが何者かがわかる。
「あなた勇者だったのね」
マルレがぼそっと呟く。
「隠していてすいませんでした」
「私も同じよ……もう一度自己紹介をしましょう」
マルレの提案でもう一度自己紹介することになった。
「まずは足止めよ!」[スコーチャーレイ]
先制はリーシャーだ!杖から放たれた光線はマルレが破壊した腐れ牛男の左膝に命中した。しかし効果は薄いゾンビ化前より強くなった筋肉を突破できず焦げ跡を付けただけで大したダメージにはならなかった。
「光属性がたいして効いてない!?」
「次は俺だ!」
アロイーンが剣を構えて距離を詰める。迎え撃つ腐れ牛男は乱暴に斧を振り下ろすがアロイーンは軽く躱し左膝を力いっぱい切り付ける。
「手応えありだ!」
左膝が完全に使い物にならなくなった腐れ牛男は右足と左手を地面につき這いずるような形になった。
「アロイーン!!斧!」
しかし右手に持った斧の勢いは止まらない。リーシャーの叫びも虚しくアロイーンに斧が迫る。油断大敵!斧の攻撃をまともに喰らい弾き飛ばされ木の幹に叩きつけられた。
「ぐはぁ!」
鎧が頑丈だったようで切り傷は負っていないがその衝撃は凄まじく口から血を吐き出した。
「アロイーン!今回復する!」
「リーシャー後ろ!」
「えっ?」
戦士でも避けきれない速さの斧が後ろを向いているリーシャーに迫る。アロイーンの顔は絶望に染まる……
リーシャーがいた場所を斧が通り過ぎ彼女の姿が消えた……鎧を着ていても大ダメージを受ける攻撃をローブ一枚で受けた彼女がどうなるかは考えなくてもわかる。たった一つの油断……均衡が崩れるには十分だった。
「リーシャー!」
絶望の叫びが森に木霊する。
「うるさいですわよ!一撃与えたぐらいで調子に乗るからこうなるのですわ」
マルレの冷たい声が響く……
アロイーンがマルレの声がした方をキッと睨む。そこにはリーシャーを抱えたマルレが見えた!
「無事だったのか!?」
「うん!マルレさんがギリギリで助けてくれた!」
二人が無事を確認し合う……ほわほわした空気をマルレが一喝する。
「はい!まだ戦闘中よ気をそらさない!」
駆け寄ったリーシャーに肩を借りてアロイーンはやっと立ち上がる。
「リーシャーさんはアロイーンさんの回復を……」
マルレは怒りに震えていた……もし私が付いてきていなかったら二人は死んでいた……無責任に牛男の死体を置いたことで誰かが死ぬとは考えてもいなかった自分に腹がたった。
「これは私が撒いた種です……きっちり処理します」
手に持っていたクレイモアを地面に突き刺す。
左足を一歩踏み出し上半身を少しひねる。左手は手刀を作り軽く前に出し右手は握り拳を作り腰に添えて右脇を締め少し腰を落とす。前世の知識にある空手の構えだ。
遊びは終わり…‥本気で戦う合図だ……
「なぜ剣を!?」
「マルレさん!?」
マルレが素手のほうが強いと知らない2人は混乱するばかりだ…‥まさか自殺?との考えもよぎったが、剣を構えているときとは気迫が段違いなのでその考えはすぐに引っ込んだ。
マルレは地面を強く蹴る!目で追えるギリギリのスピードで腐れ牛男の懐に潜り込む。
「せりゃああああああ!」
がら空きの鳩尾に正拳突きを叩き込む。平常時の最大出力で放たれた拳の威力は腐れ牛男の鳩尾を中心に大穴を開けるほどだった。
首と腕は体から離れ肉片と共に後方へと飛び散った。
腐れ牛男の始末を終えたマルレは振り返ると治療の手が止まってる2人に向って謝罪した。
「私のミスで化物を作ってしまい、危険な目に合わせてしまって申し訳ありませんでした」
「あ……はい……」
「大丈夫です……」
「では治療の続きを私は牛男を回収します」
リーシャーはアロイーンの治療をしながらヒソヒソと話し合う。
(強いとは思ってたけど桁違いだ……)
(そうね……私達少し強くなったからって調子に乗ってたみたいね)
(ああ……命拾いしたな)
マルレがリュックの口を開き肉片を除く牛男の死体の回収しているのが見える。
(もしかしてスマッシュエイプ4匹背負ったままだった?)
(そうだな楽勝なんだな……聖剣を抜いてたときは赤い霧をまとってたからあれでも本気じゃないかもしれない)
(はぁ……考えるのも馬鹿らしくなってきたわ)
「お二人とも治療は終わりました?あそこに聖剣がありますわ」
開けた森の中心部を指差し2人を誘導する。岩に刺さったグレーの聖剣をアロイーンがじっくりとみる。
「確かにこの鎧と似ている。聖剣に間違いないと思う」
「抜いてみてよ」
リーシャーが聖剣を抜けと勧める。アロイーンはコクリと頷くと聖剣に手をかけた。
手を触れたその瞬間に聖剣は光り輝きグレーだった剣身は鎧と同じ白に変わり光を失った青い宝石は光を取り戻し青白い光をゆらゆらと放っている。今の聖剣の状態を見るとマルレが持っていたときは死んでいると表現するのがぴったりだった。
「軽い……」
正当な持ち主が持つことで真の実力を発揮した聖剣は羽根のように軽くなり光属性の魔力を帯びていた。この様子を見れば誰にだってアロイーンが何者かがわかる。
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