怪力悪役令嬢は冒険者になりたい!

タハノア

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勇者物語に首を突っ込む編

049-森の迷宮

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 私は今すこぶる機嫌がいい!先日買えなかったクレイモアを買ってもらったからです!

「こんな高価なもの頂いてしまって申し訳ないですわ」

 新品のクレイモアを空にかざしながらゆっくりと動かし刃に太陽光を反射させキラッと光らせる。

「じゃあ約束通り森の迷宮に行きましょう!」
「仕方がありません、わかりましたわ」

 乗り気じゃないと見せかけて実はいま物凄く試し切りしたい衝動にかられています!

「じゃ!改めて自己紹介!」

 剣をもらったのだからしっかり名前と顔を一致させ無くてはいけませんね!

 鎧男は片手を上げ軽く挨拶する。

「戦士のアロイーンです。よろしくね!」

 濃紺の逆だった髪型にいたずら少年のような顔立ちで瞳の色は青、武骨な幅広な剣に純白に金の飾り細工が施された見事な鎧から並の強さではなさそうだとわかる。

 ローブの子は軽く頭を下げる。

「回復術士のリーシャーです。よろしく」

 朱色の髪はポニーテイルに括られていて、そばかすのある素朴な顔立ちで瞳の色は水色、白い大きめの魔石が付いた短いワンドに白くて綺麗なローブはところどころにフリルと金の刺繍がしてある。
 
 よし!しっかり覚えましたわ!

「剣士のマルレリンドです。どうぞマルレとお呼びください」

 片足を一歩引きスカートをつまんで軽く持ち上げ背筋を伸ばしたまま体制を低くする……カーテシーだ。丁寧に!と思ったのが悪かったのかつい貴族式の礼をしてしまいました。

「お……おう……」

(……やっぱりお嬢様だよ!迷宮になんて連れて行って平気なの?)
(もし戦え無くても一人守るぐらい平気だろ?道中は僕が単独で行けるレベルだから)
(そうね……実力も見てみたいし)

 何やらコソコソと相談しているみたいね……この縦ロールとの合わせ技で完全に軟弱イメージに……

「ご安心ください!自分の身ぐらい自分で守れますわ!伊達に冒険者ではありませんのよ!」
「わかった!魔物はなるべく僕が倒すからね」
「何かあったら私が回復するから無理しないでね!」

 3人は森の迷宮へと入っていく。進むたび紫がかった薄靄が広がっていて普通の森ではないことがよく分かる。同じ様な景色が続き方向感覚も無くなってくる。アロイーンさんは気配を感じるのが得意らしくときどき方向を変えながらどんどん進んでいく。一時間ほど歩いたところで、初めて魔物と遭遇する。

「リーシャー!何かいるぞ!」
「マルレさん注意してね」
「わかりましたわ」

 樹木をガサガサ揺らしながら現れたのは大きな猿の魔物だ、白い体毛に覆われた腕は女性の胴回りより太く下半身に比べて異常に発達している。その白猿は拳を地面に付きながら歩くナックルウォークとよばれる動作で木をなぎ倒しながらこちらへ近づいてくる。

「スマッシュエイプだ!」

 アロイーンが叫ぶ!

「まず私が牽制する!」[スコーチャーレイ]

 シャーリーのワンドから放たれたまばゆい光線は白猿の右肩を貫く。

「ナイスだ!リーシャー!」

 アロイーンは動きが止まったスキを見逃さず高く飛び上がり体重をかけた剣撃を白猿の左肩に落とし肩の半ばまで切断する。両腕が使えなくなった白猿は腕をブラブラさせながら貧弱な脚で地面を蹴りリーシャーに噛み付こうと突進する。

「遅いわ!」[プロテクトシールド]

 リーシャーの魔法により現れた光の壁は白猿を弾き返す。バランスを崩した白猿は仰向けに倒れろくに動かない腕をばたつかせる。

「これで詰みだ!」

 アロイーンは横たわった白猿の眉間へと剣を突き立て絶命させた。

「うん!上々ね」
「これぐらい楽勝!」
「お二人とも鮮やかなコンビネーションお見事ですわ!」

 私は称賛の拍手を送る。固定形式魔法を使っていたのが気になるが良いコンビネーションですね!やはりこのお二人はだいぶ強いようですね。

「では荷物待ちぐらい私がしますわ!」

 スマッシュエイプと呼ばれた白猿を吸い込ませるようにリュックに入れてまた背負った。

「マルレさん重くない?大丈夫なの?」

 リーシャーさんは心配そうに尋ねてきた。

「これぐらい大丈夫ですわ」

 私は手をヒラヒラさせて全然重くないアピールをする。軽々と動く私を少々不審に思ったようだけどまぁいいでしょう。

 この後も道なき道を進み3回も白猿に襲われたが2人は難なく打倒していく。私も2人の攻撃の合間に白猿に剣撃を浴びせてクレイモアの切れ味を確かめた。打撃に傾倒した武器だと思っていたクレイモアの切れ味が意外と良くて大満足です。

 そしてついに森が開けた迷宮の中心部にたどり着いた。

 そこにはミノタウロスの死体があるはずでした……

 しかしそこにいたのは肌色だった皮膚が緑へと変色し脚を引きずりながら同じところを行ったり来たりしている。変わり果てた姿でミノタウロスのいた。

「うわ!マジかよボスがゾンビ化って!やばすぎる!」
「なにアレ!?アロイーン!?」
「あら……なんだか大変なことになってますわね……」
 
 うん……完全に私のせいだわこれ……

「ファントム化した魂が体を取り戻したみたいだな……」
「アロイーン……行けそう?」
「俺たちは光属性だアンデットにとっては天敵だろ?」
「そうね……少しやってダメそうなら撤退しましょう……」

 2人は話し合いの結果戦うことにしたようですね私も加勢しましょう。

「私も控えめにご助力しますわ」
「マルレさん気を付けてね!」
「ダメージを負ったらすぐに言ってください回復しますので」
「わかりましたわでは行きましょう!」

 2人のサポート役として参戦することにした。

 こいつは私が生み出したようなものだ……2人を絶対に死なせる訳にはいかない……安全確保を主に行動します!

「行くぞ!」

 アロイーンの掛け声で戦闘が始まった。

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