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勇者物語に首を突っ込む編
053-侯爵と面会
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屋敷に到着するとすぐに使用人から勇者と聖女の帰還がトヘルミン・ロットヴァルデ侯爵に知らされた。馬と御者を変えながらほとんど休み無しで強行された馬車旅の疲れを取る暇もなくすぐにトヘルミン卿のところに案内されました。私は体が頑丈だし持久力も無尽蔵なので全く疲れていませんがアロイーンさんとリーシャーさんは少しつらそうですね。
案内された部屋は鎧や武具が置かれている倉庫のようなところでした。トヘルミン卿は私の勝手なイメージだと椅子にふんぞり返って自分は動かないような人物を想像していましたが、彼は違いました。使用人に手伝われながら鎧を着ている最中でした。
短く整えられたグレーの髪で左目には眼帯をして顔には深いシワが刻み込まれていた。鋭い目つきは歴戦の戦士思わせる。
「ちょうどよかった!よくぞ戻った」
鎧を付け終えて一振りの剣を手に取りながらトルヘミン卿はアロイーンを労った。それに答え深々とお辞儀をするアロイーンさん。
「聖剣を携えリーシャーと共にただいま戻りました」
「ふむ…‥戦士の顔になっているな……鼻をへし折られたと見える。頼もしいことだ」
偶然ですけど私がやったことは結果的には良かったみたいですね。続けてトルヘミン卿が現状を知らせてくれる。
「魔物が境界付近に集結している……現在王都より派遣された魔術師団と騎士団が一部隊ずつと私の軍が対峙している」
「救援が来ているのですか?」
「ああ……だが両部隊の隊長はまだ新人らしい。なのでワシが前線で指揮を執る」
「そうですか……」
「それよりそちらのご令嬢は?」
やっと私に気がついたトルヘミン卿にしっかりとカーテシーで挨拶する。
「マルレと申します。縁あって森の迷宮の攻略をともにしました」
「あなたが?とても戦えるようには見えんが……」
「ご心配なくマルレさんの実力は俺が保証します」
あの?アロイーンさん?その紹介はまずくないですか?前線配備確定のような気がしますけど?
「それに初代勇者に使えた戦士が使った拳法と似た戦い方をします」
拳法?初耳ですね……なんでしょうかそれは?
「拳法とはなんですか?」
「剣を置いたあと構えてたじゃないですか、あれが記録にのこってた拳法と似ていたんですよ」
「ふむ……戦えるなら是非力を貸して欲しい、拳法に興味がるなら魔王軍を退けたあと記録の観覧を許そう」
「面白そうですわね、ではお手伝いさせてもらいますわ」
拳法ですか面白そうですね全力で攻撃した時に足場が崩れて相手に威力が伝わりきらないのを解決したりでいるかしら?是非見てみたいですね!頑張る理由が出来ましたね。
準備を終えたトルヘミン卿と外に出る。一言も話さなかったリーシャーさんにどうしたのか尋ねると「迫力がすごすぎて喋れなかった……アロイーンとマルレさんはなんで平気なの?」とおっしゃっていました。なんでかと言われましても……きっとお父様を見慣れてるからというわけにもいかず……「なんでかしらね」とごまかしておきました。
外に出ると同行する兵士が集まっていました。トルヘミン卿は集まった兵士を鼓舞しはじめる。
「これより勇者と聖女とともに私も前線に出る!町に魔物を一匹たりとも入れるでないぞ!」
「「「はい!」」」
「それでは出陣!」
そういったその時でした……「ヒャヒャヒャヒャヒャ」と気味の悪い笑い声が響く
「この声は!?ニーニャをさらったやつだ!皆のもの気を引き締めろ!」
笑い声の主は空中に静止していた。その姿は死神のカマを持った道化…‥トランプに書かれているジョーカーと似たような姿だった。
「おやおや……本当に勇者と聖女が現れたようですね……やっかいですね~ここは一つ戦力を減らしておくことにしましょう」
気味の悪い喋り方にこの格好……前世の娯楽作品で似たキャラを思い出そうと思えばいくらでもでてくるようなこいつが魔王の副管……姫を拉致する魔王といいどうしてこうも……いえこれ以上何も申しません。
「貴様!なにをする気だ!」
「回復は厄介ですから聖女をもらい受けますよ!」
道化が闇を纏い姿を消した。
「なに!?させるか!」
とっさにリーシャーをかばうトルヘミン卿とアロイーンさん。
何故か道化に胴体をがっちり捕まれ持ち上げられている私……
「あの聖女は私ではなくてあちらの方ですよ?」
「ふん……見え透いた嘘はいけませんねぇ~」
あーこの魔物は人の話を聞かないタイプですね……
「ヒヒヒ、あんな田舎娘の平均みたいな娘が聖女なわけないでしょ~」
それを聞いたリーシャーさんの様子がおかしくなる。
「すいません田舎者が調子に乗ってすいません‥…」
「そんな事ない!リーシャーは十分聖女っぽいよ!マルレさんが冒険者っぽくなさすぎるだけだよ!」
「ごめんなさい ごめんなさい 普通すぎてすいません」
何やらブツブツ言いはじめるリーシャーさん……すっごい気にしてたのね……私のせいではないけどごめんなさい……
「何やらもめているようですが聖女はもらっていきますよ~それでは皆さん魔王城でお会いしましょう」
「ヒャヒャヒャヒャ」と耳障りの悪い笑い声と共に周囲が黒い霧で覆われていく……これは闇魔法の影移動に似ているなぁ~なんてのんきなことを思いながら私は魔王の副官に拉致されました。
案内された部屋は鎧や武具が置かれている倉庫のようなところでした。トヘルミン卿は私の勝手なイメージだと椅子にふんぞり返って自分は動かないような人物を想像していましたが、彼は違いました。使用人に手伝われながら鎧を着ている最中でした。
短く整えられたグレーの髪で左目には眼帯をして顔には深いシワが刻み込まれていた。鋭い目つきは歴戦の戦士思わせる。
「ちょうどよかった!よくぞ戻った」
鎧を付け終えて一振りの剣を手に取りながらトルヘミン卿はアロイーンを労った。それに答え深々とお辞儀をするアロイーンさん。
「聖剣を携えリーシャーと共にただいま戻りました」
「ふむ…‥戦士の顔になっているな……鼻をへし折られたと見える。頼もしいことだ」
偶然ですけど私がやったことは結果的には良かったみたいですね。続けてトルヘミン卿が現状を知らせてくれる。
「魔物が境界付近に集結している……現在王都より派遣された魔術師団と騎士団が一部隊ずつと私の軍が対峙している」
「救援が来ているのですか?」
「ああ……だが両部隊の隊長はまだ新人らしい。なのでワシが前線で指揮を執る」
「そうですか……」
「それよりそちらのご令嬢は?」
やっと私に気がついたトルヘミン卿にしっかりとカーテシーで挨拶する。
「マルレと申します。縁あって森の迷宮の攻略をともにしました」
「あなたが?とても戦えるようには見えんが……」
「ご心配なくマルレさんの実力は俺が保証します」
あの?アロイーンさん?その紹介はまずくないですか?前線配備確定のような気がしますけど?
「それに初代勇者に使えた戦士が使った拳法と似た戦い方をします」
拳法?初耳ですね……なんでしょうかそれは?
「拳法とはなんですか?」
「剣を置いたあと構えてたじゃないですか、あれが記録にのこってた拳法と似ていたんですよ」
「ふむ……戦えるなら是非力を貸して欲しい、拳法に興味がるなら魔王軍を退けたあと記録の観覧を許そう」
「面白そうですわね、ではお手伝いさせてもらいますわ」
拳法ですか面白そうですね全力で攻撃した時に足場が崩れて相手に威力が伝わりきらないのを解決したりでいるかしら?是非見てみたいですね!頑張る理由が出来ましたね。
準備を終えたトルヘミン卿と外に出る。一言も話さなかったリーシャーさんにどうしたのか尋ねると「迫力がすごすぎて喋れなかった……アロイーンとマルレさんはなんで平気なの?」とおっしゃっていました。なんでかと言われましても……きっとお父様を見慣れてるからというわけにもいかず……「なんでかしらね」とごまかしておきました。
外に出ると同行する兵士が集まっていました。トルヘミン卿は集まった兵士を鼓舞しはじめる。
「これより勇者と聖女とともに私も前線に出る!町に魔物を一匹たりとも入れるでないぞ!」
「「「はい!」」」
「それでは出陣!」
そういったその時でした……「ヒャヒャヒャヒャヒャ」と気味の悪い笑い声が響く
「この声は!?ニーニャをさらったやつだ!皆のもの気を引き締めろ!」
笑い声の主は空中に静止していた。その姿は死神のカマを持った道化…‥トランプに書かれているジョーカーと似たような姿だった。
「おやおや……本当に勇者と聖女が現れたようですね……やっかいですね~ここは一つ戦力を減らしておくことにしましょう」
気味の悪い喋り方にこの格好……前世の娯楽作品で似たキャラを思い出そうと思えばいくらでもでてくるようなこいつが魔王の副管……姫を拉致する魔王といいどうしてこうも……いえこれ以上何も申しません。
「貴様!なにをする気だ!」
「回復は厄介ですから聖女をもらい受けますよ!」
道化が闇を纏い姿を消した。
「なに!?させるか!」
とっさにリーシャーをかばうトルヘミン卿とアロイーンさん。
何故か道化に胴体をがっちり捕まれ持ち上げられている私……
「あの聖女は私ではなくてあちらの方ですよ?」
「ふん……見え透いた嘘はいけませんねぇ~」
あーこの魔物は人の話を聞かないタイプですね……
「ヒヒヒ、あんな田舎娘の平均みたいな娘が聖女なわけないでしょ~」
それを聞いたリーシャーさんの様子がおかしくなる。
「すいません田舎者が調子に乗ってすいません‥…」
「そんな事ない!リーシャーは十分聖女っぽいよ!マルレさんが冒険者っぽくなさすぎるだけだよ!」
「ごめんなさい ごめんなさい 普通すぎてすいません」
何やらブツブツ言いはじめるリーシャーさん……すっごい気にしてたのね……私のせいではないけどごめんなさい……
「何やらもめているようですが聖女はもらっていきますよ~それでは皆さん魔王城でお会いしましょう」
「ヒャヒャヒャヒャ」と耳障りの悪い笑い声と共に周囲が黒い霧で覆われていく……これは闇魔法の影移動に似ているなぁ~なんてのんきなことを思いながら私は魔王の副官に拉致されました。
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