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勇者物語に首を突っ込む編
054-牢屋友達
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私は気がつくと鉄格子の中にいた。防具はそのままだけど次元リュックだけが無くなっていた。セール品とはいえ結構高かったのでちょっとショック。
あたりを見回すと周囲は石造りで建物こそ完全に牢屋だが中には不釣り合いな豪華な家具が並んでいた。貴族が入る牢屋がこんな感じだと聞いた事があるなと思いだす。
鉄格子を掴み少し力を入れてみると簡単に曲がったので慌ててもとに戻す。少しゆがんでるような気がするけど気にしない……魔物がつれてきた場所だから魔法でもかかってるのかと思ったら普通の鉄格子だったようです。
これからどうしましょうか……逃げようと思えばすぐ逃げられるけど、どうしたらいいかしら?とりあえずこの場に不釣り合いなフカフカのソファーに腰掛けた。良いソファーねこれは実家の家具と同レベルの高級品ですわね。魔物でも買い物ってできるのかしら?それとも盗んだのかしら?
ソファーを買うために労働する魔物や夜中こっそりと屋敷に忍び込む魔物など、どうでもいいことを想像していたら何処からか声が聞こえてきた。
「あの……どなたかいらっしゃいます?」
力ない震えるような女性の声がする。彼女も魔物に囚われているのか?私は、「いますわ」と簡潔に答えた。「あなたも攫われてきたのですか?」声の発生源は右隣の部屋のようです。
「はい私は鎌の道化につれてこられました」
「そうですか、私も多分同じ魔物だと思います」
同じ魔物?あら?もしかして……
「もしかしてニーニャさんですか?」
「はい!そうです!」
「ご無事でしたのね良かったです」
いま外では勇者と聖女とトルヘミン卿と防魔軍に加え騎士団、魔術師団までが参戦していると細かく伝えた。きっと不安だったでしょうね……現状を伝えられれば少しは安心なさるといいのだけど。
「勇者様と聖女様があらわれたのですか!?」
不安はなくなったようで声に力が戻っているのがわかった。
「ええ、あなたもよく知ってるアロイーンさんとリーシャーさんですわ」
「あのお二人が……何故そのようなことに?」
為しの義とか森の迷宮でのことも聞かせてあげたいですね。でも壁越しは非常に話しにくい!
「話しづらいのでそちらにいきますね」
私は鉄格子をひん曲げて外に出ました。もちろん曲がった鉄格子をもとに戻すことも忘れない。声がする隣の檻へと向かった。
隣の部屋は私がいた部屋より豪華だった。壁もしっかりと漆喰が塗られ、はめ殺しの窓まである。床は板張りでその上にはしっかりしたカーペットが敷かれていて、家具も一式きっちり揃っていた。
そして部屋の中央にあるソファーには、水色のドレスに身をまとい輝くような金髪は両サイドで編み込まれ後ろにまとめられている。くりっとした青い瞳は私をしっかりと捉えている。ニーニャさんと思われるお姫様のように可愛らしい女の子がいた。
まるでドールハウスだった……普通の屋敷を切り取ったように手前側だけが空いており、そこに鉄格子がはめられている。牢の向かい側にはソファーとローテーブルがあり誰かが座っていた様な痕跡がある。
私は何故か謁見しているような気分になりカーテシーで挨拶した。
「始めまして私は冒険者のマルレリンドですわ、縁あってアロイーンさんとリーシャーさんが聖剣を手に入れるのをお手伝いしました。」
「まあ!慈愛の薔薇様!」
懐かしい通り名がでてきましたわね……魔法学園2年生の時に付けられた大げさな通り名……
「えっと……とりあえず中に入ってもよろしいでしょうか?」
「もちろんよろしいですが……檻が……」
彼女が言い終わる前に鉄格子をひん曲げてさっと中に入り鉄格子をもとに戻す。三度目の戻し作業は綺麗な仕上がりで歪みなく直せた。いい出来だと我ながら感心した。
「凄いです!魔封じの床に魔鋼の柵なのにどうやって曲げたんですか!」
突然大声を出されて少しびっくりしましたわ。床には魔封じが仕掛けられていたのですね……魔法が使えない私には全く分かりませんでした。それに魔鋼ですか……魔力回路や魔法防御用の盾などに使われる魔法耐性が強い金属で硬度も鋼鉄並みに高い金属です。
「ええと、魔法は使ってなくただ力で曲げました」
「そうですか……膨大な魔力があるにもかかわらず身体強化特性で魔法が使えないとのお噂は本当だったのですね……」
私のことよく知っているみたいですが何者でしょうか何処か出会ったことがあるのかな?……私がじっくりニーニャさんの顔を観察すると「失礼いたしました」と謝罪したあと彼女はあらためて名乗った。
「防魔軍を保持するロットヴァルデ侯爵が娘ニーニャ・ロットヴァルデと申します。今年から魔法学園1年生になる予定でしたが、その前に所誘拐されてしまいました。」
「あら!後輩さんでしたの?」
「はい!入学前の見学に行ったさいにお知り合いになった先輩からお手紙で色々聞いております。」
「どんな話を聞いたのかしら?」
「爵位を捨てるために悪役を演じて冒険者となり騎士団や魔術師団の手の届かない民たちを救っていると!」
なんですかそれ!とんでもない誤解が広まっていますわ!楽しそうだからって理由で冒険者になった私がバカみたいじゃない!
「そっそんな立派なものじゃないわよ……」
「ご謙遜なさるとこも素敵ですわ……今もこうして私の救援に……」
「ちょっと!私もさらわれたって言ったじゃない!」
「わざとでしょう?私には分かっています!魔物が来てもあなたの実力は秘密にします!」
これはだめですわね……完全に私じゃない噂の私が尾ひれをつけて独り歩きしてますね……否定するだけ無駄なような気がしてきました。
あたりを見回すと周囲は石造りで建物こそ完全に牢屋だが中には不釣り合いな豪華な家具が並んでいた。貴族が入る牢屋がこんな感じだと聞いた事があるなと思いだす。
鉄格子を掴み少し力を入れてみると簡単に曲がったので慌ててもとに戻す。少しゆがんでるような気がするけど気にしない……魔物がつれてきた場所だから魔法でもかかってるのかと思ったら普通の鉄格子だったようです。
これからどうしましょうか……逃げようと思えばすぐ逃げられるけど、どうしたらいいかしら?とりあえずこの場に不釣り合いなフカフカのソファーに腰掛けた。良いソファーねこれは実家の家具と同レベルの高級品ですわね。魔物でも買い物ってできるのかしら?それとも盗んだのかしら?
ソファーを買うために労働する魔物や夜中こっそりと屋敷に忍び込む魔物など、どうでもいいことを想像していたら何処からか声が聞こえてきた。
「あの……どなたかいらっしゃいます?」
力ない震えるような女性の声がする。彼女も魔物に囚われているのか?私は、「いますわ」と簡潔に答えた。「あなたも攫われてきたのですか?」声の発生源は右隣の部屋のようです。
「はい私は鎌の道化につれてこられました」
「そうですか、私も多分同じ魔物だと思います」
同じ魔物?あら?もしかして……
「もしかしてニーニャさんですか?」
「はい!そうです!」
「ご無事でしたのね良かったです」
いま外では勇者と聖女とトルヘミン卿と防魔軍に加え騎士団、魔術師団までが参戦していると細かく伝えた。きっと不安だったでしょうね……現状を伝えられれば少しは安心なさるといいのだけど。
「勇者様と聖女様があらわれたのですか!?」
不安はなくなったようで声に力が戻っているのがわかった。
「ええ、あなたもよく知ってるアロイーンさんとリーシャーさんですわ」
「あのお二人が……何故そのようなことに?」
為しの義とか森の迷宮でのことも聞かせてあげたいですね。でも壁越しは非常に話しにくい!
「話しづらいのでそちらにいきますね」
私は鉄格子をひん曲げて外に出ました。もちろん曲がった鉄格子をもとに戻すことも忘れない。声がする隣の檻へと向かった。
隣の部屋は私がいた部屋より豪華だった。壁もしっかりと漆喰が塗られ、はめ殺しの窓まである。床は板張りでその上にはしっかりしたカーペットが敷かれていて、家具も一式きっちり揃っていた。
そして部屋の中央にあるソファーには、水色のドレスに身をまとい輝くような金髪は両サイドで編み込まれ後ろにまとめられている。くりっとした青い瞳は私をしっかりと捉えている。ニーニャさんと思われるお姫様のように可愛らしい女の子がいた。
まるでドールハウスだった……普通の屋敷を切り取ったように手前側だけが空いており、そこに鉄格子がはめられている。牢の向かい側にはソファーとローテーブルがあり誰かが座っていた様な痕跡がある。
私は何故か謁見しているような気分になりカーテシーで挨拶した。
「始めまして私は冒険者のマルレリンドですわ、縁あってアロイーンさんとリーシャーさんが聖剣を手に入れるのをお手伝いしました。」
「まあ!慈愛の薔薇様!」
懐かしい通り名がでてきましたわね……魔法学園2年生の時に付けられた大げさな通り名……
「えっと……とりあえず中に入ってもよろしいでしょうか?」
「もちろんよろしいですが……檻が……」
彼女が言い終わる前に鉄格子をひん曲げてさっと中に入り鉄格子をもとに戻す。三度目の戻し作業は綺麗な仕上がりで歪みなく直せた。いい出来だと我ながら感心した。
「凄いです!魔封じの床に魔鋼の柵なのにどうやって曲げたんですか!」
突然大声を出されて少しびっくりしましたわ。床には魔封じが仕掛けられていたのですね……魔法が使えない私には全く分かりませんでした。それに魔鋼ですか……魔力回路や魔法防御用の盾などに使われる魔法耐性が強い金属で硬度も鋼鉄並みに高い金属です。
「ええと、魔法は使ってなくただ力で曲げました」
「そうですか……膨大な魔力があるにもかかわらず身体強化特性で魔法が使えないとのお噂は本当だったのですね……」
私のことよく知っているみたいですが何者でしょうか何処か出会ったことがあるのかな?……私がじっくりニーニャさんの顔を観察すると「失礼いたしました」と謝罪したあと彼女はあらためて名乗った。
「防魔軍を保持するロットヴァルデ侯爵が娘ニーニャ・ロットヴァルデと申します。今年から魔法学園1年生になる予定でしたが、その前に所誘拐されてしまいました。」
「あら!後輩さんでしたの?」
「はい!入学前の見学に行ったさいにお知り合いになった先輩からお手紙で色々聞いております。」
「どんな話を聞いたのかしら?」
「爵位を捨てるために悪役を演じて冒険者となり騎士団や魔術師団の手の届かない民たちを救っていると!」
なんですかそれ!とんでもない誤解が広まっていますわ!楽しそうだからって理由で冒険者になった私がバカみたいじゃない!
「そっそんな立派なものじゃないわよ……」
「ご謙遜なさるとこも素敵ですわ……今もこうして私の救援に……」
「ちょっと!私もさらわれたって言ったじゃない!」
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これはだめですわね……完全に私じゃない噂の私が尾ひれをつけて独り歩きしてますね……否定するだけ無駄なような気がしてきました。
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