67 / 159
古霊の尖兵編
067-無属性魔道具研究家
しおりを挟む
「よし!そうと決まれば早速学園に行ってみましょう!」
せっかちなアリッサに手を引かれて学園へと向かう。卒業してからまだ一月ほどしかたっていないのね。それなのに人生で一番長く感じた一月でした。冒険者になってすぐ剣が折れてへこんだり、お金がなくて食事を抜いて床かしら?と思うほど硬いベットで寝たり、第二の家と言っても良い素晴らしい宿に出会えたり魔物を素手で狩ったほうが高く売れたり。そしてはじめての遠征で勇者対魔王に巻き込まれたり短い間にいろいろありましたね。
そんな思い出に浸っていると見慣れた建物が見えてきました。
「うわー1ヶ月しかたってないのになんでこんなに懐かしい感じがするんだろね~」
「そうですわね、不思議です」
馬車が通れる大きな門は閉まっており人だけが通れる門の前には衛兵さんが居て出入りする人をチェックしている。素知らぬ顔で通ろうとして止められても格好が悪いので衛兵さんに声をかけることにした。
「こんにちは、卒業生なのですが中に入ってもよろしいですか?」
「はい、卒業生なら入っても構いません……ああ!マルレさんじゃないですか!」
彼は2年生のときに騎士団の訓練でご一緒した新兵の方でした。身元の確認もすんなり済んで懐かしい校舎へと入っていく。
片っ端から聞いてみようとするが現在は授業中らしく廊下には誰も居なく静まり返っている。先生方の授業の声がときおり聞こえるだけで話を聞けそうな人は居なかった。
「今朝無属性の魔道具をここの学生が作ってると聞いたので先に研究室に行ってみようと思うのですが」
「へぇ~マルレのあとを継いだ後輩がいるんだ面白そうだから行ってみよう」
私は通いなれた廊下を通り3年生のときにダラダラ過ごした無属性魔道具研究所に向かった。研究所は変わらぬ姿でそこにあった。本当にあとを継いだ人がいるのですね、倉庫に戻っていなくてよかったわ。
どんな人がついでくれているのだろう?そう思いながら研究所の扉をノックする。
「はーい、鍵は開いてますのでどうぞー」
研究所の扉を開けると内装は居酒屋の座敷席のようなままで土足禁止も健在だった。変わったところといえば工作道具や試作品らしきものが増えているぐらいだった。部屋の中央には円卓の脚を短く切断して作ったちゃぶ台と水晶用のクッションを使用した座布団が健在だった。その横には、座布団を二つ折りにして枕代わりにして寝転がっている少年がいた。
教えてもいないのにくつろぎかたが私達と同じなのは面白いなと思った。
「ここは靴を脱いで上がってくださいねー」
だらけた態度の少年はクリーム色の髪をワシワシといじりながらダルそうに首だけを動かし薄いブルーのきれいな瞳で年齢より幼く見える顔をこちらに向けた。
私達は「おじゃまします」と挨拶して自然と靴を脱ぎ座布団に座り用件を切り出した。
「始めましてマルレです」
「始めまして~アリッサです」
「どうも~ジェスで~す」
寝転がったまま自己紹介をするジェスと名乗る少年に若干イラつきながらも話を進める。
「それではジェスさん井戸の魔道具を見てきたのですが作ったのはあなたですか?」
私が声を掛けると少年はすぐに寝た状態から体を起こし二つ折りしていた座布団を平らに戻し、手で何度か叩き形を整えてその上に座った。研究者にありがちな性格らしく興味を引く話題に態度を急変させた。
「あれを見て来てくれたんですか!使ってみた感じどうでした?」
「つるべを落として水を汲むより数十倍も楽でしたわ!」
私がそう言うとジェスさんはニコリと笑って目を輝かせた。
「そうでしょ!あれは世紀の大発明!無属性魔道具の試作第一号なんですよ!」
興奮したジェスさん、こうなってしまった研究者の話を止められるものはそうはいない。アリッサを見ると不安そうな顔でこちらを見ている。ごめんなさいアリッサ研究者とはこういうものなのよ……私は興奮を抑えきれなくなり語気を強めて話し出す。
「素晴らしいわ!無属性魔道具こそ魔道具の真髄!万人が使える最高の魔道具なのよ!」
「あなたもわかりますか!まさにそのとおり!」
私は我を忘れて魔道具について語り合った。魔力回路のパルス信号や回路中の魔力溜まりに使う素材など専門家でないとわからない話まで及び長々と同士と語り合ってしまいました。ちらっと目に入ったアリッサは死んだ魚のような濁った目で愛想笑いをしていた。
熱い語り合いが試作機の動力源の話に移ろうとしたその時「ただいまー」と声が聞こえ部屋の扉が開いた。
「あれ?お兄ちゃんお客さん来てるの?」
慣れた様子で靴を脱ぎ研究所に入ってきたのはジェスさんとそっくりな女の子だった。クリーム色のショートボブに薄いブルーのきれいな瞳と年齢より幼く見える顔は性別を変えただけのようにそっくりだ。
「おう!試作機を使った人が話のわかる人でね魔力回路について話してたんだよ」
「どうもジェスの双子の妹のフルーチですよろしくお願いしまぁあああああ!」
彼女は自己紹介を途中で奇声に変えて驚いた様子で私の顔を見ている。どうやら彼女は私の顔を知っていたようですね。
「うわ!フルーチ急にどうしたんだよ?いま試作機の動力について話そうとしてたんだから邪魔するなよ!」
「何言ってるのバカ!その[ピクツ]を開発したのがあなたの目の前にいるドレストレイル先輩よ!」
やはり動力は私がアリッサにヒントを貰って開発した無属性魔力でピストン運動をする[ピクツ]でしたか。開発したは良いが活かし方が分からず特許だけ取って放置していた技術が後輩の手によって製品化される。アリッサの想定通りこの世界の天才に任せる作戦は見事成功ですね。
「え?ドレストレイル先輩……」
私はニッコリと微笑みうなずいた。
せっかちなアリッサに手を引かれて学園へと向かう。卒業してからまだ一月ほどしかたっていないのね。それなのに人生で一番長く感じた一月でした。冒険者になってすぐ剣が折れてへこんだり、お金がなくて食事を抜いて床かしら?と思うほど硬いベットで寝たり、第二の家と言っても良い素晴らしい宿に出会えたり魔物を素手で狩ったほうが高く売れたり。そしてはじめての遠征で勇者対魔王に巻き込まれたり短い間にいろいろありましたね。
そんな思い出に浸っていると見慣れた建物が見えてきました。
「うわー1ヶ月しかたってないのになんでこんなに懐かしい感じがするんだろね~」
「そうですわね、不思議です」
馬車が通れる大きな門は閉まっており人だけが通れる門の前には衛兵さんが居て出入りする人をチェックしている。素知らぬ顔で通ろうとして止められても格好が悪いので衛兵さんに声をかけることにした。
「こんにちは、卒業生なのですが中に入ってもよろしいですか?」
「はい、卒業生なら入っても構いません……ああ!マルレさんじゃないですか!」
彼は2年生のときに騎士団の訓練でご一緒した新兵の方でした。身元の確認もすんなり済んで懐かしい校舎へと入っていく。
片っ端から聞いてみようとするが現在は授業中らしく廊下には誰も居なく静まり返っている。先生方の授業の声がときおり聞こえるだけで話を聞けそうな人は居なかった。
「今朝無属性の魔道具をここの学生が作ってると聞いたので先に研究室に行ってみようと思うのですが」
「へぇ~マルレのあとを継いだ後輩がいるんだ面白そうだから行ってみよう」
私は通いなれた廊下を通り3年生のときにダラダラ過ごした無属性魔道具研究所に向かった。研究所は変わらぬ姿でそこにあった。本当にあとを継いだ人がいるのですね、倉庫に戻っていなくてよかったわ。
どんな人がついでくれているのだろう?そう思いながら研究所の扉をノックする。
「はーい、鍵は開いてますのでどうぞー」
研究所の扉を開けると内装は居酒屋の座敷席のようなままで土足禁止も健在だった。変わったところといえば工作道具や試作品らしきものが増えているぐらいだった。部屋の中央には円卓の脚を短く切断して作ったちゃぶ台と水晶用のクッションを使用した座布団が健在だった。その横には、座布団を二つ折りにして枕代わりにして寝転がっている少年がいた。
教えてもいないのにくつろぎかたが私達と同じなのは面白いなと思った。
「ここは靴を脱いで上がってくださいねー」
だらけた態度の少年はクリーム色の髪をワシワシといじりながらダルそうに首だけを動かし薄いブルーのきれいな瞳で年齢より幼く見える顔をこちらに向けた。
私達は「おじゃまします」と挨拶して自然と靴を脱ぎ座布団に座り用件を切り出した。
「始めましてマルレです」
「始めまして~アリッサです」
「どうも~ジェスで~す」
寝転がったまま自己紹介をするジェスと名乗る少年に若干イラつきながらも話を進める。
「それではジェスさん井戸の魔道具を見てきたのですが作ったのはあなたですか?」
私が声を掛けると少年はすぐに寝た状態から体を起こし二つ折りしていた座布団を平らに戻し、手で何度か叩き形を整えてその上に座った。研究者にありがちな性格らしく興味を引く話題に態度を急変させた。
「あれを見て来てくれたんですか!使ってみた感じどうでした?」
「つるべを落として水を汲むより数十倍も楽でしたわ!」
私がそう言うとジェスさんはニコリと笑って目を輝かせた。
「そうでしょ!あれは世紀の大発明!無属性魔道具の試作第一号なんですよ!」
興奮したジェスさん、こうなってしまった研究者の話を止められるものはそうはいない。アリッサを見ると不安そうな顔でこちらを見ている。ごめんなさいアリッサ研究者とはこういうものなのよ……私は興奮を抑えきれなくなり語気を強めて話し出す。
「素晴らしいわ!無属性魔道具こそ魔道具の真髄!万人が使える最高の魔道具なのよ!」
「あなたもわかりますか!まさにそのとおり!」
私は我を忘れて魔道具について語り合った。魔力回路のパルス信号や回路中の魔力溜まりに使う素材など専門家でないとわからない話まで及び長々と同士と語り合ってしまいました。ちらっと目に入ったアリッサは死んだ魚のような濁った目で愛想笑いをしていた。
熱い語り合いが試作機の動力源の話に移ろうとしたその時「ただいまー」と声が聞こえ部屋の扉が開いた。
「あれ?お兄ちゃんお客さん来てるの?」
慣れた様子で靴を脱ぎ研究所に入ってきたのはジェスさんとそっくりな女の子だった。クリーム色のショートボブに薄いブルーのきれいな瞳と年齢より幼く見える顔は性別を変えただけのようにそっくりだ。
「おう!試作機を使った人が話のわかる人でね魔力回路について話してたんだよ」
「どうもジェスの双子の妹のフルーチですよろしくお願いしまぁあああああ!」
彼女は自己紹介を途中で奇声に変えて驚いた様子で私の顔を見ている。どうやら彼女は私の顔を知っていたようですね。
「うわ!フルーチ急にどうしたんだよ?いま試作機の動力について話そうとしてたんだから邪魔するなよ!」
「何言ってるのバカ!その[ピクツ]を開発したのがあなたの目の前にいるドレストレイル先輩よ!」
やはり動力は私がアリッサにヒントを貰って開発した無属性魔力でピストン運動をする[ピクツ]でしたか。開発したは良いが活かし方が分からず特許だけ取って放置していた技術が後輩の手によって製品化される。アリッサの想定通りこの世界の天才に任せる作戦は見事成功ですね。
「え?ドレストレイル先輩……」
私はニッコリと微笑みうなずいた。
0
あなたにおすすめの小説
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!
水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。
ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。
しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。
★ファンタジー小説大賞エントリー中です。
※完結しました!
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる