怪力悪役令嬢は冒険者になりたい!

タハノア

文字の大きさ
77 / 159
心の中へ編

077-アリッサ 心の世界

しおりを挟む
「ふふっ びっくりした?私は魂と魔力変換器官を見たりいじったりできるのよ」

 マルレのお母さんであるレナータ様はさらっととんでもないことを言った。

 魔力変換器官は頭の中にあり心臓付近にある魂から作られる魔力を各属性に変換して放出したり身体強化などの特性として体内に戻す機能がある場所でノチド先生が持っているモノクルのような特殊な魔道具がなければ見ることも出来ない。

 その割合によって得意な属性に偏りがあったり全く使えなかったりする。私の場合は光だけなので全魔力を光に変換するのみで。第二王子のアークは光土水の属性が均等にあるので各属性を三分の一ずつ使える。マルレの場合には流魔血で8割清潔の祝福で1割髪型固定の祝福(マルレは呪と言っていた)だけなため属性がなく魔法が使えなかった。

 そしてマルレが言っていて私が本気にしていなかった「この髪型固定の祝福いえ呪いというべきね……これはお母様にやられたの」と言ってた事が本当だとするとレナータ様は驚くべき能力を持っていることになる。

 例えば髪型固定のような特に役立たない祝福で器官を埋めてしまえば魔法をほとんど使えなくするなどと恐ろしいことが出来てしまう……

 もしかしたらマルレが魔法を使えないのは……

「あら~マルレが魔法を使えないのは元々よ私が可愛いいマルレちゃんにそんなひどいことしないよ」

 まるで考えを読まれたかのように牽制されてしまった。

「では髪型固定の祝福は……」

 私が質問し切る前にかぶせるように質問に答えた。

「あのままだと魂の魔力が多すぎで流魔血に行く魔力が増えすぎて制御が効かなくなって常に全開状態になってしまうのよね!コップや食器やドアノブがいくらあっても足りなくなっちゃうわ」

 そう言ってふふふと笑っていた。その様子にぽかんとしているとそのまま説明を続け始めた。

「それでね別世界の魂は非常に魔力値が高いし少し色が違って見えるの普通の5倍ぐらいね、でもあなたは5倍まではいかないから肉体は滅んで魂だけでこの世界に来たと思うんだけどあってるかしら?」

 まさにそのとおりだった私は前世で列車事故に巻き込まれて命を落としてた事はしっかりと覚えていた。

「はい……おっしゃるとおりです」
「やっぱりそうね、それでマルレの事なんだけど……」

 どうやら本題に入るらしいマルレは転生者だということはわかっているがそれ以外の事はまるでわからない。

「本来のマルレは魂の力が弱くて流魔血に意識を潰されて人形のように何にも興味を示さない人間になってしまう運命だったの」

 ゆっくりレナータ様が話し始めた内容は悲しいものだった。

 マルレは生まれてすぐ流魔血を持っていることがわかったが魂の力が弱く、すでに意識が寝食され始めていたらしく、それを防ぐために魂の残滓を集めて魂の強化する儀式をしたらしい。

 しかし運悪くというか良くと言ったら良いのかわからないが転生者の魂がフラフラと現れてマルレの魂と結びつく事故が起こってしまったらしい。

「マルレは昔からトラブルメーカーだったんですね……」

 私が呆れのあまり漏らした言葉に微笑みながらレナータ様は話を続けた。

 その転生者の魂は5倍どころではなく計り知れないほど大きくそして見たことない色まで混じっていたそうで、想定外の強さになってしまったらしい。

 魂の器の大きさ以外問題は見られずスクスクとそだち意識もしっかり成長していたらしいです。

 そして次に問題が発生したのが10歳の誕生日の少し前に融合した転生者の魂が魔力の生産を始めたときだった。あまりに多い魔力に流魔血と清潔の祝福が制御不能になり物を壊したり消し去ったりと問題が起こり始めたようです。

 焦ったレナータ様は髪型固定の祝福を差し込むことによって制御することに成功したのだけど、縦ロール姿に反応して転生者の記憶が覚醒してしまったようです。

 それからの行動は私も知っているとおり冒険者を目指し始めたということでした。

「それで今のマルレちゃんの状況なんだけどね……」

 そして現在のマルレの状態についての話に移る。

 本来マルレには潜心術による攻撃は清潔の祝福が守っているので効かないのだが本来のマルレの魂を守るのが精一杯で転生者の魂が攻撃にあいつながっていた魂が再び別れてしまった。

 そうなると問題が発生しました。マルレの魂が流魔血に耐えられず侵食され始め、転生者の魂は捕らえられ両方共に表に出てくることができなくなっているとのことでした。

「それでねアリッサちゃんには2人を助けに行ってほしいの」

 助けに行く?どこへ?

「マルレの心の世界にね……」

 心の世界……

「きっと私達じゃ入れてもらえないと思うのよ……入れてもらえるとしたらあなたしかいないのよ!」

 君なら入れてもらえるかもしれない……ザロット卿とヴィクトル様が言ってたことはこういうことだったのね……

 転生の事情を知っていて心を許せる人……たしかに私が適任かもしれない……

「わかりました!私にやらせてください!必ずマルレを助けて見せます!」

 目の前で防御壁をすり抜けられてマルレに攻撃を許してしまった失敗を取り戻すチャンスだ。

「良かったわ それじゃあよろしくね!」

 そう言うとレナータ様は左腕を勢いよく突き出し私の心臓辺りに腕を差し込みニコっと笑った。

 意識が遠くなる……

 落ちる……落ちる……

 足元が明るくなる……

 そのまま光の中へ落ちていった…… 

「ああああああ!って死んでなかった!良かった~」

 もうびっくりした……殺されたかと思ったわ!なにか掛け声とか最終確認とかもう……

 いやもう過ぎたことはいいか……

 あたりを見回すとそこは真っ白な空間で中心には大樹が一本生えていた。大樹には拳より小さいものから人ぐらいあるほどの大きな果実があちこちにいくつもなっていた。その果実には私もよく見知った顔が書かれている。

 マルレの家族やラーバルにアーク、ガオゴウレンさんのもある。その中でもひときわ大きいのが私とファーダくんの果実だった。

「なんだろあれ?」

 返事を期待していなかった質問に答えが帰ってきた。

「それは幸せの果実よ、簡単に言ったらいい思い出ってところね」

 驚いて振り返るとそこには誰だかわからないけど絶対に会ったことのある顔があった。

 長い黒髪はポニーテールにくくられていて、キリッとした顔立ちは荘厳さを感じさせる。その服装は白地に金の刺繍のローブだった。

 私の着ているローブと似ている……このローブは戦いの女神と呼ばれている神様の服が元になっていると聞いたことがあった。

「久しぶりね アシハラ・ハルカさん」

 アシハラ・ハルカ……前世の私の名前だ……頭の中がグルンとひっくり返るような感覚が襲ってきた。

 すべて思い出した……今目の前にいる人は私をこの世界に転生させた神の使いと名乗った女性だ!
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!

水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。 ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。 しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。 ★ファンタジー小説大賞エントリー中です。 ※完結しました!

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

処理中です...