怪力悪役令嬢は冒険者になりたい!

タハノア

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邪竜物語に首を突っ込む編

099-集団ゼロ距離ストーカー

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「私は冒険者のマルレリンドと申します。隣の国レイクランド王国からやってきました」
「同じく冒険者のアリッサ・エトワンスです!私もレイクランドから来ました」
「そうか!やっぱり外人さんか!」

 自己紹介を終えた私はきのくえ屋まで歩きながら外道丸げどうまるさんから詳しい話をきいた。

「この国に流れ着いたときに他に女が4人いたんだよ、騒がしい奴、仕切りたがる奴、ベタベタ触ってくる奴、何考えてるか分からない暗いヤツ」
「それで一緒に行動することに?」
「いや!うぜぇから置いてったよ、それなのにな……」

 そうして話し始めた彼は止まらなかったきっとずっと誰かに聞いてほしかったのだろう。

 始まりはこうだった。

 同時に流れ着いたのは5人だったがスキル上げする気のない向上心のない4人と一緒に行動するのが嫌だった彼は一人で旅に出ました。すぐに4人の女は彼を追いかけてきて彼を見つけると断ったにもかかわらず一緒に行動するとついてきたそうです。ハーレムじゃなかったの?と聞くと怒り気味に「集団ゼロ距離ストーカー」だときり捨てました。

 ウザイけど殴り飛ばして止めさせるわけにも行かず、衛兵にいってもノロケ扱い……それで仕方がなく、腕に絡みついてくる女共を引き剥がしながらワールドクエストを進めたそうです。

 そしてついに明日は邪竜との対決!となったときにストーカー女4人からラブレターを渡されたようです。

「モテていいじゃないの」
「いや!よくねえよ!」
「それで?どうしたのよ?」
「あのストーカー共は4人で”俺を共有する”とか気持ち悪いこと抜かしやがって……」
「あら、ハーレムエンドじゃないのよ、男ってそういうの嬉しいんじゃないの?」
「そんな訳あるか!自分に置き換えてみろよ!」

 私はストーカー男が4人迫ってきて「君は僕たちのお嫁さんだよ」と言ってくるのを想像してしまった。ブルッと震えるほどの寒気がした。

「うん……それは殴るわね!」
「それでさ俺もブチ切れてラブレターを読まないで目の前で燃やしてやったんだよ!」
「はははっ!やるじゃないのよ」
「そいたらさ、そいつら夜のうちに邪竜に突っ込んで死んだらしくてさ、俺の夢にでてきて「お前のせいだ!呪ってやる」とか逆恨みだぜ!?そんで次の日に起きたら頭に角が生えたってわけよ!これが飲まずにいられるかっての!」

 そう言うと腰の瓢箪からぐびっと一口酒を飲んだ。
 
 うわー聞けば聞くほど可愛そうな人だね……4人全員と付き合っちゃうような男だったらこの世界も上手く回ったのかしらね?

「あの~ちょっといい?」

 ずっと黙って話を聞いていたアリッサだったがなにか言いたいことがある様子だ。

「話の流れが酒呑童子伝説そのまんまなんだけど?」
「そうなのアリッサ?私は知らないけど……」

 名前は聞いたことがあるけど私は伝説なんて一切知らなかった。

「酒呑童子といえば金太郎に退治された話が有名だけど、鬼になる前の伝説もあってモテモテ男の”外道丸”って名前の美青年が自分の容姿しか見ない女たちに嫌気が差して恋文を目の前で焼いたところ女が自殺してその呪いで鬼になったのよ」

「え?俺って金太郎に退治されるの?」
「そう4人組に毒酒のまされて弱ったところをグサーっと」
「あ?それ討伐隊のことかも!なんかピリッとする旨い酒をおごってくれたのに、いきなり襲いかかって来たから気絶させた後に、縛り上げて街に投げ込んでおいたぞ?あーそう言えば剣士の中に一人だけ斧のおっさんがいたな……あれが金太郎か?」

 どうやら彼も無意識のストーリーブレイカーの様ですね!仲間だわ!

「あら!やるじゃないのよ」

 私は彼の角を見て自分が赤鬼よ呼ばれてることを思い出した。

「そうだ!私は何故かこの国で赤鬼って呼ばれて優遇されてるよの!あなたも青鬼って名乗りなさいよ!」
「なにそれ!いいな俺は今から青鬼って名乗るぜ!」
「はぁ……バカが二人揃っちゃった……」

 私と外道丸さんは暴言を吐いたアリッサに視線を移した。

「なんですって!?」
「何だと!?」
「妹だからって容赦しませんわよ!」

 私は腕を組んで頬を膨らませてムッとした表情を作る。

「お?全然似てないけど妹なのか?」

 おっと……なんて説明しようかしら?腹違いとかだとなんか違うし……

「えーと、魂の絆で結ばれた姉妹よ!」
「うん……間違いではないわね~というか隠す必要あるの?というか、ストーカーとかハーレムエンドとか言ってるけどお姉ちゃん隠す気あったの?」

 あ……そう言えば……

「あ!そうじゃねぇーか!店の名前も通称のだったし、もしかしてお前らも日本人でしかもジャオンプレイヤーかぁ!?」
「ほら、二人共バカじゃん」

 アリッサのツッコミにぐうの音も出ない私達……変な沈黙を破るために私は、隣の国が乙女ゲームの世界でそちらに転生したこと前世で姉妹だったことを話した。ジャオンをプレイしてたのは私だけでアリッサはやってなかったと言うことも話した。

「へぇ~隣の国は違うゲームなんだな!しかも異世界生活の11年先輩か」
「あなたはここに来て5年なの?」
「そうエード出島で目を覚ましたのが5年前で邪竜手前まで行ったのが3年前だ」
「ワールドクエ進めるの遅くない?」
「邪魔が4人もいたからな」
「そうでしたわね」

 しばらく食や生活事情について話していたらついに”きのこ食えや書店”に到着しました。

 五重塔のような外観の店は、各階によって系統が分かれていてる。

 各階の見た目は、ほぼ同じで壁全面が棚になっていてそこには[技書]がぎっちりと詰め込まれている。中央のカウンターにはNPCの売り子が一人店番をしている。

「こっちに来てから5年!もう一度[技書]や素材を集めるには十分な時間があったぜ!おまけに全スキルLv10まで上げてブースト状態にしてあるから生産品は全部作れるから俺に任せておけ!」

 外道丸さんの声を聞きながらも私の視線は売り子さんに釘付けだ……ゲームだと目の前に突然出現する彼女たちに何も思うところはなかったけど実際にいると正体不明すぎてちょっと怖い。

「あー売り子か……驚くかもしれないが普通に喋って動くぞ、金を渡すとその分働いてくれるんだけど人間ではない何かみたいなんだ召喚した精霊のようなものだと思って気にしないことにしたよ」

 私は恐る恐る話しかけた。

「一階、近接戦闘系売り場でございます。なにをお探しでしょうか?」
「ええと、格闘スキルLv8の[治癒気功]をお願いしますわ」
「かしこまりました。こちらでございますね」

 売り子さんはどこからともなく[技書]を取り出した。私は代金を支払い無事に購入することが出来た。

「普通に買えますわね」
「ああ!初売上だ!毎度あり!」
「おぉ~!私も買ってくるよ!マルレまたあとでね!」

 私とアリッサは思い思いに階を移動し必要な[技書]を購入して回った。
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