怪力悪役令嬢は冒険者になりたい!

タハノア

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自分達の物語に決着をつける編

129-まるで盗賊

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 天幕の入り口にいた兵士に紹介状を見せると「うわ!領主様に直接渡してください」とすぐに天幕の中に通された。

 アリッサの後について天幕に入る対応するのはもちろんアリッサにおまかせする。

 天幕に入ると中にはガッチリと鎧を着込んだ人物が地図を広げた机の向こう側に腰掛けている。短く整えられたグレーの髪で左目には眼帯をして顔には深いシワが刻み込まれている。鋭い目つきで私達を見つめている。隣に控えた兵士も私達から目を離さずじっと見ている。

「クロービより援軍に来たハルカとトモでございます。平定のお手集いをさせていただきたく参りました。」

 アリッサが頭を下げるのを見て私も慌ててお辞儀をする。

「クロービか遠いところからご苦労」

 アリッサは紹介状を取り出して「こちらが農都で頂いた紹介状です」と手渡す。ロットヴァルデ卿は「ふむ」といって封筒を裏返して差出人を見ると目を見開き急いで封を開け手紙を読んだ。

 彼はふぅとため息をつき「どうしたものか」と言いながら隣にいた兵士に紹介状を渡し何やら悩み始めた。

「ふむ……まずは現在この領地の状況から話そう」

 何かを決意したように現在この領が置かれている状況を話し始めた。

 始まりは5日前……なんの予告もなしにエプロストリング軍が境界を超えて進軍してきたそうです。慌てて魔防軍を編成し迎え撃つ構えをとったそうです。

 しかし両軍が向かいロットヴァルデ卿が迎撃命令をだした瞬間に敵軍は蜘蛛の子を散らすように逃走。あっけにとられた魔防軍は追撃に動けず初めの衝突は戦闘行為が行われる前に終結した。

 攻め込む姿勢を見せられたロットヴァルデ卿は兵を引くこともできず天幕を立て駐屯することになったそうです。

「それからの敵の動きは奇妙なものだ……10人ほどの小規模で越境してくる状況が続いている小規模の奇襲戦闘でこちらの戦力を削ぐつもりかとおも思ったがどうも違う……」

 小規模ゲリラ戦を行っているのかと思いきや侵入者が行うのは狩と食料の窃盗……警ら中の兵士に見つかると戦闘を一切せずすぐに逃走するそうです。

「まるで盗賊だな……」

 私のつぶやきにロットヴァルデ卿は同意して話を続ける。

「そうなのだ、どうもエプロストリングの考えがわからん……捉えた敵兵が痩せ細っていることから見ても食料目当ての越境だということはわかるが、それならはじめから素性を隠し小規模で送り込めば良い……大群を揃えて越境し戦争状態に突入する意味はまったくない、それどころか目的遂行に支障が出る……軍議を重ねた結果、何らかの理由で戦争をしているように見せたいだけではないのかという結論に至った。」

 たしかにそうね、他の地域に伝わっている情報と現状はかなり違う。ラーバルから聞いた情報ではまるで泥沼の小規模戦となっているような伝わり方をしてますわ。

 ロットヴァルデ卿は疑問に思いエプロストリング領に斥候を送ったところ、エプロストリングが前線の粗末な小屋で生活していることが判明。さらにエプロストリングの邸宅には槍を2本持った所属不明の戦士が駐屯しているとのことでした。

「お主らの国ではどうかわからんが、我らの国では槍は国を滅ぼしかけた傲慢の王の側近が使っていたとして忌み嫌われている。どうもキナ臭い……王都に現れた黒い鎧のものと関係があるかもしれぬ……そうなるともう軍での戦いではなく、突出した個の力が頼りになる」

 個の力ねぇ……そこで勇者の出番というわけですか。

 私の予想どおり勇者と一部隊でエプロストリングの内情を探ることが決定し、どの隊を共に向かわせるか決めている最中だそうです。

 外の喧嘩の原因はこれですか……ここまで私達に内情を話すということは……

「彼らから強者と太鼓判を押された君たちにも勇者に同行してもらいたい」

 はい来ました!そうなりますよね~私達は、頷き合い彼の提案を受けることにした。

「お受けします」
「わかりました」
「受けてくれてありがとう。悲しむべきか喜ぶべきか我が領では突出した能力を持つのは成人していない若い3人だけなのだ、彼らの戦闘についていける者が居なくてな……どうしても部隊単位で動くことになり使者としていくのは無理があった。だが君らを含めた5人なら使者という形で送り出せる」

 確かに敵が王都に現れた黒鎧レベルだとしたら一般の兵は足手まといにしかならないかもしれない……そこで私達がいれば部隊単位ではなく少人数で使者として敵陣に行けるということですね。

「では外で編成を発表するのでついてきてください」

 ロットヴァルデ卿は席を立つと天幕から外に出ていった。私達もそれに続いて外に出ると、リーシャーさんとニーニャちゃんの言い争いはアロイーンさんを巻き込んでより激しくなっていた。

「おい!何を言い争っているのだ!」
「お父様!勇者の共は慈愛の薔薇隊にお任せください!」
「トヘルミン卿!アロイーンの共にはぜひ治癒姫隊を!」

 嘆願する二人とあわあわしているだけのアロイーンさんを見てロットヴァルデ卿は大きなため息を吐いた。

「どちらの隊も不参加だ……」
「お父様!どうしてですか!」
「まさか一人で行かせると!?」

 またため息を一つ……

「話を最後まで聞け!」
「「申し訳ありません!」」

「編成は決まった隊では動かぬアロイーン、リーシャー、ニーニャそれとクロービから来た援軍の二人を加えた5人で使者としていってもらう」

 私とアリッサに視線が集中する。急に部外者がねじ込まれればこうなりますよね……

「その二人はどのような方なのですか?どの程度戦えるのですか?」

 ニーニャさんが当然の疑問を投げかける。とりあえず自己紹介をしておく事にする。

「はじめましてクロービから援軍に来たトモだ。剣術と補助魔法それと簡易的な治療魔法を使える」
「同じくクロービより来ましたハルカと申します。回復と召喚魔法を使えます」

 アローンさんは私をリーシャーさんはアリッサをじっと見ている。役割がかぶるので気になるようだ。

「ふむ、紹介状にはかなりの強者とあったが、自己紹介がてらこの3人と軽く戦ってもらえぬか?」

 自己紹介を終えるとロットヴァルデ卿から模擬戦の提案をされた。上の命令は絶対という軍人気質が身についていない彼らには実力を直接見せたほうが早いとの判断ですね。

「わかりました軽く手合わせしましょう」
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