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自分達の物語に決着をつける編
140-打ち砕け!ブレイクパイル!
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街を追われたエプロストリング領民が避難している難民キャンプの街道に一番近い場所で緑の髪をした二人が対面している。両者とも既に武器を抜き戦闘態勢に入っている。
片方は緑の髪をおさげにひと纏めしている女性で現騎士団副団長、名はラーバル・バルトレイス。対するは短く刈られた緑の髪をした体格のいい男性で恥と呼ばれた2代目の騎士団長、名をスルーベル・バルトレイス300年前から存在する亡霊だ。
髪こそ同じ色だが両者の違いはその装備からも読み取れる。
ラーバルの鎧は二の腕や太腿などは革製で動きやすさを確保する代わりに盾を使い防御を補い武器は片手剣を使う。一般的に見れば回避と防御に重点に置き隙を突いて攻撃するスタイルだ。
対するスルーベルは全身を完全に覆う銀色のフルプレート装備、襟の部分が縦に盛り上がり首を狩ることを防いでいる特徴的なものだ。武器は金色の片手短槍を2本持っている。防御は鎧に全て任せ両手に持った武器で攻撃を繰り出し続け無理やり隙を作っていくスタイルだ。
互いに装備を観察しあいお互いのスタイルに当たりを付けている。
ラーバルは正しく相手のスタイルを見抜けたが、スルーベルのそれは従来の知識を持ってして行われたものでマルレによって作られた常識を覆す装備は想定されていなかった。
初めに動いたのはやはり攻撃を主体としたスルーベルだ。
最初の一撃は相手が盾で防ぎやすい右の槍での直線的な突き攻撃!対するラーバルはもちろんこれを盾で受ける。それと同時にスルーベルは左腕を伸ばし大外を回るような軌道でラーバルの右肘を狙う。
右肘を狙った攻撃をラーバルは手甲ではたき落とした。オリハルコンで補強された防具は傷一つ付けずに槍を外らすことに成功する。
「その槍術への対処法は脈々と受け継がれている!」
バルトレイスの恥とされる槍術に対抗する剣術は滅びずに代々と受け継がれていた。スルーベルから愚弟と呼ばれる3代目騎士団長はスルーベルを過ぎ去った驚異と思えず対処法を代々伝えることを決めたことが300年越しに効果を発揮していた。
「ふん!愚弟の忌々しい剣術か!ならば力で上回るのみだ!」
技術を力で上回る。おろかにも聞こえるがこれは正しい。マルレの剣術を見ても分かる通り技術は力無き物のあがきであるのは否定できないが技術が力に上乗せされるのもまた事実だ。
二本の槍による苛烈な攻撃が始まる。型などは無視しとにかく急所へ向けて突きが放たれる。
右肘と左膝を同時攻撃、ワンテンポ遅らせての左右での急所攻撃や、右のやたらめったらな連続突きの中に的確に混ぜ込まれる左の突きなど息が切れるという概念を捨てた亡霊による苛烈な攻撃は続く。
ラーバルはそれをなんとか回避したり盾で防いだり時には急所からずらしアーマー部分で受け止めたりしてしのいでいる。
「どうした?肉体を捨てた我が槍術に言葉も発せぬか!ハハハ!」
スルーベルが挑発的な言葉を発した。息つく暇はないが、流石にしゃべることに意識を割くのは愚策だった。その隙をラーバルは見逃さなかった。
ラーバルが与えられたミスリル製の剣は鋼鉄よりかなり軽く一呼吸で2度振れるほどだ。それをスルーベルは知らなかった。
予想を上回るスピードで迫るラーバルの剣はスルーベルのフルプレートの手と腕の僅かな隙間を狙う。
防御を重点においた騎士団の剣は必中の剣!必ず命中する場面でしか放たれない。
狙いは成功し左肘の裏側にあたる肘窩と呼ばれる血管が多く通る場所に剣を突き刺し思い切り切り上げ腕を半分ほど切り裂いた。
亡霊とは魔力の塊。人の形をとっている以上魔力の流れも生前の血流と似たところがある。すなわち半分ほど切り裂かれた肘の裏側から血液の代わりに魔力が溢れでて空気中に霧散している。
魔力の流れが阻害されたスルーベルの左手は力を失い自慢の金色の槍が手から滑り落ちた。
「ぐうう!」
「短絡的かつ傲慢……余裕が出ればすぐに隙ができる!言い伝え通りですね」
スルーベルは無駄口を叩くのを止め残った右手でデタラメに攻撃しながら左腕を再生すると再び槍を拾った。
「武器が一つしかないのならそれさえ注意すればよいのだ!もう当たらんぞ!」
「フフフ!武器が一つですか……」
人間や魔物相手ならあれだけのダメージを与えれば決着と言っても良かったが相手は亡霊倒すには全ても魔力を散らす必要があった。
傷がふさがったスルーベルは、攻勢に戻る。息もつけぬ早業をラーバルはなんとか捌き切っている。
しかしそれは長く続かなかった。
ラーバルのスタミナ切れである……
一瞬の回避の遅れによりスルーベルの槍が鎧の革部分である右の腕を捉えた!
その威力にラーバルは体制を崩し慌てて距離を取る。
邪竜の手先のなめし革でできた鎧は貫通されることはなかったものの腕へのダメージは攻撃の鈍化を招くほどに酷かった。
「ハハハ!唯一の攻撃手段が弱まったようだな?」
しかしラーバルの目に宿る光に変化はなかった。それに苛立ちを覚えたスルーベルの攻撃が再開される。
攻撃を始めたスルーベルは手応えを感じていた先程までラーバルは剣での防御はしていなかったのだがついに剣を防御にまわし始めたからであった。
ニヤリと口元を緩めたスルーベルの変化をラーバルは見逃さなかった。相手が剣ばかりに注目していることが分かったので一気に攻勢に出る。
それは盾での攻撃だった。いままで隠していた背中のブースターを全開にした盾での突撃!
騎士団に伝わっている通常の盾術の半数は攻撃だ。格上対策の右手に盾を持つ防御専門の盾術もあるがそれは今のラーバルには適していない。
その理由が鎧と盾に組み込まれた魔道具だ回避と防御に重点に置き隙を突いて攻撃するスタイルから防御ごと打ち砕くスタイルへと変わっていたのだ。
射程の短さをカバーした強力な突撃は体制を崩すためのシールドバッシュではなく巨大な鈍器による殴打へと姿を変えた。
手足の動きから動きを読むスルーベルにとって理解不能の加速が読めるはずもなく鈍器と化した盾をまともに受けてしまい。大ダメージを多い魔力を撒き散らしながら地面を転がるように飛ばされた。
「武器は一つではありません!盾も立派な武器です!」
ラーバルはそう叫び追撃に飛ぶ。仕込まれた魔道具すべてを起動しながら地面すれすれを高速で飛行する。
傷の修復をしながら辛うじて立ち上がるスルーベルに迫る!
スルーベルはついに槍で防御態勢をとった。
幅の狭い槍は防御に向かずラーバルの剣が胸当と肩当ての隙間に入り込む!先ほどと違い微細振動している剣は肩を楽々貫き地面まで貫通しスルーベルをその場に縛り付けた。
「ぐあぁあああ!」
「そしてマルレによって盾は必殺の武器へと昇華しました!」
スルーベルが自身の腹に当てられた盾からキュイーンという少々不快な高音を発しているのに気がついたときにはもう遅かった。
「なっ!何だそれは!止めろー!」
「打ち砕け!ブレイクパイル!」
盾から超高速で飛び出した風の魔力を帯びたオリハルコン製の杭が軽々と鎧を貫く!
さらには、魔力の発生源である魂の器をも破壊した!
「オオオオオオオアアアアアアアオアアアアアアア!」
悪霊の声にならない地響きが響き渡ると中身を失った鎧や槍がラーバルの足元に散らばった。
ラーバルが盾を空に掲げると盾からはブシューっと空気が抜ける音がしてオリハルコンの杭が再び盾に収納された。
ラーバルは散らばったスルーベルの装備を見て勝ち名乗りを上げる!
「私の勝利です!300年越しの汚名をたった今、返上いたしました!」
バルトレイスの悲願を自分が成し遂げた事に感激していた。
「ラーバル!まだ消滅してない可能性があるよ!」
アリッサの声が響く!マルレが心に入られたときのような失敗を二度とするものかと注意喚起をする。
ラーバルの足元に転がっている鎧から漏れ出した魔力が再び集結し始める。
マルレとアリッサがすぐに臨戦態勢に入ったがそれも無駄に終わった……
なぜならラーバルがあるものを取り出したからだった。
闇の原石ーーーー闇の魔石が特大の塊となった天然の鉱物だ。
次元リュックやポーチに使われる闇の魔石は他の属性の魔石とは別の原理で動いている。他の魔石がその属性の魔力を魔法に変換したり蓄えたりするのに対し闇の魔石だけは違う。
死んだ生物の魂を取り込むことで作動しているのだ。
魂の大きさには違いがあり通常の宝石のような闇の魔石では中型の魔物までしか取り込めない……しかし現在ラーバルが手にしているのは土台の塊からあちこちに柱が飛び出るような形状をした闇の原石だった。その大きさは楽に人の魂を取り込めるほど大きい。
外殻を失ったむき出しの魂を感知した巨大な闇の原石は貪欲に黒い手を伸ばしスルーベルの魂に食らいつく目に見えるほどの魔力を帯びた黒い腕は抵抗を許さず中へと引きずり込み始めた。
「ぐうう!末席のお前がなぜそんな物を!嫌だ!我は滅ぶ訳にはいかない!真の王にこの国をぉぉぉ……」
スルーベルは最後まで言葉を発することを許されずその魂はただのエネルギーへと変換された。
「ふう……300年もあれば巨大原石がバルトレイス家全員に行き渡りますよ」
ずっと準備してきたバルトレイス家に一切の隙はなかった。
唯一の不安要素だったラーバルの攻撃力不足は、直前に渡されたマルレの装備によって克服されていた。
スルーベルは単純に運が悪かったのだ……
マルレが来なければ勇者をグールとの挟み撃ちで討ち取っていただろう……
マルレが単独で来たとしても魂だけになり逃げ延び再び潜伏し力をつけていただろう……
来るはずがなかったラーバルに謝罪として装備を与えた今の状況こそが完全にスルーベルという存在を消す唯一の条件だったのだ。
あたりを包んでいた邪悪な気配はすっかり消えて再び平和が訪れたことにエプロストリング領民は歓喜の声をあげた。
片方は緑の髪をおさげにひと纏めしている女性で現騎士団副団長、名はラーバル・バルトレイス。対するは短く刈られた緑の髪をした体格のいい男性で恥と呼ばれた2代目の騎士団長、名をスルーベル・バルトレイス300年前から存在する亡霊だ。
髪こそ同じ色だが両者の違いはその装備からも読み取れる。
ラーバルの鎧は二の腕や太腿などは革製で動きやすさを確保する代わりに盾を使い防御を補い武器は片手剣を使う。一般的に見れば回避と防御に重点に置き隙を突いて攻撃するスタイルだ。
対するスルーベルは全身を完全に覆う銀色のフルプレート装備、襟の部分が縦に盛り上がり首を狩ることを防いでいる特徴的なものだ。武器は金色の片手短槍を2本持っている。防御は鎧に全て任せ両手に持った武器で攻撃を繰り出し続け無理やり隙を作っていくスタイルだ。
互いに装備を観察しあいお互いのスタイルに当たりを付けている。
ラーバルは正しく相手のスタイルを見抜けたが、スルーベルのそれは従来の知識を持ってして行われたものでマルレによって作られた常識を覆す装備は想定されていなかった。
初めに動いたのはやはり攻撃を主体としたスルーベルだ。
最初の一撃は相手が盾で防ぎやすい右の槍での直線的な突き攻撃!対するラーバルはもちろんこれを盾で受ける。それと同時にスルーベルは左腕を伸ばし大外を回るような軌道でラーバルの右肘を狙う。
右肘を狙った攻撃をラーバルは手甲ではたき落とした。オリハルコンで補強された防具は傷一つ付けずに槍を外らすことに成功する。
「その槍術への対処法は脈々と受け継がれている!」
バルトレイスの恥とされる槍術に対抗する剣術は滅びずに代々と受け継がれていた。スルーベルから愚弟と呼ばれる3代目騎士団長はスルーベルを過ぎ去った驚異と思えず対処法を代々伝えることを決めたことが300年越しに効果を発揮していた。
「ふん!愚弟の忌々しい剣術か!ならば力で上回るのみだ!」
技術を力で上回る。おろかにも聞こえるがこれは正しい。マルレの剣術を見ても分かる通り技術は力無き物のあがきであるのは否定できないが技術が力に上乗せされるのもまた事実だ。
二本の槍による苛烈な攻撃が始まる。型などは無視しとにかく急所へ向けて突きが放たれる。
右肘と左膝を同時攻撃、ワンテンポ遅らせての左右での急所攻撃や、右のやたらめったらな連続突きの中に的確に混ぜ込まれる左の突きなど息が切れるという概念を捨てた亡霊による苛烈な攻撃は続く。
ラーバルはそれをなんとか回避したり盾で防いだり時には急所からずらしアーマー部分で受け止めたりしてしのいでいる。
「どうした?肉体を捨てた我が槍術に言葉も発せぬか!ハハハ!」
スルーベルが挑発的な言葉を発した。息つく暇はないが、流石にしゃべることに意識を割くのは愚策だった。その隙をラーバルは見逃さなかった。
ラーバルが与えられたミスリル製の剣は鋼鉄よりかなり軽く一呼吸で2度振れるほどだ。それをスルーベルは知らなかった。
予想を上回るスピードで迫るラーバルの剣はスルーベルのフルプレートの手と腕の僅かな隙間を狙う。
防御を重点においた騎士団の剣は必中の剣!必ず命中する場面でしか放たれない。
狙いは成功し左肘の裏側にあたる肘窩と呼ばれる血管が多く通る場所に剣を突き刺し思い切り切り上げ腕を半分ほど切り裂いた。
亡霊とは魔力の塊。人の形をとっている以上魔力の流れも生前の血流と似たところがある。すなわち半分ほど切り裂かれた肘の裏側から血液の代わりに魔力が溢れでて空気中に霧散している。
魔力の流れが阻害されたスルーベルの左手は力を失い自慢の金色の槍が手から滑り落ちた。
「ぐうう!」
「短絡的かつ傲慢……余裕が出ればすぐに隙ができる!言い伝え通りですね」
スルーベルは無駄口を叩くのを止め残った右手でデタラメに攻撃しながら左腕を再生すると再び槍を拾った。
「武器が一つしかないのならそれさえ注意すればよいのだ!もう当たらんぞ!」
「フフフ!武器が一つですか……」
人間や魔物相手ならあれだけのダメージを与えれば決着と言っても良かったが相手は亡霊倒すには全ても魔力を散らす必要があった。
傷がふさがったスルーベルは、攻勢に戻る。息もつけぬ早業をラーバルはなんとか捌き切っている。
しかしそれは長く続かなかった。
ラーバルのスタミナ切れである……
一瞬の回避の遅れによりスルーベルの槍が鎧の革部分である右の腕を捉えた!
その威力にラーバルは体制を崩し慌てて距離を取る。
邪竜の手先のなめし革でできた鎧は貫通されることはなかったものの腕へのダメージは攻撃の鈍化を招くほどに酷かった。
「ハハハ!唯一の攻撃手段が弱まったようだな?」
しかしラーバルの目に宿る光に変化はなかった。それに苛立ちを覚えたスルーベルの攻撃が再開される。
攻撃を始めたスルーベルは手応えを感じていた先程までラーバルは剣での防御はしていなかったのだがついに剣を防御にまわし始めたからであった。
ニヤリと口元を緩めたスルーベルの変化をラーバルは見逃さなかった。相手が剣ばかりに注目していることが分かったので一気に攻勢に出る。
それは盾での攻撃だった。いままで隠していた背中のブースターを全開にした盾での突撃!
騎士団に伝わっている通常の盾術の半数は攻撃だ。格上対策の右手に盾を持つ防御専門の盾術もあるがそれは今のラーバルには適していない。
その理由が鎧と盾に組み込まれた魔道具だ回避と防御に重点に置き隙を突いて攻撃するスタイルから防御ごと打ち砕くスタイルへと変わっていたのだ。
射程の短さをカバーした強力な突撃は体制を崩すためのシールドバッシュではなく巨大な鈍器による殴打へと姿を変えた。
手足の動きから動きを読むスルーベルにとって理解不能の加速が読めるはずもなく鈍器と化した盾をまともに受けてしまい。大ダメージを多い魔力を撒き散らしながら地面を転がるように飛ばされた。
「武器は一つではありません!盾も立派な武器です!」
ラーバルはそう叫び追撃に飛ぶ。仕込まれた魔道具すべてを起動しながら地面すれすれを高速で飛行する。
傷の修復をしながら辛うじて立ち上がるスルーベルに迫る!
スルーベルはついに槍で防御態勢をとった。
幅の狭い槍は防御に向かずラーバルの剣が胸当と肩当ての隙間に入り込む!先ほどと違い微細振動している剣は肩を楽々貫き地面まで貫通しスルーベルをその場に縛り付けた。
「ぐあぁあああ!」
「そしてマルレによって盾は必殺の武器へと昇華しました!」
スルーベルが自身の腹に当てられた盾からキュイーンという少々不快な高音を発しているのに気がついたときにはもう遅かった。
「なっ!何だそれは!止めろー!」
「打ち砕け!ブレイクパイル!」
盾から超高速で飛び出した風の魔力を帯びたオリハルコン製の杭が軽々と鎧を貫く!
さらには、魔力の発生源である魂の器をも破壊した!
「オオオオオオオアアアアアアアオアアアアアアア!」
悪霊の声にならない地響きが響き渡ると中身を失った鎧や槍がラーバルの足元に散らばった。
ラーバルが盾を空に掲げると盾からはブシューっと空気が抜ける音がしてオリハルコンの杭が再び盾に収納された。
ラーバルは散らばったスルーベルの装備を見て勝ち名乗りを上げる!
「私の勝利です!300年越しの汚名をたった今、返上いたしました!」
バルトレイスの悲願を自分が成し遂げた事に感激していた。
「ラーバル!まだ消滅してない可能性があるよ!」
アリッサの声が響く!マルレが心に入られたときのような失敗を二度とするものかと注意喚起をする。
ラーバルの足元に転がっている鎧から漏れ出した魔力が再び集結し始める。
マルレとアリッサがすぐに臨戦態勢に入ったがそれも無駄に終わった……
なぜならラーバルがあるものを取り出したからだった。
闇の原石ーーーー闇の魔石が特大の塊となった天然の鉱物だ。
次元リュックやポーチに使われる闇の魔石は他の属性の魔石とは別の原理で動いている。他の魔石がその属性の魔力を魔法に変換したり蓄えたりするのに対し闇の魔石だけは違う。
死んだ生物の魂を取り込むことで作動しているのだ。
魂の大きさには違いがあり通常の宝石のような闇の魔石では中型の魔物までしか取り込めない……しかし現在ラーバルが手にしているのは土台の塊からあちこちに柱が飛び出るような形状をした闇の原石だった。その大きさは楽に人の魂を取り込めるほど大きい。
外殻を失ったむき出しの魂を感知した巨大な闇の原石は貪欲に黒い手を伸ばしスルーベルの魂に食らいつく目に見えるほどの魔力を帯びた黒い腕は抵抗を許さず中へと引きずり込み始めた。
「ぐうう!末席のお前がなぜそんな物を!嫌だ!我は滅ぶ訳にはいかない!真の王にこの国をぉぉぉ……」
スルーベルは最後まで言葉を発することを許されずその魂はただのエネルギーへと変換された。
「ふう……300年もあれば巨大原石がバルトレイス家全員に行き渡りますよ」
ずっと準備してきたバルトレイス家に一切の隙はなかった。
唯一の不安要素だったラーバルの攻撃力不足は、直前に渡されたマルレの装備によって克服されていた。
スルーベルは単純に運が悪かったのだ……
マルレが来なければ勇者をグールとの挟み撃ちで討ち取っていただろう……
マルレが単独で来たとしても魂だけになり逃げ延び再び潜伏し力をつけていただろう……
来るはずがなかったラーバルに謝罪として装備を与えた今の状況こそが完全にスルーベルという存在を消す唯一の条件だったのだ。
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