怪力悪役令嬢は冒険者になりたい!

タハノア

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自分達の物語に決着をつける編

141-本当に見えないの?

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 どうやら戦いはラーバルの完勝で終わったようね!私が開発した装備が役に立ったようでよかったわ!

 打ち砕け!ブレイクパイル!うん!いい掛け声ね!

 私はラーバルに走り寄って手を握り健闘を称える。

「やりましたね!お見事でした!」
「いやほとんどマルレにもらった装備のおかげですよ」

 確かに私が作った装備は凄いけどラーバルもかなり凄いよ!なにせ私がこの装備を試運転したときは、盛大に事故を起こしましたからね。

「いえ!ラーバルが凄いから私の魔導具も輝いたのです!私はその装備の実用試験で、角度を間違え10メートルほど顔面スライディングしましたからね!」

 私の失敗を踏まえて、ラーバルの操縦技術がどれだけ優れているかを教えてあげた。

「え……そうですか」
「おつかれラーバル!もう!マルレ!失敗を自慢げに話されてラーバルが困ってるじゃない」

 私に続いてアリッサもラーバルを労いに近くへやってきた。続いてファーダや勇者たちも集まりそれぞれに称賛の声を掛けた。

「さすがラーバルさん!準備万端だったね魂だけで逃げられたらウチでも捉えられないや!」

 ファーダはきっちり決着を付けたことに。

「さすがですね俺と一緒に魔王城に攻め込んだときより格段に強くなっていますね!」

 アロイーンさんは、短期間でさらに実力を上げたことに。

「本当に凄いです!師匠と同じぐらい尊敬しちゃいます!」

 リーシャーさんは成し遂げた功績に。

「マルレリンド様の魔導具を使いこなしての華麗な撃破!凄いですわ!」

 私の無茶な魔導具を使いこなしたその技術に。

「英名の5人の素晴らしさをこの目で見ることができて、不幸の底から天国へ昇った気分です」

 レイシーズさんは今日の出来事全体を振り返り平和を取り戻したことに。

 [英名の5人]と聞き慣れない言葉が飛び出したけど、聞かなかったことにしましょう……

 とにかくみんなでラーバルを讃えていた。

 ラーバルは「皆様ありがとうございます」と言いながら散らばったスルーベルの装備を拾い集めていた。すると鎧の中から何かがぽろりと地面に落ちた。

「あら?鎧からなにか落ちましたわよ?」

 木の持ちてと三角の金属で構成された小さいシャベルのような物が地面に落ちている。シャベルとは違い三角形をしたところは平面だった。

 何処かでみたことある形ね……

「ん?なにもないが?」

 ラーバルはなにもないと主張するが、地面にポツンとそれだけが落ちているので、見逃すようなものではないと思うんだけど?

「ほら!そこにあるじゃない、シャベルみたいなやつが」
「どこだ?」

 ああ!もう!じれったいわね!

 私はそのシャベルのような物を拾い上げるとラーバルの目の前に差し出した。

「これですよ!」

 ラーバルとアリッサは互いに顔を見合わせた後に首を傾げて声を揃えた。

「「なにもないけど?」」

 手に持ってるのになにもないって!意味わからないわ、なに?ドッキリか何か?それとも軽いイジメかしら?

「ほら!これですわよ!」

 アリッサの手を取り、三角金属の先で手の甲をツンと突いた。

「うわ!なに!なにか触ったよ~!」
「マルレ!あなた一体何を持ってるのですか!」

 どうやらまだ続けるみたいね……

「何ってこれ見えてるでしょ!見えないふりですか?なに?イジメか何かですか?」

 ふふふ!ちょっと怒ったふりをすればすぐに謝ってくるでしょう。

「いや……ほんとに見えない……」
「ええ、私も見えません」

 え?なに?マジな奴?この謎の物体私だけが見えるの!?

「本当に見えないの?」

 私は急に怖くなった。あの亡霊が持っていたのだから邪悪なものに違いないので破壊したほうが良さそうかしら……二人に聞いてみようかしら?

「呪いのアイテムか何かかもしれないので破壊しておいたほうがいいかしら?」

 私がそういった瞬間に、あたりの景色から色が抜けていき、白黒の世界へと変わっていった。

「うわ!ビクリした!」
「いったいこれは何だ!やっぱりマルレが持ってるのは危険な物じゃないのか?」

 私、アリッサ、ラーバルを除いたすべての物や人が全て白黒になった。

 これを体験するのは2度めね……

「マルレさん!それを壊すのは止めてください!」

 息を切らしながら、私の手元を指さしている人物が目の前に現れた。

 長い黒髪のポニーテールに荘厳さを感じさせる雰囲気で、服装は白地に金の刺繍のローブ。

 そこに居たのは、神の使いと名乗っている謎の人物でした。

「あら?お久しぶりです。なにかご用ですか?」
「ご用ですかじゃないです!今すぐそれを渡してください!」

 息が切れるほど急いで駆けつけたみたいですね。何かよほど大切なものなのでしょうね。

「だ!誰だ!これはお前の仕業か!」

 いつも冷静なラーバルは流石に状況が飲み込めず混乱し狼狽している。剣まで構えてるところを見ると相当混乱しているようね!貴重な場面が見れたわ。

「大丈夫よ~ラーバルこの人は敵じゃないよ~」

 ゆったりとしたアリッサの声に落ち着きを取り戻したようで、珍しいパニックラーバルはすぐに引っ込んでいつものラーバルに戻ってしまった。

「いいですか!こっちの仕事が終わるまで、それを壊さないでしっかり持っててくださいね!」

 神の使いさんは、そう私に怒鳴りつけると前に一度見たやり取りを始めた。

「おつかれ様でした。この度の功績で英雄が生まれました」

 うわー全く同じパターンなんだ……

「英雄……?まさか!あなたは初代騎士団長のレイス様を迎えに来た戦いの女神様では!?」

 ラーバルの発言も既視感が強いわね……って初代騎士団長もスペクトルになったの!?

「そうですねぇ……誘い人、戦いの女神、ワルキューレ、ヴァルキリー、死神、勧誘者、神の使い、私のよび名は無数にありますよ」
「では、この度は……」

 うん同じパターンだね。

「悪霊を倒し完全に無にした功績により英雄が誕生しました。そこでこの世界からお願いがあります。」

 ラーバルもスペクトルの一員になるのですねぇ……

「この世界を守る[スペクトル]の一員としてあなたを迎えたいと思います。」

「よくわかりません。どういうことでしょうか?」

「肉体を捨て魂と魔力だけで構成された[スペクトル]として生まれ変わりこの世界の守護者の一員となってほしいのです」

「……それは、死ぬということでは?」

「いえ、そうではありません。この話は肉体としての生を終えた後の話です。まあ、今すぐ連れて行くことも可能ですが……」

 神の使いさんは、空中の隙間から大きな鎌を取り出して、以前と同じ様に柄を地面にドスンと打ち付けた。

 うん全く同じね。ところがこれを聞いたアリッサが突然大声をあげ始めた。

「ちょっと待ったー!ラーバル!注意して![断る]か[受け入れる]かの2択から[今受ける]か[後で受けるか]のどっちも受ける2択にすり替わってるよ!」

 ええ!?そう言われてみればそうですね……この人以外に、あくどい!?

「え?え?たったしかにそうですね!注意します!」

 神の使いさんは、余計なことをしやがって!といった様子で、ジロリとアリッサを睨みつける。

「スペクトルになると過去の英霊たちと訓練ができますよ!」
「英霊と訓練!」

 おっと!ぐらつくラーバル!

「シワシワになって老衰で死亡しても、スペクトル化すれば、見た目の年齢は自由に選べます!」
「ほう!!」

 なにこれ?断る理由なくないかしら?

「毎食好きな物を食べ放題!そして……一切太りません」
「やります!守護者になります!」
「そうですか勧誘を受けてくれてありがとうございます。ではあなたに肉体の終りが訪れたら迎えに参りますね」

 ラーバル陥落!というか断る理由なんて一つもないわよね……今すぐにスペクトル化する人もいるんじゃないかというぐらい好条件ね……

「何それ条件良すぎ……はい!わたしもやります!」

 アリッサも何故か立候補!ラーバルトアリッサがいるならもちろん私も!

「でしたら私も!」

「アリッサさんはまだやるべきことが残っていますのでそれを終えましたらまたお会いしましょう」

 やっぱりアリッサはこの戦争を終わらせないといけないのかしらね?

「それとマルレさんは断っても強制連行します……というか死ぬ前から仕事をしてもらいます」
「え?なんで私だけ強制なのよ!それも死ぬ前から労働ですか!?」
「理由はあなたが一番ご存知ですよね?」

 あーそうね……私はやっちゃってますものね……

「そんなことより、あなたが手に持っているそれ、返してもらえませんか?」

 そういえば、彼女がここに来た目的の中に、このシャベルみたいなのを取りに来たってのもあったようね。これは一体何なのでしょうか?

「これがなにか教えてくれたら返してあげますわ!」

 神の使いさんは、はぁ~と大きなため息を付いてこれが何なのか、どうしてスルーベルが所持していたのかを話し始めた。
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