愛さえあれば他には何も要らない? 貴方の新しい婚約者は、そう思ってはいないみたいですよ?

柚木ゆず

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第6話 予想外~ジルside~ ジル視点

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「え……? り、リリアン……。今の台詞を、もう一度言ってもらえるかな……?」

 重い重い足を引きずり部屋へと戻った俺は、目を見開き固まっていた。
 今聞こえてきた言葉は、聞き間違いなのか……? 酷い空耳なのか……?

「す、すまない。ちゃんと聞き取れなかったんだ。繰り返してもらえるかな……?」
「はい。『ダイヤの指輪は要りません』、わたくしはそうお伝えいたしました」

 …………。
 やっぱりだ。聞き間違えじゃない! リリアンは、購入しなくていいと言ったんだ!!

「ど、どうしたんだい? さっきまで欲しがっていたのに、どうして急に変わってしまったんだい?」
「胸元にあるネックレス。こちらを眺めていたら、自然とそう思うようになったのです」

 今自分のもとには、こんなにも素敵なものがある――。
 大好きな方の分身がある――。
 なのに他のものを身につけるのは、裏切りのよう――。

 そう思うようになって、なんと……! なんと、だ……!!


 貴金属はもう要らない。


 そう思うようにも、なったらしい!!

「わたくしはもう、一生物をいただいています。それになにより、お傍にはジル様がいてくださりますので。1億以上もの――お金では買えない宝物がありますので、これ以上は不要です」
「そ、そうかい? そうなのかっ。実はダイヤモンドを買う手配をしていたのだけれど、ならキャンセルしておこうかっ」
「はい、お願い致します。……わたくしのせいでお騒がせしてしまい、申し訳ございませんでした」
「いやいやっ、いいんだよ!! 気にしないでくれ!!」

 おかげで最大のピンチが勝手に消えてくれて、おまけに実態を告白しなくて済んだのだから! 俺は満面の笑みを浮かべて応じ、そのあとはもちろん――何の不安もなく、リラックスして愛する人とのお喋りを楽しんだのだった。


 リリアン、やはり君は最高の女性だ。
 君と出逢えたこと、君と結婚できたこと。それらの奇跡に、改めて感謝しているよ――。







 ※明日は『予想外』リリアンsideを投稿させていただきます。

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