婚約破棄ですか? それはこれから、私が貴方に行うものですよ?

柚木ゆず

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第3話 ルイーズ視点(4)

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「こちらが、鑑定書になります。ご覧ください」

 王族の影響さえも受けることのない、絶対的に中立な第三者機関。そちらが発行してくださった書類を、この場にいる全員にお見せしました。

「恐らく直近で、このチャームについてお話をされていたのでしょうね。イザック様の指紋が複数個、検出されています」
「…………。…………」
まだお伝えしていなかった・・・・・・・・・・・のですが。イザック様がタユレス様にプレゼントをした、その証拠があったのですよ」

 仰られているように、こういったものは誰でも入手が可能となっています。ですのでそこを逃げ道に使うと予想しており、その日のうちに鑑定を依頼していました。

「イザック様。お二人の指紋は、お二人固有のもの。他者が持っているものではありません」
「……………………」
「したがって2つの指紋がついたチャームは、他者が入手できません。そうですよね?」
「……………………」

 正面にいる彼に伺うと、返事はありません。鑑定書を凝視したまま、固まってしまっています。

「三十秒経過しても回答はなし、ですので肯定と解釈させていただきます。イザック様、終演のお時間ですよ」
「……………………くそ……! クソが……!! この俺が踊らされていただなんて……!!」

 どう足掻いても挽回は不可能。ようやく、そう悟られたのでしょう。暗に自らの罪を認め、大きく舌打ちをしました。

「チャームさえなければ……! マイリス……っっ。なぜ落としてしまうんだ……!?」
「わ、わたくしだってっ、落としたくて落としたのではありませんわ……。それにっ、ルイーズが気付いたのは1か月前ですわっ。わたくしの責任ではなくっ、イザック様の責任ですわ!」

 そしてどうにもならないと分かるや、今度は責任の転嫁が始まりました。
 お前が悪い。貴方が悪い。などなど。
 それが決まったところで、なにも変わりはしないのですが――。協力が露見してしまい崩れ落ちる9名をよそに、大喧嘩を行います。

「ずっとルイーズは愛されていると信じていましたわ! なのに怪しまれるだなんてよっぽどですわよ!!」
「お前の誕生日だからと浮ついてしまったんだっ! ルイーズのもとに向かう日に誕生日だったお前にも非があるだろう!!」
「滅茶苦茶ですわっっ! 貴方という人はっ、そんなにも情けない人だったんですのねっ!!」
「情けないだと!? 俺は事実を言っているだけだ!! 客観的に状況を見て的確に指摘しているだけで――」
「イザック様、タユレス様。そういったものは後で、お二人だけとなった時に行ってください。貴方がたには、まだお伝えしなければならないことがあるのですから」

 先ほど申し上げた、終演。それは、第一部に関してです。
 降りた幕は再び上がり、これから第二部が始まるのですよ。

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