二度と会えないと思っていた、不思議な初恋の人と再会しました

柚木ゆず

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第8話 就任パーティー(1)

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「就任の挨拶に関係者への礼など、大忙しだったな。お疲れ様、メリッサ」

 当選が決まった日の夜。この学院での『伝統』を一通り終えると、会場の隅にいたエリー君がドリンクと軽食を持ってきてくれました。
 前生徒会メンバーによる、新生徒会長の誕生を祝う立食形式のパーティー。毎年その日の夜に空き教室を祝って盛大に行われるもので、今回も大賑わい。前生徒会メンバーや私を支持してくれた方々が150人以上参加してくださり、

『生徒会長に就任しました、メリッサ・ハンナです。これからおよそ1年間、よろしくお願い致します』

『皆様が支持をしてくださったおかげで、こうしてわたしは当選できました。今度はそんな皆様のお声を、しっかり反映させてまいります』

 このようにスピーチや支援者の方々との乾杯を行ったり、

『ハンナ新会長っ。あたし、雑務が得意なんです。よろしれば、一緒にお仕事をさせてくださいっ!』
『僕は、補佐に長けていると自負しています。どうか、副会長のご検討をお願い致します』

 生徒会メンバーは生徒会長が指名する仕組みなので、所謂売り込みに来られた方々とお喋りをしたり。
 わたしは終始動き回っていて、開始から約1時間50分後ですね。ようやく全ての『やるべきこと』が終わり、やっと純粋にパーティーを楽しめるようになりました。

「どうも、ありがとうございます。……エリー君が居てくださらなければ、今頃はリーズルに強制送還されていました。こうして大忙しになれるのはエリー君のおかげでして、改めてありがとうございました」
「ああ。だが数日前にも言ったが、それはこちらの希望。メリッサが悲しむ顔を、俺が見たくなかっただけだ。気にしないでくれ」

 エリー君はグラスにあるドリンクを品よく飲み、きっと、話題を変えようとしてくれたのだと思います。「そういえば」と口にして、東の方角を見やりました。

「職員室で、外出の申請をしている姿を目にした。祝日明後日、国に戻るそうだな」
「はい、そうなんですよ。前々から約束だったんです」

 生徒会長選が終わったら、結果がどうであれ、叔父の家に報告をしに行く。あの条件を付きつけられた日から、その日の予定は決まっていました。

「深夜0時に出発して、次の日の夜には戻ってくると思います。リーズルのお土産を買ってきますので、楽しみにしていてくださいね」
「…………………。長距離の移動、か」
「? エリー君?」

 難しいお顔を、されていますね。どうされたのでしょうか?

「この妙な感覚は、杞憂だとは思うが……。己の第六感を信じてみるとしよう」
「??? 第六感? どうしたのですか?」
「明後日の、帰省だが。何もないとは思うが――」
「あっ、ここにいらっしゃったのね。タウラさん、貴方にお願いしたいことがあるのですよ」

 不意に、私の右手側から女性がやって来ました。
 この方は3年生の歴史科目を担当されている、リンダ・ガーネン先生です。エリー君に、ご用があるみたいですね。

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