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第5話 翌日・昼~エイデア侯爵邸での出来事~ オラース視点(4)
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「オラース様ぁっ。ぇへへぇ。ごきげんよ――」
「やあニルファット君! 俺の元婚約者が酷いことをしてごめんよ!! そんな傷を癒すっ、慰める機会をわざわざ与えてくれてありがとう!! このたびは御足労感謝いたします!!」
ロゼッタの来訪を知った俺は猛スピードで外へと飛び出し、彼女の前にたどり着くと即、敷地外にもしっかり届く大声を出した。
((はぁ、はぁ、はぁ……。もしもすでにレオニーが動いていて、何かしらの形でこの光景を見られていたとしても……))
こうしておけば、隙にはならない。
す、すごいぞ、俺……! 自分でも、よく閃いたと、思う……!!
「??? ニルファット君、ですかぁ? オラース様ぁ? いつものように、ロゼッタと――」
「あぎやべりあごぇいあええあえええれえふぇれえれれげれえああああああ!!」
「? ?? ??? あぎやべりあごぇ……? オラース様ぁ?」
「しゃっ、喋らなくていいから!! 黙って聞いて欲しい!! 頼むから静かに聞いてもらいたいっっ!!」
あ、危ない。今のは危なかった……っ。
隙だらけな声を慌てて奇声で遮り、間髪入れず再び口を開く。
「ニルファット君っっ、大変申し訳ない!! 実は急にっ、非常に大事な『家』の用事が入ってしまってね!! あの件に関する改めてのお詫びや慰めをさせていただく機会は別の機会にさせていただきたい!! こちらからここに招待しておいて申し訳ないがすまないが申し訳ないが至急帰っていただきたいんだよ!!」
「??? オラースさまぁ? さっきから、ヘンテコなコトばかりおっしゃ――」
「ぎぃいえええあげげえでげれれれれれへへへへえぇべぁ!!」
だから‼ 黙って聞いてくれと言っているだろう!?
頼むから言うことを聞いて――
「あのぅ。今日の、作戦成功パーティーはぶふ!?」
「もう時間がないんだ大急ぎで出発しなければならないんだ!! 非常に申し訳ないが速やかに去っておくれ!! さようなら!! バイバイ!! ごきげんよう‼」
「オラースさまぁどうしちゃったんですかぁっ!? いつものように――」
「さようなら!! バイバイ!! ノエルに関するお詫びはまた今度しっかりさせてもらうよ!! 予定が決まったら使者を送るからそれまで待っていておくれ!! バイバイニルファット君っっ!!」
監視対策としてヒソヒソ話ができないので、口を塞いだあと強引に馬車に押し込んで発進させた。
……はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…………。
これで…………。ロゼッタに関する問題は、大丈夫。
((あとは痕跡抹消と、協力者の保護だな。急ごう!!))
そうして俺は、父上と共に動き出し――
※次のお話からは再び、アンジェリク(ノエル)視点となります。
「やあニルファット君! 俺の元婚約者が酷いことをしてごめんよ!! そんな傷を癒すっ、慰める機会をわざわざ与えてくれてありがとう!! このたびは御足労感謝いたします!!」
ロゼッタの来訪を知った俺は猛スピードで外へと飛び出し、彼女の前にたどり着くと即、敷地外にもしっかり届く大声を出した。
((はぁ、はぁ、はぁ……。もしもすでにレオニーが動いていて、何かしらの形でこの光景を見られていたとしても……))
こうしておけば、隙にはならない。
す、すごいぞ、俺……! 自分でも、よく閃いたと、思う……!!
「??? ニルファット君、ですかぁ? オラース様ぁ? いつものように、ロゼッタと――」
「あぎやべりあごぇいあええあえええれえふぇれえれれげれえああああああ!!」
「? ?? ??? あぎやべりあごぇ……? オラース様ぁ?」
「しゃっ、喋らなくていいから!! 黙って聞いて欲しい!! 頼むから静かに聞いてもらいたいっっ!!」
あ、危ない。今のは危なかった……っ。
隙だらけな声を慌てて奇声で遮り、間髪入れず再び口を開く。
「ニルファット君っっ、大変申し訳ない!! 実は急にっ、非常に大事な『家』の用事が入ってしまってね!! あの件に関する改めてのお詫びや慰めをさせていただく機会は別の機会にさせていただきたい!! こちらからここに招待しておいて申し訳ないがすまないが申し訳ないが至急帰っていただきたいんだよ!!」
「??? オラースさまぁ? さっきから、ヘンテコなコトばかりおっしゃ――」
「ぎぃいえええあげげえでげれれれれれへへへへえぇべぁ!!」
だから‼ 黙って聞いてくれと言っているだろう!?
頼むから言うことを聞いて――
「あのぅ。今日の、作戦成功パーティーはぶふ!?」
「もう時間がないんだ大急ぎで出発しなければならないんだ!! 非常に申し訳ないが速やかに去っておくれ!! さようなら!! バイバイ!! ごきげんよう‼」
「オラースさまぁどうしちゃったんですかぁっ!? いつものように――」
「さようなら!! バイバイ!! ノエルに関するお詫びはまた今度しっかりさせてもらうよ!! 予定が決まったら使者を送るからそれまで待っていておくれ!! バイバイニルファット君っっ!!」
監視対策としてヒソヒソ話ができないので、口を塞いだあと強引に馬車に押し込んで発進させた。
……はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…………。
これで…………。ロゼッタに関する問題は、大丈夫。
((あとは痕跡抹消と、協力者の保護だな。急ごう!!))
そうして俺は、父上と共に動き出し――
※次のお話からは再び、アンジェリク(ノエル)視点となります。
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