婚約破棄が嬉しかったのでおもわず笑ってしまったら、それを見た元婚約者様が怯え始めたようです

柚木ゆず

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第15話 その後・選択肢 アンジェリク視点(1)

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「ノエル――いや、今はアンジェリクさんか。アンジェリクさん、先の皆さんの言葉は確かなるものじゃ。ノエル・ラーデルンに、戻る気はないかな?」

 オラース様やロゼッタ様達が、満面の笑みを浮かべて連行されたあとのこと。私は学院内にある応接室に案内されていて、対面にいらっしゃる白いひげを蓄えられた男性――この学院の学院長先生と、大事なお話を行っていた。

『『『『『『ありがとうございますっ! ありがとうございますっっ!!』』』』』』

 周囲に手を振りながら晴れやかに去られた、オラース様やロゼッタ様達。そんな姿を眺めているとかつての同級生に囲まれ、そうしていると学院長先生がいらっしゃられたのだった。
 この方が今し方仰られたのは、

『復学されますのよねっ?』

 というもの。
 貴族の令息令嬢のみが籍を置くココへの復帰、つまり貴族界への復帰を提案されているのだ。

「彼らが捏造を認めたことにより、君は『ラーデルン』を取り戻す資格を得たのだよ。どうかの? またここに、戻ってくるつもりはないかな?」

『お困りな事があれば、公私ともにわたくし達がお手伝いいたしますわっ』
『あの時何もできなかったお詫びを、させてくださいましっ!』

 学院長先生は退学の際に、調査を提案された――オラース様達の言い分を、受け入れずにいてくださっていた。
 先程そう仰ってくださった皆様も、その際は不安げに見守ってくださっていた。
 なので全員が、本心で復学を望んでくださっている。

「当主夫妻が不在。その『穴』が大きいと、重々承知しておるよ」
「……はい」
「そこで我々は、出来る限りの支援、バックアップを行うつもりじゃ。復帰後は当主となる君を、精一杯支えていく所存なのじゃよ」
「……はい」
「いかがかな、アンジェリクさん。再び、ノエル・ラーデルンを名乗るつもりはないかな?」
「……………………」

 貴族籍を再び得て、ラーデルン子爵家の当主となる。それはとてつもない、簡単には表しきれないほどのメリットが存在する。

 お金、宝石、貴金属、夜会、などなど。

 平民では経験できないことを、再び――それも以前とは違い、お父様やお母様からの拘束や制限なしで、経験できるようになる。
 それに――ううん。それはどうでもいいの。

 お金、宝石、貴金属、夜会。そんなものには、とっくに興味はなくなっている。

 私が思う、一番の、何よりのメリットは――

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