私を捨てた元婚約者は、新しい恋人に飽きられてきたらしい

柚木ゆず

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第5話 ??? 手紙じゃなくて、直接来た……? ロティナ視点(2)

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「関係を解消できて、よかった。シルヴィー様は、そう思われています」
「……………………。貴方の見間違い、ではなくて?」
「はい。見間違いでは、ございません。あの方は間違いなく、そう思われています」
「……………………」

 断言されてしまい、わたしは言葉を失ってしまう。
 そんな……。ノーダメージどころか……。『よかった』と思っているだなんて……。

「恐らくですが……。解消を切り出したシモン・ハヌエ様の態度を見て、一切の興味を失ったようです」
「たっ、態度だけで、一切……!? そんな、バカな……」

 だってシモンは、愛していた婚約者なのよ!? 愛する人が離れていくのは、悲しくないのっ!? どんなにダメな点があっても、付き合った頃の思い出があるからっ! もう一回やり直したいと思うものじゃないのっっ!?

((そうなるはずよっ!! だって、わたしがそうだったんだもの!!))

 認めたくはないけどっ! 先日元恋人と別れた時は! 好きな人が出来たから別れようと言われた時は滅茶苦茶腹が立ったけどっ、願い下げだと思ったけどっ、それでもっ! 時間が経てば、色んな感情が湧いてきたんだもの!
 あの女だって、そうなるはずじゃないの!?

「……ロティナ様。シルヴィー様は、そういった方のようです」
「そ、そんな……。でっ、でもっ! でもっっ! それは置いておくとしてっ! あの女は、わたしに婚約者を奪われたのよっ!? 事情はどうであれ女として負けたのよっ!? ライバルに負けたのよっ!? どうしてそれに関しても何も感じていないの!?」

 もしわたしがシルヴィーなら、ハンカチを噛みきるくらい怒ってるっ。悔しがってるっっ。なのになんで、そういったものさえもないの……!?

「そちらも同様に、そういったお考えをお持ちの方のようです。……恐らく、なのですが……」
「恐らくっ!? なにっ!?」
「こういった出来事で、負けた、とは感じられてはいないのだと思います。あのご様子は、むしろ……。そんな人を引き取ってくれてありがとうございます。そういった、感謝の気持ちを感じました……」
「………………………………」

 その言葉を聞いて、また――ううん。さっき以上に、言葉を失ってしまう。
 ま、まさか……。まさか……っ。
 わたしだけが、勝負だと、思っていただなんて…………。

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