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第11話 ロティナのその後 俯瞰視点(5)
「…………浮気……? あなた……。それは、事実なの……?」
「ちっ、違うっ! 事実ではないっ!! 私は一度たりとも――」
「お父様は、平民の女と関係を持っていた。執務室のデスクに隠してる手作りの手袋がその証拠よ」
ロティナは部屋を飛び出し、ニミアに証拠を持ってきました。
グレンはとある店で会食を行った際に、給仕を務めていたミレーヌという21歳下の女性に一目惚れ。定期的に会っていたのです。
「…………こんなものを、いつも身近に置いていたなんてね……。……………………」
「す、すまないニミアっ。つ、つい出来心なんだっ! あっ、安心してくれっ、子どもは居ないっ! だからぶふ!?」
「……子どもが居ないから、安心しろですって? ふざけないで頂戴」
全力で以て行われた平手打ちでグレンを黙らせ、ニミアは踵を返して歩き出しました。
「に、ニミア……? ど、どこへ行くんだ……?」
「実家に帰らせていただきます。…………浮気を行う人なんかと、夫婦では居られないわ。後日届く書類に、サインをお願いしますね」
「おっ、お母様っ! わたしも一緒に連れていってください!」
母ニミアの実家も、侯爵家。そちらに入ればある程度の安泰を手に入れられるため、去り行く背中に訴えかけました。
しかし――
「あなたは彼の浮気を知りながら、交際の道具として利用した。そして、再三の忠告にも耳を貸さなかった。あなたみたいな人とも、親子ではいられないわ」
ロティナはすでに母を裏切っていたため、却下。ニミアは部屋を出たその足で馬車に乗り込み、メイダルン邸を去ってしまったのでした。
「……………………」
「……………………」
その結果。邸内にはロティナとグレンのみとなり、
「どうして約束を破った!? 話が違うじゃないか!!」
「お父様があんなことを言ったからよ!!」
「悪評が蔓延し、ニミアまで……っ。お前のせいで何もかもが滅茶苦茶だ!!」
「お父様が浮気しなければお母様は怒らなかったしっ、わたしだって脅せてなかったっ!! 全部お父様のせいよ!!」
醜い2人は早速、醜く罵り合います。
どちらも、『悪いのそっち』。そんな考えのため、いつまでも言い合いを続けることは可能でしたが――周囲が、そうはさせてはくれません。
「兄上。今後について、大切なお話がございます」
「お忙しいようですが、時間をいただきます」
やがてグレンの弟2人が弁護士たちを連れて訪れ、そこからはシモン達と同じ――。
「まっ、待ってくれ!!」
「叔父様っ、待ってください!!」
グレンとロティナは必死になって懇願しますが、聞き入れられることはありません。彼女達もまた全てを失い、その日常はあっさりと崩壊してしまったのでした。
「ちっ、違うっ! 事実ではないっ!! 私は一度たりとも――」
「お父様は、平民の女と関係を持っていた。執務室のデスクに隠してる手作りの手袋がその証拠よ」
ロティナは部屋を飛び出し、ニミアに証拠を持ってきました。
グレンはとある店で会食を行った際に、給仕を務めていたミレーヌという21歳下の女性に一目惚れ。定期的に会っていたのです。
「…………こんなものを、いつも身近に置いていたなんてね……。……………………」
「す、すまないニミアっ。つ、つい出来心なんだっ! あっ、安心してくれっ、子どもは居ないっ! だからぶふ!?」
「……子どもが居ないから、安心しろですって? ふざけないで頂戴」
全力で以て行われた平手打ちでグレンを黙らせ、ニミアは踵を返して歩き出しました。
「に、ニミア……? ど、どこへ行くんだ……?」
「実家に帰らせていただきます。…………浮気を行う人なんかと、夫婦では居られないわ。後日届く書類に、サインをお願いしますね」
「おっ、お母様っ! わたしも一緒に連れていってください!」
母ニミアの実家も、侯爵家。そちらに入ればある程度の安泰を手に入れられるため、去り行く背中に訴えかけました。
しかし――
「あなたは彼の浮気を知りながら、交際の道具として利用した。そして、再三の忠告にも耳を貸さなかった。あなたみたいな人とも、親子ではいられないわ」
ロティナはすでに母を裏切っていたため、却下。ニミアは部屋を出たその足で馬車に乗り込み、メイダルン邸を去ってしまったのでした。
「……………………」
「……………………」
その結果。邸内にはロティナとグレンのみとなり、
「どうして約束を破った!? 話が違うじゃないか!!」
「お父様があんなことを言ったからよ!!」
「悪評が蔓延し、ニミアまで……っ。お前のせいで何もかもが滅茶苦茶だ!!」
「お父様が浮気しなければお母様は怒らなかったしっ、わたしだって脅せてなかったっ!! 全部お父様のせいよ!!」
醜い2人は早速、醜く罵り合います。
どちらも、『悪いのそっち』。そんな考えのため、いつまでも言い合いを続けることは可能でしたが――周囲が、そうはさせてはくれません。
「兄上。今後について、大切なお話がございます」
「お忙しいようですが、時間をいただきます」
やがてグレンの弟2人が弁護士たちを連れて訪れ、そこからはシモン達と同じ――。
「まっ、待ってくれ!!」
「叔父様っ、待ってください!!」
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