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第6話 始まりと、予想外 クレア視点(2)

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「あら……? おじ様かクレアに、お客様かしら……? 悪いタイミングでいらっしゃって――えっ!?」

 品よく頬に手を添えていたダリアが、大きく息を飲んでしまう。
 その理由は、馬車から降り立った方々が只者ではなかったから。白の制服を身に纏った3人の男性と2人の女性、この方々は治安局員――治安を司る機関の人間だったのだから。

「治安局の方々……!? どうしてこちらに……!?」
「昨夜俺が、依頼をしておいたんだよ。もしクレアが浮気をしていたら、慰謝料の請求などを。もしクレアが浮気をしていないのであれば、捏造などに関する訴訟などを行わなければならないからね」

 円滑にソレを行うには、中立者の立ち合いが必要――。そんな事由でマリアス様は手配をされていた。
 というのは、表向きの理由。


『クレア様。ダリアとファビオは、これからどう動くと思う?』
『聴取に違和感なく答えられるように知識を蓄え、完璧に回答してみせてマリアス様を悩ませる――真偽が分からないようにするのではと考えています。この状況であちらが打てる最善策は、これしかありませんので』
『さすがはクレア様、俺もそう確信しているよ。……だから「違和感なく答え」られなくなるように、プレッシャーを与えようと思おう』


 昨夜私達の間ではこういったやり取りが行われていて、2人がイメージ通りに動けなくなるように、お呼びをした。

「世間体など様々な面を考慮して、今日中に片を付けるつもりなんだ。ダリア、ファビオ。済まないけれど、こちらの方々にも同席をしていただき――ん? 君達、小刻みに震えていないかい?」
「えっ!? あっ、びっ、ビックリしてしまいしてっ! その影響でっ、そうなってしまっていただけですわっ!」
「おっ、同じくでございますっ! 驚きでそうなってしまっただけでして、もうまもなく鎮まると思いますっ!」
「急な思い付きで、戸惑わせてしまったか。二人とも申し訳ない」

 明らかに動揺しているダリアとファビオ様に改めて謝罪が行われ、下げていたお顔が上がると――いよいよ、聴取が始まることになった。
 ……この様子だと、いずれ違和感が生まれてしまうと思う。2人はどこまで、誤魔化せるのかしらね?

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