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第10話 護るものがなくなった時 ベルナール視点(3)

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「ヤツらの声が聞こえた!! ヤツらが近くにいるんだ!!」

 どういうことだ!?
 さっきマルゴを犠牲にして振り切ったはずだ!! それから一度も追いつかれていないのにっ、なぜアンデッド共の声が聞こえて――

「うわあああああああああああああああああああ!!」

 ――…………その理由を、理解した……。
 俺は――俺達は、動揺して忘れてしまっていたんだ。出入口は一か所ではない、ということを……。
 ヤツらは360度から近づいて来ていて、正面以外のヤツは壁をよじ登っていて……。あらゆる場所から、侵入されてしまっていて……。俺達はそこに気が回らず、警戒していなかったせいで死角にいると気付かず……。

「うわあああああああああああああああああああ!!」

 ライナが、やられた。
 物陰から飛び掛かってきたアンデッド共に群がられ、あっという間にライナの姿は見えなくなってしまったのだった……。

「「「「「うううううううううううう!!」」」」」
「近くに居たのはコイツらだけじゃない!! 父上母上!!」
「ああっ! 急ごう!!」「ええ!!」

 こうなったらライナは助からない。俺達は急いで扉を潜って城に入り、大急ぎで扉を閉める。
 だが1ミリの安心なんてできるはずがなく、大至急剣や弓や矢を集めてきて、それぞれ構えた。

「みな、準備はいいな? 扉が突破されたら、一斉に矢を放つぞ」
「……ええ」
「……うん。分かった」

 城門を壊したのだから、それ以下の耐久力の扉が壊されないはずがない。俺達は弓を構え、その時を待ち――予想通り、すぐにその時は訪れてしまう。

「「「「「ううううううううううううううううう!!」」」」」
「「「「「ううううううううううううううううう!!」」」」」
「来たぞ! うてぇえええええええええええええ!!」

 父上の合図で、一斉に弓を射る。
 俺達は護身目的である程度の心得はあり、それもあって全員の矢はアンデッドの頭にそれぞれ命中した。

「「「うご!? うごぉぉぉぉ…………」」」
「刺さったアンデッドは動かなくなった!! 矢が効いてるっ!!」
「よし! この調子で打つぞ!! てぇえええええええええ!!」

 素早く矢を補充して、放つ。放つと再び矢をセットして、打つ。
 打つ、補充、打つ、補充、打つ、補充。
 俺達は一心不乱に2つの動作を繰り返し、その甲斐あってかなりの数のアンデッドを倒した!

 の、だが……。

 やがて……。
 たった3分ほどで……。
 俺達の顔は、絶望に染まることになるのだった……。


「「「駄目だ(わ)……。数が多すぎる……」」」
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