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第6話 質問と アリス視点(3)

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「残念ながら、彼の言い分を否定する材料はない。だがその代わりに、こちらにも更に証拠があるんだよ!」

 自信に満ち溢れた、お声。そちらが、応接室内に響き渡りました。
 アルチュール様にも、おあり……?

「それを聞いて見てもらえれば、俺が真の王子様だと理解してもらえる。とはいえ、あいにくと今はそうできないんだよ」

 2人目が現れると思ってもみなかった。約束の日に訪れイヤリングを出せば信用されると思っていて、屋敷に置いて来ていたんだ――。そう仰られ、アルチュール様の指が1本立ちました。

「そこで至急持ってきたいところなのだけれど、すでに多くの時間が経過してしまっている。そうしていると、夜の公務に――本物として行う初めての責務に、間に合わなくなってしまうんだ。なのでそうするのは、明日…………明日も、満足に時間が取れそうにないな。すまないが、明後日にしてもらいたいんだよ」
「承知いたしました。明後日、お待ちしております」

 この方は、公爵様。様々なものを背負われている方ですので。申し訳なそうにされているお顔に対し、即座に首を左右に振らせていただきました。

「ありがとう、アリス。……オーレリアン、今日はこれ以上この件を進展できなくなった。これに関しては申し訳なく思っていて、後日となることをお許し願いたい」
「わたしなどに勿体なきお言葉でございます。では不公平となりますので、わたしも本日は去ることに――あ。アリス、ファズエルス様。明後日は、お時間に余裕はございますか?」
「ん? あ、ああ。あるぞ。午後の7時までなら、空いている」
「わたしは、1日空いておりますよ」

 オーレリアン様? 急にどうされたのでしょうか?

「『去る』で思い出したのだけれど、僕にももう一つ、証拠となり得るものがあったんだ。それはエプリスヒの森にあって、現地に行かないと分からないんだよ。ですのでファズエルス様、アリス、リーエンデルア様。明後日はエプリスヒの森に集まる、という形にしてはいただけませんでしょうか?」

 言わずもがな乗り継ぎ用の馬車などをこちらで用意をさせていただき、スムーズかつ疲労の少ない移動をお約束致します――。そう仰られ、アルチュール様は誰よりも早く頷かれました。

「こちらの要望だけ通す、そんな男は公爵失格だ。応えようじゃないか」
「わたくし共も、異論はございません。そちらに向かわせていただきたく思います」
「ファズエルス様、リーエンデルア様、有難き幸せ。痛み入ります」

 オーレリアン様はわたし達全員に対して片膝をつかれ、こうして明後日の予定が決まりました。

(きっと、2日後には真偽が判明します。どちらが、あの時の男の子なのでしょうか……?)

 お話が終わったため、馬車に乗り込まれるお二人。そんな2つの背中を見つめていたら、自然とそんな小声が漏れていました。

 先ほどまでは、確信を持っていたのですが……。オーレリアン様だけではなくアルチュール様にも自信がおありで、ますます分からなくなりました。
 王子様は……。どっち……?
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