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第1話 目覚めると…… エレノオール視点(2)
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「安心しなさいマティルド、お父様は貴方の命を取るつもりはない。暴れないようにするため、逃げられないようにするために、そうしただけです」
それを聞いても、安心などできません。
お父様は――お父様達は、なにを考えているのですか……?
「マティルド、お前を軟禁する」
おばあ様の生家である、今はもう誰も使用していない建物。そこにわたしを閉じ込めるおつもりのようです。
一生涯……。
「この件を公にしてしまえば嬉々として動き出す連中がいるし、なによりロルードル子爵家にご迷惑がかかってしまう。そこでの私刑だ」
貴族界には蹴落としを目論む者があちこちに存在していますし、わたしは半年前にロルードル子爵家の嫡男ベンジャマン様と政略的な婚約を交わしています。
あらゆる悪影響を考慮しての、選択でした……。
「一歩間違えば、アンナは命を落としていた。エレノオールに対しても、何かしらを行おうとしていた。更には微塵も反省せず、あまつさえ罪を逃れようとした。そんな危険であり愚かな者に自由は不要だ。お前はその命が尽きるまで、建物から――部屋から出ることは許されん」
「可哀想ですが、仕方がありませんよね……。どうして、こんなことに……」
「泣かないで、エレノオール。その気持ち、痛い程よく分かるわ……」
自分こそがその張本人なのに……。マティルドは偽りの涙をポロポロと零し始め、涙まみれになった顔をお母様の胸に埋めました……。
「この先もずっと、一緒に居られると思っていたのに……。明日も明後日も、当たり前のように会えると思っていたのに……。マティルド……。なぜ、こんなことをしたの……?」
「マティルドいい加減にしなさい!! お父様お母様騙されないでください!! わたしがエレノオールなんです! アンナを傷付けたのはマティルドっ、そこにいるわたしなんです!」
「……まだ言うか……」「……まだ言うのね……」
「信じてください! 理由は分かりませんがっ、マティルドは危険です! そんな人間を自由にしていてはいけません!! どうかわたしの声に耳をかたむけ――」
「お父様、これ以上は時間の無駄です。残念ですが……」
「そうだな。……お前達、連れて行ってくれ」
身体が入れ替わっている。
この身に起きていることはあまりに異常で、必死に訴えても意味はありませんでした。
「お父様っ! お母様っ! ベンジャマン様にもご迷惑がかかってしまうかもしれませんっ! 信じていただけないのであればっ、マティルドの言動を見張ってください!! きっとマティルドの片鱗が見えますから!」
「……お父様お母様……。わたし、もう見ていられません……。その声も、聴きたくはありません……」
「そう、だな……。口を塞いだ上で連れて行ってくれ」
「お父様! お母様!! お願いします――むぐ!? むぅぅ! むぅぅぅ!!」
口にハンカチを押し込まれてしまい、声を発することさえも許されなくなってしまいました。
――なにもかも違うのに――。
――あっちが、マティルドなのに――。
わたしはお屋敷から引きずり出され、まるでゴミのような扱いで馬車に放り込まれてしまったのでした……。
それを聞いても、安心などできません。
お父様は――お父様達は、なにを考えているのですか……?
「マティルド、お前を軟禁する」
おばあ様の生家である、今はもう誰も使用していない建物。そこにわたしを閉じ込めるおつもりのようです。
一生涯……。
「この件を公にしてしまえば嬉々として動き出す連中がいるし、なによりロルードル子爵家にご迷惑がかかってしまう。そこでの私刑だ」
貴族界には蹴落としを目論む者があちこちに存在していますし、わたしは半年前にロルードル子爵家の嫡男ベンジャマン様と政略的な婚約を交わしています。
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「可哀想ですが、仕方がありませんよね……。どうして、こんなことに……」
「泣かないで、エレノオール。その気持ち、痛い程よく分かるわ……」
自分こそがその張本人なのに……。マティルドは偽りの涙をポロポロと零し始め、涙まみれになった顔をお母様の胸に埋めました……。
「この先もずっと、一緒に居られると思っていたのに……。明日も明後日も、当たり前のように会えると思っていたのに……。マティルド……。なぜ、こんなことをしたの……?」
「マティルドいい加減にしなさい!! お父様お母様騙されないでください!! わたしがエレノオールなんです! アンナを傷付けたのはマティルドっ、そこにいるわたしなんです!」
「……まだ言うか……」「……まだ言うのね……」
「信じてください! 理由は分かりませんがっ、マティルドは危険です! そんな人間を自由にしていてはいけません!! どうかわたしの声に耳をかたむけ――」
「お父様、これ以上は時間の無駄です。残念ですが……」
「そうだな。……お前達、連れて行ってくれ」
身体が入れ替わっている。
この身に起きていることはあまりに異常で、必死に訴えても意味はありませんでした。
「お父様っ! お母様っ! ベンジャマン様にもご迷惑がかかってしまうかもしれませんっ! 信じていただけないのであればっ、マティルドの言動を見張ってください!! きっとマティルドの片鱗が見えますから!」
「……お父様お母様……。わたし、もう見ていられません……。その声も、聴きたくはありません……」
「そう、だな……。口を塞いだ上で連れて行ってくれ」
「お父様! お母様!! お願いします――むぐ!? むぅぅ! むぅぅぅ!!」
口にハンカチを押し込まれてしまい、声を発することさえも許されなくなってしまいました。
――なにもかも違うのに――。
――あっちが、マティルドなのに――。
わたしはお屋敷から引きずり出され、まるでゴミのような扱いで馬車に放り込まれてしまったのでした……。
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