9年ぶりに再会した幼馴染に「幸せに暮らしています」と伝えたら、突然怒り出しました

柚木ゆず

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第4話 復讐をする ソリーヌ視点(3)

(違う、のね。じゃあ、なに? 勿体ぶらずにさっさと答えなさい)
(……承知いたしました)

 まただわ。ライナスはごくりと、大きく唾を飲み込み――

(本当に、実行してもよろしいのですね?)

 ――妙なことを言い出した。

(実行って。アリアンの顔に大怪我をさせていいのか、よね? なぜそんな確認をするのよ)
(……お嬢様は、嫌な思いをされました。重々承知しております。ですが、そのですね……。アリアン・ファザーナに悪意はなかったみたいですし……。悪意のなかった人間に仕返しをするというのは……。その……よろしくないこと、だと思うのですよ……)
(はあ!? なんですって!?)

 一瞬で血圧が跳ね上がったのが分かった。
 こいつ……。なにを言って……!

(今し方申し上げましたように、お嬢様が傷ついたと重々承知しております。ですが、ですが! 一度冷静になって、振り返っていただきたく思います)
(………………)
(アリアン・ファザーナは現状を言えと言われてありのままを伝えただけですし、羨ましいかと聞かれて正直に答えただけ。最初は、お嬢様が傷つかないように最大限の配慮をしていました。そのような相手に復讐をするというのは……。言葉を選ばずに申し上げますと……。人道を離れている、のではないかと感じます……)
(………………。ライナス)
(は、はいっ!)
(自我を出すな)

 淡々と、ぴしゃりと一蹴した。

(お前は歯車、与えられたことを唯々諾々としていればいい。ご主人様の命令に黙って従っていればいい。余計なことを考えるな)
(……お嬢様……)
(ここに居続けたいなら心を外に出すな。……二度目はないわよ)

 腹が立ち過ぎて、逆に怒る気がなくなった。
 改めて冷たい目で真っすぐ睨みつけ、生意気な下僕に背を向ける。

(実行者が見つかったのなら、すぐ動かしなさい。いいわね?)
(………………)
(い・い・わ・ね?)
(………………承知いたしました)
(返事が遅い。分かればいいのよ)

 これ以上、こんなバカと話すことはない。バカを置いて早歩きで部屋に戻り、爆発しそうな感情を紅茶で鎮めたのだった。


((…………まあ、いいわ。過程でとにかく不愉快があったものの、計画は順調に進んでいるんだもの。明日の夜には、吉報が届くんだもの。落ち着きましょう、ソリーヌ))




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