9年ぶりに再会した幼馴染に「幸せに暮らしています」と伝えたら、突然怒り出しました

柚木ゆず

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第8話 その後のソリーヌ 俯瞰視点(2)

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「ラオン? どうかしたのか?」
「は、はい。……改めて振り返りましたが、間違いないものと判断いたしました。ソリ―ヌお嬢様の提案に、そういった腹積もりはないように思えるのでございます」
「む? 軟禁を逃れる意図はないだって? どういうことなのだ……?」


『……ライナスよ。私のもとに届いた情報は、間違いないのだな?』
『はい、旦那様……。確かに、お嬢様から命を受け動いておりました……。「アリアン・ファザーナの顔に酷い怪我を負わせろ」という……』

『もう一つ確認しておく。その際にはソリ―ヌに、罪悪感はなかったのだな?』
『はい、ありませんでした……。罪悪感は、微塵もないように見えました』

 などなど。ライナスを問い詰めた際にラオンも傍にいましたし、

『いやだああああああああああああああああああああああああああああ!! なっ、なんでもしますからああああああああああああああああああああああああ!! ゆるしてぇええええええええええええええええええええええええええ――え……?』

『このご恩は一生忘れません……!! 絶対に心を入れ替えます……!』

 ソリーヌの一連の言動をその目と耳で見て聞いてもいて、ソリ―ヌという人間の本質をしっかりと把握していました。
 そんな彼が否定を唱えたため、ルーカッソは首を傾げました。

「旦那様と会って二人きりでお話をしたい。そう仰った時のお嬢様は酷く青ざめており、身体はブルブルと激しく震えていたのです。まるで、雪の中にいるかの如く」
「………………」
「いえ、それ以上でした。あの様子は、もっと酷かった。まるで、極寒の中に一切の衣を纏わずいるかのようでした」
「………………そこまでだったか……」
「はい。このままでは凍死してしまうのではないか――そんな不安が過ぎるほどでございました」

 寒いと感じていない自分の方が、おかしいんじゃないか?――。おもわずそう疑ってしまったと、ラオンは付け加えました。

「………………むう……」
「どれもが演技には見えませんでしたし、旦那様を求めるお姿には鬼気迫るものがありました。故にお嬢様は、そういった目的で対話を希望してはいないと思うのでございます」
「…………お前がそこまで言うのなら、そうなのだろうな」

 リーダーを任せるほどにラオンには信頼を置いていましたし、実際彼には『見る目』もありました。ルーカッソは困惑が含まれた息を大きく吐き出し、イスから立ち上がりました。

「分かった、直接会って話しをしてみるとしよう。馬車の準備をしてくれ」

 今日は時間的な余裕がありましたし、なにより異常な変化の理由が気になりました。謎を解明するべく大至急支度をし、娘がいる場所を目指したのでした。


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