わたしとの約束を守るために留学をしていた幼馴染が、知らない女性を連れて戻ってきました

柚木ゆず

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第9話 幼馴染2人のその後~ラウルの場合・その2~ ラウル視点(1)

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「5位に転落してしまった原因は、特定できた。特定できたから、ここからは盛り返していける。…………そのはず、だったのに……」

《80点》

 あれから今日までの一か月間、帰国や挨拶と言った多くの時間を奪われるイベントはなかったのに――。しっかり勉学に励んでいたというのに――。
 5時限目にあったミニテストで、過去最低の点数を取ってしまった……。

「どうなってるんだ……!? なにもかも、どうなってるんだ……!?」

 しかも、それだけじゃない。

『ダニエル先生? どうされたのですか?』
『ラウル生徒会長、今日が期限の書類が提出されていませんよ?』
『え!? しょっ、書類!? しかも今日が期限!? そんなものはなかったはずで、ここにちゃんとスケジュールを――しまった……。すみませんっ、忘れてしまっていました! すぐ用意します!!』

『セリナ書記っ、どうなっているんだ!? 君に代理の発注を頼んでいた資料っ、全然違うものが届いているぞっっ!!』
『そんなっ。もっ、申し訳ございません――? 会長……? どこが間違っているのですか……?』
『なにを言っているんだ!? 必要としているのはこれではなくっ、ここにあるものだ!』
『??? そちら、ですか……? そちらは頼まれていませんよ……?』
『……なんだって……!? そんな馬鹿な……!』
『ちょっと失礼します。…………そうですね、この件はボクも確認しています。会長はそちらではなく、こちらをと頼んでいましたよ』

 生徒会の仕事は、慣れたはずだったのに……。俺はどんな時でも、完璧な仕事をする男だったのに……。
 この一か月間で12回もミスをした――しかもそのうちの2回は、控えていた大事な行事に大きな悪影響が出てしまうレベルのミスをしてしまったのだ。

「……こんなの、俺じゃない……。何が起きてるんだ……!?」

 自室のベッドで頭を掻きむしり、原因を考える。

「……………………………………駄目だ! 分からない……!!」

 不調の原因となっていた帰国や挨拶などは、あの日から今日まで一度もなかった。生徒会長の仕事にはますます慣れてきて、学業への支障はなくなっている。
 にもかかわらず、コレ。どっちも滅茶苦茶になってしまっているんだ。
 いくら考えても、答えが出るわけがなかった。

「………………まずいぞ……。もし、このまま来月までこんな調子だったら……」

 また、掲示板の前で愕然とする羽目になってしまう。

「……それだけは、回避しないといけない。よ、よし!!」

 原因についてアレコレ考えるのはヤメだ!!
 勉強はとてつもなくシンプルで、勉強すればするだけ成果が出る。現状で駄目ならそれ以上に勉強時間を増やせばいいだけだ!

「大丈夫。大丈夫だ。先月みたいなことにはならない。絶対に……! 今度こそ、主席の座を取り戻して見せる……!!」

 そうして俺は腕まくりをしてデスクに向かい、気合を入れてペンを握り締めて――

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