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エピローグ 1年後 カサンドラ視点(1)
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「お嬢様っ、到着いたしましたっ。お急ぎくださいっ!」
「ええっ、ありがとう! 助かったわ!」
今夜はレトーザ伯爵家主催のパーティーがあり、カサンドラを名乗れない立場上、午後5時半には入場を済ませなければなりませんでした。本来は余裕を持って出発する予定だったのですが、急遽当日中に処理しなければならない仕事が発生して発つのが遅れてしまったのです。
――アンジェル、お父様、お母様。わたしは、色んな人にお世話になりっぱなしです。この一年間、恩返しをしていかないといけませんね――。
表向きは療養中ですので、長女としてのお役目など『カサンドラ』が関係することは一切できません。そこで、お屋敷の中でできること――お父様のお仕事を手伝うようになり、今ではほぼ全てを代行できるようになったのです。
((ようやくあの件が片付いて、久しぶりに落ち着いて観察ができますね))
先月から慌ただしくなっていて最近はずっと、参加者をチェックして違和感がなければすぐ去る、という流れになってしまっていました。今日は気になる方が参加されるそうですし、最後まで参加させていただきましょう。
「お姉様っ、ようこそ。お待ちしておりましたわ」
「ありがとう。今日もよろしくお願いします」
レトーザ夫人となったアンジェルと会場の外で合流し、感謝を込めて一礼を行います。
ちなみにアンジェルは関係性を最大限に駆使し、すでにレトーザ伯爵家を陰で操る存在となっているみたいです。
「なにやら大変だったみたいですが、無事解決されたみたいですわね? 今夜はあの方探しだけでなく、パーティーも楽しんでいってください」
「ええ、そうさせていただくわ。じゃあ準備をしましょうか」
顔を怪我してしまったロドルフ様の親戚という設定になっているため、黒色の仮面とマスクを嵌める。いつものスタイルになったわたくしは参加者の方々が入場する時間になるまで会場の隅で待機をして、その時になったら入出場口の注視を始めます。
((……あの方は、やっぱり何も感じませんね……。あの方も、ない……。あの方も、ありません……))
もしかしたら月齢によって感度が変わる? その可能性を考慮し、以前なにも感じなかった人に対してもしっかりとチェックを行います。そうしてわたしの視界内を、続々と参加者の方が通り過ぎていき――
((え……?))
――銀髪を腰まで伸ばした、クールな印象を受ける男性が目に入った瞬間でした。わたしの中で、今までに感じたことにない反応が起きたのでした。
――とくん――
「ええっ、ありがとう! 助かったわ!」
今夜はレトーザ伯爵家主催のパーティーがあり、カサンドラを名乗れない立場上、午後5時半には入場を済ませなければなりませんでした。本来は余裕を持って出発する予定だったのですが、急遽当日中に処理しなければならない仕事が発生して発つのが遅れてしまったのです。
――アンジェル、お父様、お母様。わたしは、色んな人にお世話になりっぱなしです。この一年間、恩返しをしていかないといけませんね――。
表向きは療養中ですので、長女としてのお役目など『カサンドラ』が関係することは一切できません。そこで、お屋敷の中でできること――お父様のお仕事を手伝うようになり、今ではほぼ全てを代行できるようになったのです。
((ようやくあの件が片付いて、久しぶりに落ち着いて観察ができますね))
先月から慌ただしくなっていて最近はずっと、参加者をチェックして違和感がなければすぐ去る、という流れになってしまっていました。今日は気になる方が参加されるそうですし、最後まで参加させていただきましょう。
「お姉様っ、ようこそ。お待ちしておりましたわ」
「ありがとう。今日もよろしくお願いします」
レトーザ夫人となったアンジェルと会場の外で合流し、感謝を込めて一礼を行います。
ちなみにアンジェルは関係性を最大限に駆使し、すでにレトーザ伯爵家を陰で操る存在となっているみたいです。
「なにやら大変だったみたいですが、無事解決されたみたいですわね? 今夜はあの方探しだけでなく、パーティーも楽しんでいってください」
「ええ、そうさせていただくわ。じゃあ準備をしましょうか」
顔を怪我してしまったロドルフ様の親戚という設定になっているため、黒色の仮面とマスクを嵌める。いつものスタイルになったわたくしは参加者の方々が入場する時間になるまで会場の隅で待機をして、その時になったら入出場口の注視を始めます。
((……あの方は、やっぱり何も感じませんね……。あの方も、ない……。あの方も、ありません……))
もしかしたら月齢によって感度が変わる? その可能性を考慮し、以前なにも感じなかった人に対してもしっかりとチェックを行います。そうしてわたしの視界内を、続々と参加者の方が通り過ぎていき――
((え……?))
――銀髪を腰まで伸ばした、クールな印象を受ける男性が目に入った瞬間でした。わたしの中で、今までに感じたことにない反応が起きたのでした。
――とくん――
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