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第4話 作戦開始2ヶ月目~ピクニックでのゾクリ~ ニナ視点(3)

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「ね、ねえリュカ。どうして、それを知ってるの……?」

 正解不正解を告げるのも忘れ、声を震わせて見つめる。
 なんで? なんで、3つ目を答えられたの?

「ニナから教わったモーニングルーティーンは2つで、最後の1つは知らなった。だからどうしても知りたかったんだけど、母さん達に聞いて回っても教えてはくれなかったんだ」

 秘密の共有、だもんね。じゃあ、どっから漏れたの……?

「まさか……。部屋を、覗き見てた……?」
「とんでもない、それは酷いプライバシーの侵害だよ。真っ先に過ったものの、実行はしなかった」

 そ、そうだよね。それはしないよね。
 真っ先に過ってるのは、気になるけど……。

「そこで密かに君が学舎に通っていた頃の友人知人をあたり、2か月かけてようやく情報を手に入れたんだ。匿名希望の子が知っていて、ラッキーだったよ」
「……………学舎の頃…………2か月って……。そんなコトのために、そんなにも動き回ってたの……?」
「『そんなコトのため』、じゃないよ。ニナの情報が新たに手に入れることは、俺の一番の喜びなんだ。ニナ博士になるためなら、どんな努力も苦労もするよ」

 すごく爽やかな顔で明言する、リュカ。
 ソレは清々しい表情と声の、はずなのに……。ゾワゾワっとする……。

「りゅ、リュカ……。あ、あの――」
「そうそうっ。その際に、レアな情報もたっぷり把握できて完璧に記憶しているよ。君の10歳の頃の夢は新聞社の会長。君が誕生日に食べたデザートは、9歳の頃はイチゴとオレンジのコンフィチュール、10歳の頃はリンゴのパイ、11歳の頃はいちじくのタルト、12歳の頃は特大フォンダンショコラ、13歳の頃は季節外れのブッシュ・ド・ノエル。他には入学の自己紹介の時にうっかり噛んでしまったり、授業中に先生をアンタと呼んでしまったり、1学期の数学のテストで名前を書き忘れそうになったり、授業中にウトウトしてしまって机から落ちそうになったり! あとは友人とお茶をしている時になぜか鳥に襲われかけたり誰にでも懐くワンちゃんに両目を剥きつつ吠えられちゃったり、初めて友人宅にお泊りした際は一緒のベッドで眠るもあの頃は寝相が悪くて友人を蹴り落としちゃったり、生まれて初めて調理を作ったのは11歳の頃の7月5日で、その際にはサンドウィッチをまるで泥の――」
「すっ、ストップっ! もういいからっ! あたしの負けでいいからストップしてっっ!」

 怒涛の勢いに耐えられず、両手を前に突き出す。
 調べすぎっ。調べすぎだからっ。
 怖いからっ。滅茶苦茶怖いからっ。
 あたし、何度も卒倒しそうになったから!

「??? ニナ? 急に青ざめて、どうしたんだい?」
「………………リュカ。ニナ博士になりたいのは、よく分かったし嬉しいよ? だけどね、ほどほどにしよ? もう十分ニナ博士だから、当分は収集をストップしよ?」
「え、そ、そう? まだまだ足りないけど、分かったよ。そうするよ」
「………………うん。お願いね……」

 それはもうげんなりしながら頷いて、そのあとは――。ニナ情報の大発表会が強烈過ぎて、何をしたのか覚えていない。
 気が付くとあたし達は家に戻っていて、あたしはお風呂に入って部屋のベッドで仰向けになっていて……。その後は現実から逃避するかのように、眠ったのでした……。




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