私から婚約者を奪った妹が、1年後に泣きついてきました

柚木ゆず

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第10話 作戦開始5か月目~見てしまって、限界が訪れる~ ニナ視点(1)

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((あれ……? やっぱり、変だ))

 食堂にて家族4人・・・・でディナーを摂っていたあたしは、今日も首を傾げる。
 今夜のメニューは、白身魚のムニエルとアスパラガスのサラダとポタージュとパン。その中のポタージュが、ちょっとおかしい。

「おじ様、おば様」

 リュカは、先月からちょっとアレだから。テーブルの対面にいる2人に、味の感想を聞いてみるコトにした。

「なんだね、ニナ君」「どうしたのかしら?」
「このポタージュ。何か感じませんか?」
「これかい? うーん、特に何も感じないね」
「わたしも、感じないわ。よく口にする、いつものポタージュよね」

 おじ様とおば様は、キョトンとしてる。
 そ、そうなんだ。じゃあ、あたしの勘違い……?

「ね、リュカ。リュカのは、どう?」

 ちょっとアレだけど、気になるから仕方がない。右へと首を動かしてみた。

「俺のものも、いつも通りだね。シェフのレシピ通りに作ったから、普段の味を再現できているはずだよ」
「そうなんだ。だったら――ってっ、『レシピ通りに作った』!?」

 これ、リュカが作ったの!? いつの間に!?

「最近ニナの元気がないから、励まそうと思ってね。シェフに頼んで、暫くスープを担当する事にしたんだよ。昨日からね」
「そ、そう。昨日から、なんだ……」

 あたしが言ってる『変』、鉄っぽい不思議な味。それを感じるようになったのは、その『昨日』――ゆうべの食事から。
 もしかして……。何か、入れた……?

「ふふっ。もしかしたら、ニナ君が感じているのは愛のスパイスかもしんな」
「きっとそうね。料理には愛が宿る、というものね。作っていたのがリュカだから、ニナさんの分だけ違っているんだわ」

 おじ様おば様は呑気に笑っているけど、あたしはちっとも笑えない。
 だってこの人は、部屋に隠していた本黒魔術なんたらを読んでる人なんだもん。何かをやってる可能性が、高い。
 歪みきった善意で、あたしが困る何かをやってる可能性が高い。

((…………………。どうせ、聞いても正直に答えない))

 だから、内緒で確認しよう。やってるかやってないかを、この目で確かめる。
 もし何かをしていた場合は…………………い、今は色々考えたくない。とにかくまずは、実態の確認だ。

「リュカ、ありがとう。ところで暫くって、これから毎晩スープを作ってくれるの?」
「明日(あした)からは、朝と夜を担当するよ。明日(あす)は美味しいトマトのオニオンスープを用意するから、楽しみにしててね。きっとまた・・・・・、特別なスープになるはずだから」

 っ!
 この笑顔と言葉は、どっち……? また何かをやろうとしてる? それとも単に、愛情を込めるよって意味?

((…………この場で考えても、答えなんて出ないよね……。明日こっそり覗いてみれば、分かる))

 何事もありませんように――。あたしの考えすぎでありますように――。
 そう心の中で何度も強く願い、翌朝。部屋で耳を澄ませてリュカの様子を窺い、彼のあとを追ってキッチンへと向かったのでした。

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