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第10話 作戦開始5か月目~見てしまって、限界が訪れる~ ニナ視点(2)

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((………………今のところは、普通にスープを作ってる。ここまでは、一応は・・・問題なし……))

 キッチンの出入り口付近に潜んで、なかを観察中。現在リュカは薄切りにした玉ねぎを鍋で炒めていて、おかしなトコは何もない。

 とはいえ、問題なしは『一応』。

 キッチン内に料理人はいなくって、いるのはリュカ1人。この時間人払いをした理由は『料理に集中させて欲しい』なんだけど、それが本当なのかは分からない。
 だから、安心しちゃダメ。あたしは引き続き、彼の一挙一動を凝視し続ける。

「…………よし、飴色になった。ここでお湯を入れて、弱火にして………………10分間煮詰める。この間に、さっき使った器を綺麗にしておこう」

 リュカはテキパキとトレーやお皿を洗って、そうしていると10分が経過。次はトマト2個を手際よく小さな角切りにして、煮詰めていた鍋に投入する。
 この際も、不自然な動きはなし。普通に、スープを作っている。

「うん、いい感じだ。この状態で、一煮立ちさせて……」

 黒コショウとオリーブオイルを少々と、塩を一つまみパラパラッと振りかける。
 そのあとは――

「これで、オッケー。このまま朝食の時間まで少し寝かせて、直前にさっと再加熱すれば完成だ」

 ――リュカは満足げに息を吐き、パチンと指を鳴らした。
 あ、あれ? もう出来上がり? これで終わりなんだ。

((だったら、これ以上何かをするコトはない。……普通に、トマトのオニオンスープを作ったけだったね))

 ってコトは、あたしの勘違いだったみたい。
 も~っ。も~っっ。ゆうべ意味深な言い方をするから、深読みしちゃったじゃない……っ!

((なーんだぁ。あの鉄っぽい味も、気のせい))

 リュカにビクビクしてたから、そう錯覚してただけ。
 あ~あ。早起きして損した――

「これで3人の分、土台ベースは出来上がった。ここからは、ニナ用の準備をしよう」

 嘆息してたらリュカはスープの4分の1を別の鍋に移し、声を弾ませ始めた。
 ……ぇ? …………ぇ?
 ニナ、用……?


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