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番外編その2 想定外と、両親4人のその後 俯瞰視点(3)

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「オスカー殿、スザンヌ殿。今日は、とある提案を持ってきたのですよ」

 リュカとルイーズが屋敷を去ってから、およそ5か月後。サンフェル邸では再び4人が集合しており、ソファーに座りるやヴィクトーがやや前傾姿勢になりました。

「新進気鋭の、ボヌール商会。あの噂は、お二人の耳にも当然入っておりますな?」
「「ええ。入っております(入っておりますわ)」」

 元貴族の青年リュカ・ローランスがトップを務める組織は、現在急成長中。リュカの努力であり手腕、そして手堅く築き上げてきた人脈によって、着実に黒字を積み重ねていました。

「「どうせ赤字続きですぐ潰れてしまう、そう思っていましたが……。正直、驚いております(いますわ)」」
「わたしも旦那も、同じでした。路頭に迷い泣きついてくる、そう考えておりましたわ」

『貴族籍云々は、判断ミスだったようだな』『ルイーズが心から幸せと感じられる毎日を提供するのではなかったのか?』などなど。彼らはリュカとルイーズを嘲笑い、金銭に関する支援の懇願を門前払いをするつもりでいました。

「しかしながらあの男は時代の波に乗り、『勝ち組』となるのは時間の問題。羨ましいものですな」

 ヴィクトーは肩を竦め、対面にいるオスカーとスザンヌは首を傾げます。
 その情報は忌々しいソレなはずなのに、目の前にいるヴィクトーはやけに落ち着いている。彼がそうなっている理由が、皆目見当がつきませんでした。

「やることなす事成功して、面白いように金が転がってくる。それこそチェスの駒のように、多くの部下人間を自らの手足のように動かせる。欲しいと思った物はなんでも買えて、食べたいと思った物は何でも食べられる。多少の問題は、札束でひっぱたいて解決できてしまえる。実に羨ましい状態ですな」
「え、ええ……。そう、ですわね……」
「…………ヴィクトー殿。何を仰りたいのだ……?」

 散々悪態をついていた存在を、しきりに持ち上げる。そのあまりの違和感に、オスカーは眉を顰めました。

「もしや……。リュカに頭を下げ、ボヌール商会へ加入するおつもりか……?」
「いえ、とんでもありません。あの者達に下げる頭など、どこにもありませんよ」

 リュカに頭を下げるイコール、ルイーズに下げるようなもの。2人のプライドが、その行為は絶対に許しません。

「……では……。何を、考えておられるのだ……?」
「おっと、申し訳ない。勿体ぶり過ぎましたな」

 ヴィクトーは引き続き余裕たっぷりで、小さく背を曲げて謝罪。そうしてゆっくりと顔を上げた彼は、対面の2人を交互に見やりこう口にしたのでした。

「オスカー殿、スザンヌ殿。我々も、商会を設立しましょう」

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