2 / 25
1話(1)
しおりを挟む
「どっ、どういうこと!? なんあたしが罰を受けるようになってるの!?」
作法や礼儀を守ってる場合じゃない。あたしは声を荒げて男性に詰め寄り、ものすごい速度で姉さんを指さした。
「追放されるのは、悪さをしたあっちですよねっ!? なぜそうなるんですか!?」
「エステル。レビン王太子殿下が、私を助けてくれたのよ」
更にトーンを上げていたら、指をさされた姉さんがほくそ笑んだ。
え? 王太子殿下が助けた?
「殿下はなんと狡猾な女が好みで、私の本性を知ったら更に興味を持ってくださったの。不幸な偶然によって国王にバレてしまったけれど、あの方はそれまでの『擬態』を評価してくださったのよね」
「そして殿下とマリナは秘密裏に接触し、その結果レビン殿下はマリナを選んでくださった。マリナを妻とすると決めてくださったのだよ」
は? は……?
「でも、王太子妃になる私が犯罪者だと、困るでしょう? そこで殿下が国王の弱みを使って――『王太子妃候補に手を出していたと暴露する』と脅して各所に圧力をかけさせて、私の罪をなかった事にしてくださったの」
「幸い露見したのは、捜査の関係者と王族のみだったからね。被害者と捜査関係者を潰しておけば、どうとでもできるのよ」
「とはいえマリナが脅迫状を送った相手の中には、姉が他国の有力貴族に嫁いだ――圧力をかけきれない者もいた。だから、エステル。お前がマリナの罪を被るのだ」
「『姉さんが王太子になれば、第2王子や第3王子と繋がれるかもしれない』。こういう理由で何度も姉を脅して動かしていた、という事になっているのよね」
姉さん、お母さん、お父さん、そしてもう一度姉さんがニヤリと口元を緩め、男性は大きく頷いた。
嘘みたいでバカみたいな話だけど、実際にあたしが罪に問われてるんだから事実。罪を知って王太子が意識するようになり、狂人と狂人がゴールインすることになって、クズ姉を潔白にするためあたしに押し付けられたんだ。
「これからお前は姓を剥奪され、永久的に国外追放となる。短い間だったが、今思えば楽しい日々だったぞ」
「次は男の子が欲しかったから、貴女が産まれてきた時は本当に腹が立ったけれど――。終わりよければ全てよし。最後に盛大に役立ってくれたのだから、感謝してるわ」
「私の代わりをしてくれて、ありがと。じゃあバイバイ」
3人が悪魔のような笑顔を振り撒き、男性があたしを拘束しようと近づいてくる。
コイツらは次女になんの興味も持っていないし、コイツは買収済み。どうやっても説得が無理だから、とにかく逃げるしかない!
「そんなの、大人しく受け入れるわけないでしょっ。アンタ達の思い通りにはいかないってのっ!」
こき使われてたせいで動きに自信があるあたしは、男の脇をすり抜けて門へと走る。
ここで捕まったら、待っているのは理不尽な地獄だもん。一先ず逃げて隠れなきゃっ。
「ちぃっ! 止まれエステル! 逃走は罪を重ねるだけだぞっ!!」
「ありもしない罪から逃げてるんだから、関係ない話よっ! あたしは、このまま逃げ切る……っ」
外に出てしまえば、簡単には見つからない。落ち着ける場所を見つけたら、反撃できる方法を探して――
「ぇ……? ぁれ……?」
門を目指していたら、突然視界が歪み始めた。
しかも、異常はそれだけじゃない。全身に力が入らなくなって、あたしは膝から崩れ落ちてしまった。
作法や礼儀を守ってる場合じゃない。あたしは声を荒げて男性に詰め寄り、ものすごい速度で姉さんを指さした。
「追放されるのは、悪さをしたあっちですよねっ!? なぜそうなるんですか!?」
「エステル。レビン王太子殿下が、私を助けてくれたのよ」
更にトーンを上げていたら、指をさされた姉さんがほくそ笑んだ。
え? 王太子殿下が助けた?
「殿下はなんと狡猾な女が好みで、私の本性を知ったら更に興味を持ってくださったの。不幸な偶然によって国王にバレてしまったけれど、あの方はそれまでの『擬態』を評価してくださったのよね」
「そして殿下とマリナは秘密裏に接触し、その結果レビン殿下はマリナを選んでくださった。マリナを妻とすると決めてくださったのだよ」
は? は……?
「でも、王太子妃になる私が犯罪者だと、困るでしょう? そこで殿下が国王の弱みを使って――『王太子妃候補に手を出していたと暴露する』と脅して各所に圧力をかけさせて、私の罪をなかった事にしてくださったの」
「幸い露見したのは、捜査の関係者と王族のみだったからね。被害者と捜査関係者を潰しておけば、どうとでもできるのよ」
「とはいえマリナが脅迫状を送った相手の中には、姉が他国の有力貴族に嫁いだ――圧力をかけきれない者もいた。だから、エステル。お前がマリナの罪を被るのだ」
「『姉さんが王太子になれば、第2王子や第3王子と繋がれるかもしれない』。こういう理由で何度も姉を脅して動かしていた、という事になっているのよね」
姉さん、お母さん、お父さん、そしてもう一度姉さんがニヤリと口元を緩め、男性は大きく頷いた。
嘘みたいでバカみたいな話だけど、実際にあたしが罪に問われてるんだから事実。罪を知って王太子が意識するようになり、狂人と狂人がゴールインすることになって、クズ姉を潔白にするためあたしに押し付けられたんだ。
「これからお前は姓を剥奪され、永久的に国外追放となる。短い間だったが、今思えば楽しい日々だったぞ」
「次は男の子が欲しかったから、貴女が産まれてきた時は本当に腹が立ったけれど――。終わりよければ全てよし。最後に盛大に役立ってくれたのだから、感謝してるわ」
「私の代わりをしてくれて、ありがと。じゃあバイバイ」
3人が悪魔のような笑顔を振り撒き、男性があたしを拘束しようと近づいてくる。
コイツらは次女になんの興味も持っていないし、コイツは買収済み。どうやっても説得が無理だから、とにかく逃げるしかない!
「そんなの、大人しく受け入れるわけないでしょっ。アンタ達の思い通りにはいかないってのっ!」
こき使われてたせいで動きに自信があるあたしは、男の脇をすり抜けて門へと走る。
ここで捕まったら、待っているのは理不尽な地獄だもん。一先ず逃げて隠れなきゃっ。
「ちぃっ! 止まれエステル! 逃走は罪を重ねるだけだぞっ!!」
「ありもしない罪から逃げてるんだから、関係ない話よっ! あたしは、このまま逃げ切る……っ」
外に出てしまえば、簡単には見つからない。落ち着ける場所を見つけたら、反撃できる方法を探して――
「ぇ……? ぁれ……?」
門を目指していたら、突然視界が歪み始めた。
しかも、異常はそれだけじゃない。全身に力が入らなくなって、あたしは膝から崩れ落ちてしまった。
13
あなたにおすすめの小説
私、今から婚約破棄されるらしいですよ!舞踏会で噂の的です
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
デビュタント以来久しぶりに舞踏会に参加しています。久しぶりだからか私の顔を知っている方は少ないようです。何故なら、今から私が婚約破棄されるとの噂で持ちきりなんです。
私は婚約破棄大歓迎です、でも不利になるのはいただけませんわ。婚約破棄の流れは皆様が教えてくれたし、さて、どうしましょうね?
離婚したいけれど、政略結婚だから子供を残して実家に戻らないといけない。子供を手放さないようにするなら、どんな手段があるのでしょうか?
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
カーゾン侯爵令嬢のアルフィンは、多くのライバル王女公女を押し退けて、大陸一の貴公子コーンウォリス公爵キャスバルの正室となった。だがそれはキャスバルが身分の低い賢女と愛し合うための偽装結婚だった。アルフィンは離婚を決意するが、子供を残して出ていく気にはならなかった。キャスバルと賢女への嫌がらせに、子供を連れって逃げるつもりだった。だが偽装結婚には隠された理由があったのだ。
「小賢しい」と離婚された私。国王に娶られ国を救う。
百谷シカ
恋愛
「貴様のような小賢しい女は出て行け!!」
バッケル伯爵リシャルト・ファン・デル・ヘーストは私を叩き出した。
妻である私を。
「あっそう! でも空気税なんて取るべきじゃないわ!!」
そんな事をしたら、領民が死んでしまう。
夫の悪政をなんとかしようと口を出すのが小賢しいなら、小賢しくて結構。
実家のフェルフーフェン伯爵家で英気を養った私は、すぐ宮廷に向かった。
国王陛下に謁見を申し込み、元夫の悪政を訴えるために。
すると……
「ああ、エーディット! 一目見た時からずっとあなたを愛していた!」
「は、はい?」
「ついに独身に戻ったのだね。ぜひ、僕の妻になってください!!」
そう。
童顔のコルネリウス1世陛下に、求婚されたのだ。
国王陛下は私に夢中。
私は元夫への復讐と、バッケル伯領に暮らす人たちの救済を始めた。
そしてちょっとした一言が、いずれ国を救う事になる……
========================================
(他「エブリスタ」様に投稿)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
治癒魔法で恋人の傷を治したら、「化け物」と呼ばれ故郷から追放されてしまいました
山科ひさき
恋愛
ある日治癒魔法が使えるようになったジョアンは、化け物呼ばわりされて石を投げられ、町から追い出されてしまう。彼女はただ、いまにも息絶えそうな恋人を助けたかっただけなのに。
生きる希望を失った彼女は、恋人との思い出の場所で人生の終わりを迎えようと決める。
婚約破棄されたショックで前世の記憶を取り戻して料理人になったら、王太子殿下に溺愛されました。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
シンクレア伯爵家の令嬢ナウシカは両親を失い、伯爵家の相続人となっていた。伯爵家は莫大な資産となる聖銀鉱山を所有していたが、それを狙ってグレイ男爵父娘が罠を仕掛けた。ナウシカの婚約者ソルトーン侯爵家令息エーミールを籠絡して婚約破棄させ、そのショックで死んだように見せかけて領地と鉱山を奪おうとしたのだ。死にかけたナウシカだが奇跡的に助かったうえに、転生前の記憶まで取り戻したのだった。
実家を追い出され、薬草売りをして糊口をしのいでいた私は、薬草摘みが趣味の公爵様に見初められ、毎日二人でハーブティーを楽しんでいます
さら
恋愛
実家を追い出され、わずかな薬草を売って糊口をしのいでいた私。
生きるだけで精一杯だったはずが――ある日、薬草摘みが趣味という変わり者の公爵様に出会ってしまいました。
「君の草は、人を救う力を持っている」
そう言って見初められた私は、公爵様の屋敷で毎日一緒に薬草を摘み、ハーブティーを淹れる日々を送ることに。
不思議と気持ちが通じ合い、いつしか心も温められていく……。
華やかな社交界も、危険な戦いもないけれど、
薬草の香りに包まれて、ゆるやかに育まれるふたりの時間。
町の人々や子どもたちとの出会いを重ね、気づけば「薬草師リオナ」の名は、遠い土地へと広がっていき――。
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる